中国陽朔クライミングトリップ~サウナのクライミング編~

中国陽朔クライミングトリップ~サウナのクライミング編~

中国に仕事で半年間行っている高校時代の友人の元に行くついでに、陽朔(ようさく、Yang shuo)でクライミングを楽しみました。

滞在は6日間で登ったのは4日(+帰国日に朝5時から1時間くらい)。

簡単に今回の陽朔でのクライミングトリップをまとめようと思います。

ほとんどクライミングしかしていないですが、陽朔の観光のことは以下の別記事で。

中国陽朔クライミングトリップ~喧噪の観光編~

<Treasure Caveにて。テントは別パーティーのものですが>


陽朔のクライミング

エリア・ルート概要

陽朔は中国の南部にあり、主にスポートルートと一部トラッドルートがいくつかあります。

かなりの数のエリアが開拓されていて、全て合わせるとおそらく30エリア以上。

石灰岩がメインで中にはかなり発達したコルネを登れるルートもあり全体的に迫力は満点。

外国から来ているクライマーにも数パーティー会いました。

現在日本で手に入るのは『Climb China』という中国全土のトポでこのトポは10のエリアをカバーしています。

『Climb  China』pump online

より広くカバーしている最新のルート情報は現地で陽朔のみを掲載しているトポを買うか、ネットのルート情報まとめサイトを参考にした方が良いです。

「27CRAGS」の陽朔

「The Crag」の陽朔

それとトポやネットによってグレードどころかルート名自体も違うので注意です。

中には5.10cが5.11bとなっているくらい大幅に違うルートもあったので。

アプローチ

日本からは香港などを経由した場合、

香港まで5時間~香港でトランジット2時間~香港から桂林両江国際空港まで1.5時間~空港から陽朔市街まで1.5時間

で合計10時間くらいで街までいける感じでしょうか。

航空券はハイシーズンのお盆でも安い航空会社なら往復10万円ほど。

空港から街まではバスを使うとより安いですがタクシーでも250元~300元で、現段階のレートで1元16~17円なので4,000~5,000円程度です。

街からはタクシーでエリア近くまでアプローチできますが、主要エリアへの道は途中の大きな門から先は7:00~19:00まで車の通行が禁止されているので、そのあたりで電動バイク等を借りる必要があります。

街のどこを拠点とするかにもよりますが、タクシーが10元~20元で電動バイクが1日50元(ただし返してもらえますがデポジットで200元渡しておく必要あり)。

一番近いエリアなら市街から30分以内、遠くてもおそらく2時間はかからずに岩場までアプローチできるのではないでしょうか。

タクシーや電動バイクを使わなくても例えばSwiss Cheeseなどの近いエリアならば街から5,6kmなので、その気になれば全て歩いても行けるかもしれません。

気候など

『Climb China』には”the best time to go is at end of June until the end of November”と書いてあり、6月終わりから11月がベストシーズンと書いてありますがこれはかなり怪しいです。

「The Crag」の陽朔には冬がベストであるとされているルートが多いですし、実際に僕らがいった8月半ばははっきり言ってクライミングには全く向いていない気候でした、、、。

1回登る度にかいたことの無い汗が噴き出ます。

Treasure Caveなどの陽が当たらない洞窟ならばまだ登れますが、太陽が照っているエリアでは蒸し暑くてまともなクライミングはほぼ不可能だと思った方が良いです。

温度計や湿度計がなかったのであくまで体感のイメージですが気温は30度以上で湿度も80%を越えているような感じです。

出会ったクライマーにもらった以下の時間帯別の日射情報を参考にして少しでも登れるところを探しました。

現地のガイドに聞いたところナイトクライミングは禁止されていないようですが、出発日に朝5時前から真っ暗な中少しだけ登りましたがそれでも大量に汗をかいたのでこのシーズンはナイトでも暑いかも。

それでも昼間よりは遥かにマシですが。

まぁこの時期に行くならばエンジョイクライミングと発汗ダイエットを前提にした方が良いですね。

行ったエリアや登ったルート紹介

4日間で行ったエリアなどを簡単に紹介します。

陽朔全体としては、White Mountainにはクリス・シャーマが開拓した5.14台などハードルートが数多く揃っていますが、その他は5.10以下から5.12後半もしくは5.13前半までに収まっているエリアが多いです。

またグレード感も日本のデシマルと比べると甘いと感じるルートも多く、個人的には御前岩と同じ程度という印象を受けました。

フランス人クライマーが開拓してフレンチグレードを付けているのでそれも納得ですね。

岩場間でのグレード差を定量的に比較してみる

Moon Hill

まず向かったのはMoon Hill。

事前にトポでMoon Hillの写真を見て、陽朔で登るなら絶対ココだと思っていました。

主要エリアに繋がる門から電動バイクで飛ばすこと15分程度でMoon Hillの入口に着き、そこで14元払って中に入ると岩の全貌が見えます。

おー、写真で見た素晴らしいアーチが山の上に!

テンション激上がり。

ここから30分~1時間くらい歩くと着くらしいのですが、クライミングの準備をしていると警備員に声をかけられます、、、。

そしてこれを見ろと言われた看板には、、、

な、なんと登攀禁止の文言が!

実は2006年からMoon Hillでのクライミングはできなくなってしまったそうなのです。

ガイドの方の話では中国人の中にはクライミング自体を危険なものと思っていて避ける人も多いらしく、それも関係しているのでしょうか。

ただ他のクライマーの情報によるとMoon Hillは10月か11月のクライミングフェスティバルの時期だけは登れるとのことなのでまた来ることがあったらその時に訪れたいです。

クライミングフェスティバルの情報

とにかくこの件で一同意気消沈。

僕らはMoon Hillで4日間すごしても良いくらいに考えていたので他のエリアはほぼトポを見てこなかったのですが、気を取り直して友人とその彼女が前日に登って結構良かったというTreasure Caveに移動することに。

Treasure Cave

Treasure Caveはエントランスエリアと2つの洞窟からなります。

Moon Hillよりも手前に位置し、メイン道路を進んで観光名所となっている橋を渡ってすぐに右に曲がり村を奥まで進みオフロードになったあたりでCaveが見えます。

<2つの穴の中で登れる>

洞窟に入ってしまえば比較的涼しく、蒸し風呂のような夏の陽朔では快適な方なので結局4日中3日間もこのCaveに来てしまいました。

2つめのCaveの中はこんな感じでコルネが発達。

<Caveから外の眺め>

<シャンデリアのようなコルネ>

登ったルートなどを紹介すると

・Corner Bug Zoom(5.10b)

僕は登っていないのですがこのエリアでおそらく最も取りつきやすいルート。

しかし高く登るため持久力が要りそう。

・90 Degrees(5.10b)

当初はこのCaveで最も簡単なルートと思い取りついたが、なんと1ピン目かけたあとにスリップして落た、、、笑えねぇ。

5.10bにしてはなかなか登りごたえがありましたが、最新のトポでは5.10dとなっているとのこと。

・Mini Pee(5.10b)

こちらも5.10bとなっているけれど、最新のトポでは5.10d。

出だしで左のハングを行くか、右の垂壁を行くか選べてどっちも同じくらいのグレード感。

・Nut Good(5.11a)

外側のルートで暑かった、、、。

バルジののっこしで右と左のどちらでもいけます。

最新のトポでは5.10d。

・Ten-Ben(5.11a)

短めだけれどホールドがどれも微妙に持ちづらい。

少しボルダーチック。

・Trou Sec en Milleu Humide(5.11c)

上に載せたシャンデリアのコルネを登る4つ星ルート。

絶対に触るべき。

僕はトップロープでの回収便しかやっていないが登りごたえ満点。

むっちゃんが気合でオンサイト!

・Crispy Crimpy(5.11d)

クライミングしてるなーというオススメルート。

指&持久系で面白い。

・Outside Side(5.12b)

明確な右手デッドの核心がありボルダーチックなルート。

核心で1度落ちて次の便で登った。

ホールドが欠けたのか最新のトポでは5.12a。

<Outside Sideの動画>

・Hanging Out In China(5.12d)

Treasure Caveで最難のルート。

Caveの外の一番上まで登るので長くて最高に楽しい4つ星。

トポによっては5.12cにもなっていてホールドは比較的ポジティブで登り易い。

ファーストトライで落ちて2回目で登れたが、ハングのため回収便が必要で計3回登った、、、。

<Hanging Out In Chinaの動画>

Swiss Cheese

Treasure Caveよりも更に街よりにあり、最もアプローチの短いエリアの1つです。

夕方になると涼しくなるので登れますが、昼間はエリアにいるだけでツラい、、、。

門の後メイン道路を進んでわりとすぐに右に入って舗装された道を進みます。

右手に大きな池が見えるのでその手前を右に入ると家のそばの駐車場に2元でバイクを停めることができます。

<まさにスイスチーズ>

壁は大きく左と右に分かれていまして、右には5.5から易しいルートが揃っています。

左は5.10aから最高5.13aまで。

横にルートが並んでいてまるで二子の弓状エリアを小さくしたかのような感じです。

・Philly Cheese Variation(5.10c)

5.10cでも右エリアでは最も高難度であり、特徴的な大きな穴を登るルート。

トポによっては5.10dとなっていて、ルート名もMouse Trapとなっている。

穴の処理がトリッキーで面白い。

・French Connection(5.12a)

細かいホールドを繋ぐルートでかなり面白い。

しかし出発日の早朝に1便出してみたが登れず。

このツアーで触ったルートで唯一登れてないや、、、。

トポによっては5.12b。

・Rock N Rolla(5.13a)

左エリアの最難ルート。

B.Crossというルート名になっていることもある。

クリンプの連続が悪くて、更に最後のポジティブだが向きの悪いホールドでのトラバースが核心。

2日間で計4便でRP。

登れた便では逆クリップをしたりあまりの余裕のなさに最終クリップを飛ばしたけれど結果オーライ。

トポによっては5.12dや5.12d/13aとなっていて、僕の体感も日本なら5.12dまでしか付かないように思う。

しかしTheクライミングといったルートで非常にやりがいがあった。

このコンディションでも登れたのは真夏の瑞牆で登った成果が出たと思って喜んでおこう。

<Rock N Rollaの動画>

とこんな感じで短い間でしたが楽しめました!

次は涼しい時にきたいですねー。

ではでは!