瑞牆「一刀」。そして考えさせられたチームでのマルチピッチのスタイル

7/25,26で瑞牆へ。

僕らがかねてから登ってみたかった小面岩のマルチピッチ「一刀」をワンプッシュでチームレッドポイントできました。

あとマルチピッチの完登の定義をちょっと考えてみたり。

 


フリーダム

1日目は(いつものごとく)超絶寝坊したので、末端壁に着いたのが16時ちかくでした、、、。

僕は夏の内に難しいものを触っておこうと思い、末端壁から正面壁へ行く途中にあるボルトとナチュプロのミックスルート「フリーダム」(5.13a)をやってみることに。

フリーダムは元々南裏さんのプロジェクトでしたが、瑞牆本の作成の段階でオープンプロジェクトとなり増本さんが初登。

下部の垂壁スラブっぽいボルトパートを越えて、右上するフィンガークラックに入っていきます。

核心はボルトパートで、ボルダームーブで1級程度とのことなのですが、、、できない。

おそらく一番の核心だと思われるボルト3本目付近の左出しの1手がマジで20回くらいやったけどできない、、、。

夏な上に陽が当たっていることも影響しているのだろうけれど、とても1級には感じられなかった。

何かムーブがあるのか、、、。

またやってみます!

 

 

一刀

2日目は小面岩の「一刀」(5.11b、8P)!

こちらも2013年とかなり近年に登られたマルチピッチで、なんといってもすごいのが

・グラウンドアップで開拓

・オールナチュプロのルート

なのです。

つまり初登の内藤さんはこのラインを懸垂下降などで下見することなく下からフリーで登っていき、さらにルート中には一本のボルトも打っていないのです。

先日ようやく「ベルジュエール」も登れたので、ずっとトライしたかったこの一刀に妻のむっちゃんといってきました。

 

1P目(5.9、む)

パッと見やりやすそうなワイドクラック。

むっちゃんはランナウトしつつも落ち着いてオンサイト。

僕は下から見ていて「5.9もないんじゃない?」と思っていましたが、やってみるとちゃんと5.9のワイドでした。

荷物が引っかかったのもあるけれど、ぜーぜー言いながらなんとかフォローでもノーテンで通過。

 

2P目(5.11a、み)

写真が無いのが残念なくらいとてもキレイなフィンガークラックのあるピッチ。

核心は長くはないけれど足が悪くてかなり落ちそうになったが、気合でオンサイト。

少し易しめかもしれないけれど純粋なクラックの5.11aのオンサイトはおそらく初めてだったので嬉しかった。

 

3P目(4th、む)

このピッチは歩いてもいけるのかもしれないけれど少し悪いので、ロープを出した方が良い。

 

4P目(5.11b、む)

一刀のハイライトピッチ。

前傾したシンハンドのクラックから始まりハンドに、そして最後はフィンガーとワイドも少し出てくる贅沢なライン。

クラックの充実感満載で本当にオススメのピッチなのだけれど、自分の写真を撮る才能が無さ過ぎて絶望する、、、。

 

このピッチはむっちゃんがリードを立候補。

超入念なオブザベ&行ったり来たりを繰り返した後、意を決して突っ込む。

かなり粘って核心のシンハンドを通過したものの、ハンドパートでカム選定をミスしてしまいフォール。

まだ時間的余裕があったのでもう一度リードトライするためにそのまま上まで抜けてもらい、ロワーダウンして壁をまっさらにしてもらった。

レストの間に今度は僕がリードしてみることに。

前のピッチをオンサイトしていたことと、このピッチは5.11bにしては登り易いと聞いていたので心の中では「まぁいけるだろう」と楽観的に捉えていたが、同じくハンドパートで力尽きフォール!

普通に悪いやんけ、、、。

そして僕も上まで抜けてロワーダウンでカムを回収。

 

この段階で僕は心の中では「むっちゃんは2P目も粘ってフォローで落ちて消耗しているしさっきのトライから疲労が回復し切っていないことを考えると、次のトライでも登れない可能性が高いだろう。今日は二人ともこのピッチを練習して後日来るかな」とぶっちゃけ考えていた。

そして時間的にも登らなければ今日中の一刀ワンプッシュレッドポイントは厳しい中、むっちゃんのセカンドトライ。

しかしさっきとは打って変わったような淀みのないムーブとカム選定で、なんと渾身の力でレッドポイント!

