クライミングサービスの提供者は一流のクライマーであるべきか

ふとしたことから、クライミングサービスの提供の仕方を考えてみたというお話。

 


きっかけとなったLINE田端さんのTweet

先日TwitterにてLINEの上級執行役員の田端信太郎さんがこんなつぶやきをしていた

 

 

 

 

要約すると、

あるサービスの供給者はその業界の一流の消費者であれ

ということだ。

その例として「音楽のDJは誰よりも音楽の消費者であり、聞き手として音楽リテラシーが最高レベル。だからこそDJができる」と主張している。

 

サービス供給者が一流の消費者である例

僕も概ね田端さんの主張には賛成だ。

自分が供給したいサービスの業界に関して詳しければ詳しいほどそれは強みになるし、むしろ知識があることは基本事項であるようにも思える。

 

Retty

例えば実名口コミグルメサイトのRettyでは社員がグルメ業界について詳しくなるように、「月2回まで好きなお店、予算上限なしで行っていい。領収書を切っていい」というグルメ手当がある。

そして社員が周辺のお店に行き尽くしたらRettyはオフィスを移転させる。

それほどまでに社員がグルメ業界に関して絶えずアンテナを張っていることを重要視しているのだ。

 

HIS

他にも最近話題になったのは旅行業者のHIS

HISの沢田秀雄社長はなんとこの3月から3ヶ月~半年の間秘書を付けずに世界を一人旅するというのだ。

記事中では「部下を育てるため」との理由も挙げているが、自身が刺激を受けたいとのことらしい。

上場企業の社長にまでなっても自社が提供するサービスに関することを自ら体験して知見や発想を深める姿勢は素晴らしいと思う。

 

 

業界を知らずとも成功する例

一方で、必ずしもサービスの供給者が業界に関して一流の知識を持っていなくても成功するケースはある。

 

キャプテン翼

サッカー漫画で日本のみならず世界で最も有名なキャプテン翼

キャプテン翼を読んでサッカーを始めたというプロサッカー選手は数多くいるだろう。

しかしその作者である髙橋陽一さんは野球少年だったという話は有名だ。

担当の編集者と相談して「サッカー漫画はまだ誰もやっていないからサッカーでいこう」と戦略的に決めたらしい。

結果、作者にはそれほどサッカー知識は無かったが(もちろん後から身に着けたかもしれないが)大ヒット作品となった。

 

ジャルジャル

他にパッと思いついたのはお笑いコンビのジャルジャル

その唯一無二の独特な発想力から繰り出される漫才やコントは熱狂的なファンが多く業界人からの評価も高い。

昨年末のM1グランプリにも出場し、順位こそ 奮わなかったがあの松本人志さんから「一番面白かった」という評価を受けた。

しかし彼らは実は少年~青年時代にお笑い番組などをあまり見ていなかったというのだ。

ダウンタウンの「ごっつええ感じ」も、よくわからなかったと言っていた(どのYoutube動画で言っていたかは忘れたが)。

影響を受けた芸人はふかわりょう。

高校時代に同級生だった二人は、ひたすらお互いに面白いと思うことをやりあっていて、それが今のベースになっているらしい。


 

クライミング業界では

思いついたことに触れていたら脱線しまくって、前置きがすごく長くなってしまった。

本題に戻ると、クライミング業界ではどちらが良いのか。

すなわち

クライミングサービスの提供者は一流のクライマーであるべきなのだろうか。

 

これはもちろんどのようなサービスを提供するかで変わってくるだろう。

インストラクターやガイドは流石にクライミングそれ自体について相当な知識がないと成り立たない。

クライマーでない人がガイドをするというのは今の僕には想像ができない。

ルートセッターなどもやはりある程度クライマーとして活動していた人でないと厳しいだろう。

もちろんゼロベースのフレッシュな発想が素晴らしいルートを生み出すということもあるのかもしれないが。

 

一方で、ジム経営や種々のクライミングメディアサービスなどはそれほどクライミング経験が無い人々が運営することも増えているように思える。

一昔前はクライマーがジムを経営することが当たり前だったが、今は特にボルダリングの爆発的なブームによってクライミングを楽しむ人の裾野が一気に広がった。

その結果クライミングジムに求められることも多様化し、必ずしもクライマーがオーナーでなくてもビギナーフレンドリーなジムなどが成功しているようなケースはあるだろう。

クライミングメディアでもむしろクライミング経験が浅い人が書いた記事の方が、初心者の気持ちに寄り添っていて分かり易いため受けているということもあるだろう。

 

Mickipediaはどうする

僕のブログの場合も、むしろ昔の方がクライミング業界のことがよくわからない故に攻撃的な記事を書いていたようにも思える。

5年前に書いたボルダリングジャパンカップのグループ分析とか

男子Bグループは死の組か~第8回ボルダリング・ジャパンカップ分析、所感~

3年半前くらいに書いた市場動向シリーズとか

クライミング市場動向1~ジム店舗数~

今は業界に入り込んだが故に、色々と忖度して書く記事を無意識にセーブしているというのもあるかもしれない。

 

でもきっと逆に自分がクライミングに関して知識を深めたり、業界の色々なことがわかったり、自分のクライミング技術が向上することによってより良い記事が書けるようにもなっているはずだ。

そして僕はもちろん、一流のクライミング消費者としてクライミングサービスを提供し続けたい

それはこのブログであっても、他の執筆であっても、ジムでの接客であっても、セッターであっても、なんであっても。

僕が「初めてのボルダリングにはこのファッションで!」とか書いても何も意味ないだろう。(いや、やりようによっては面白いか)

初心者向けの記事を書くなら、クライミングの深みとか、体系だったムーブの話とか、科学的なトレーニングの話とか、僕がクライマーとして身に着けてきたことをフル動員した内容にしたい。

だから毎回毎回言っていることだけれど、僕は何よりも登る必要がある。

一流のクライミング消費者であり続ける必要がある。

 

 

ということを免罪符にして今日も明日も明後日も心置きなくクライミングを楽しむ。

なんとなく御前岩の写真

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2件のフィードバック

  1. go より:

    この記事のChris Danielsonの件は、どのように解釈されますか??
    https://cyclestyle.net/article/2017/10/06/52309.html

    • mic より:

      僕も書いているときまさにこのクリスについて書かれた記事を思い出しましたよ。
      誤解を恐れずに率直に僕の意見を書くと、
      「クリスは昔は今よりは強かったはずであり、さすがに3級より難しいグレード感はクライマーとして身についているだろう。
      とは言え三段は登れる水準にはなかったのは事実。
      故にビシッと三段が作れることもあれば、外すこともあると思う。
      そのためにアスピラントや試登員がいて、ある程度の分業化が進んでいるのだと思う。

      そして、例えばもし6級すらも登れない人ならばいくら分業化が進んでもチーフセッターとしては成り立たない。
      かといって二段三段は登れなくてもチーフにはなれる。しかし登れた方がインスピレーションの幅が広がるため強みになるはず」
      てな感じですかね。

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