はっきりいって驚いた。

しかも太陽がカンカン照りで、数手出すだけでクラックに突っ込んだ手があっという間に自分の汗でびしょびしょになるようなコンディションの中でこの登り。

これまでのマルチピッチではむっちゃんとチームを組んでいたが、難しいピッチのリードレッドポイントは僕がやってきたし、力量の差から考えて高難度のマルチではその傾向がますます強くなるんじゃないかとうっすら感じていた。

でも今回は僕が落ちたピッチをむっちゃんがリードでレッドポイント。

自分の妻ながら登りに感動したと同時に、頼もしさも覚えたそんなピッチだった。

この登りを見ては僕もフォローとは言え落ちられないと思い、テーピングが汗でぐしょぐしょになって外れかけながらも骨でジャミングするような意地のクライミングでノーテンで切り抜けた。

 

5P目(3rd):歩き

 

6P目(5.7、み):このピッチはチムニーを登るのだけれど僕はチムニーの隙間を抜けて向こう側へ行ってしまい、謎のルートから7P目までいってしまった。

 

7P目(3rd):歩き

 

8P目(5.11a、み)

簡単なクラックトラバースの後にプロテクションを足元に怖いスラブの2,3歩がある最終ピッチ。

絶対に落ちたくないと思っていたので慎重に行ったが、前回やったシルバーフリーウェイ1P目(5.10b)の方がメンタル的にもスラブ技術的にも困難だった。

とは言えこのピッチも落ちるとえらいことになりそうだし、5.11aを付けておいた方がトライするクライマーにとっては親切なのかもしれない。

あと(特にトラッドよりの)スラブのグレーディングってそもそも難しい。

ワイドクラックもそうだけどこういうスラブも同じグレードのスポートルートと比べると遥かに困難だし。

例えばスポートの5.12aなら「よーし頑張ってオンサイト狙ってみるぞー」となるけれど、ワイドとかスラブの5.12aって怖すぎてもはや想像ができない。

まぁこの辺のグレーディングはまた別記事でその内気が向いたら書きます。

 

そして無事頂上へ。

オンサイトとはならなかったけれどワンプッシュでチームレッドポイントできて僕らとしては成長を感じた一日でした。

なにより小面岩の頂上からこれまで登ったルートも含めてたくさんの岩が見渡せて、改めて瑞牆の壮大さを感じました。

より一層瑞牆が好きになった気がします。

<頂上からの十一面、こう見ると末端壁って本当に末端なんだなぁ>

 

<頂上からの瑞牆山や大ヤスリ小ヤスリ>

 

 

チームでのマルチピッチのスタイル

前々から色々と思うところのあるチームでのマルチピッチの完登スタイルをこの一刀でまた考えさせられました。

普通のワンピッチのルートクライミングであれば完登というのは

・レッドポイント

・ピンクポイント(カムを予めセットした状態でリードする)

・トップロープ

くらいしか大きなタイプはありません。(いや細かくはもっとたくさんあるのだけれど)

しかしマルチピッチとなると「何を持って完登とするのか」というのが非常にやっかいです。

めちゃくちゃ参考になるのが杉野さんの「解説!」ドーンウォールで是非読んでみて欲しいのですが、目下のところ迷っているのはリンク先の「成功の定義」でいう

3.各人が全ピッチフリーするかどうか

6.プロテクションは落ちた地点まで残置するかどうか

でしょうかね。

 

3の各人が全ピッチフリーというのは、その名の通りリード&フォローの各人が全てのピッチをノーフォールでフリーで登り切ることです。

マルチピッチにおいてリードだけがフリーでレッドポイントしフォローはフリーで登らなくても良い「チームフリー」という考え方もあり、今回は2P目をむっちゃんがフォローでもフォールしているので僕らは「一刀」はチームフリーしましたが各人が全ピッチフリーしたことにはなっていないです。

さらにドーンウォールに話を戻すと、トミーとケビンはドーンウォールの14,15P目は核心であるということもあり両者がリードして完登しています。

これに照らし合わせると今回は核心である4P目を僕はリードで完登していないので、より厳しい全ピッチフリーを試みるならこのピッチだけでも二人ともリードで完登するべきとも言えます。

それとやったことがないので想像ですがビッグウォールで膨大な荷揚げまで自分達でやる場合は、フォローがフリーというのは現実的ではないのかもしれません。

 

6のプロテクションは落ちた地点まで残置するかどうかというのは、要は全ピッチレッドポイントするのかピンクポイントでも許容するのかという話です。

今回は4P目は二人ともフォールしましたがその度に壁をまっさらにしてレッドポイントを狙い、結果全ピッチどちらかはレッドポイントしました。

しかしこのカムを抜いて壁をまっさらにする作業はルートによっては非常に手間がかかる場合もあります。

ドーンウォールの場合は「プロテクションは登りながらセット、しかし落ちた地点までは残置」ということである種のピンクポイントを許容しています。

あと少し話が逸れますが、いつも迷うのがボルトとナチュプロのミックスルートの場合にボルトのヌンチャクまでトライの度に外すかどうかという点。

 

まぁこの辺もスタイルなので何が正解などの話ではもちろん無いのですが。

ただその時点での僕らの力量とルートの性格を照らし合わせて、最良のスタイルはなんなのかということは常に模索していきたいです。

 

さぁ次はアレをやろう。アレを。

あわせて読みたい

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください