3週間岩だけ触ると身体はどう変わるか

3週間岩だけ触ると身体はどう変わるか

Yosemite・Bishopツアーから帰り、3週間ぶりにプラスチックホールドを触っております。
ツアーに行く前は「インドアの能力を落とさないためにもアメリカでもたまにジムに行こうかな」とか言っていましたが、YosemiteやBishopの岩を前にしてジムに行くなんてことはもったいなさ過ぎて不可能でした。

クライミングを始めてからこれほど長くインドアで登らなかったのは初めてなので、ある種の人体実験の結果として簡単に自分の身体の変化をまとめておきます。
長期ツアーなどに行く人の参考になれば。

<肉体的な変化>
・筋肉が落ちた
これは体重が1kgくらい減っているので、単にインドアで登らなかったからとは言えないですが、目に見えて胸筋や腕周りの筋肉が落ちましたね。
具体的なデータがあるのは前腕の周囲径だけなのですが、26.5cmから25.5cmくらいにまで約1cm小さくなりました。
この要因は、普段お世話になっているKazu先生のお話(を自分なりに解釈したもの)によると、おそらく以下の様に考えられます。
「岩場では筋肉の長さを変えないでロック気味に力を発揮する等尺性収縮(アイソメトリックコントラクション)が多いのに対して、インドアでは筋肉を伸び縮みさせる短縮性筋収縮(コンセントリックコントラクション)や伸張性筋収縮(エキセントリックコントラクション)が多い。そして後者2つの方が筋肥大に効果がある」
まぁざっくりと言えば、岩場ではインドアほど引いたり伸ばしたりする動きが少ないからということですね。
ただポジティブに考えればスリムになったとも考えられるので悪いことではないのかもしれないです。

・肩関節が柔らかくなった
もう一つの変化としては身体が柔らかくなりました。
特に顕著なのが肩関節です。
普段から肩のストレッチはしているのですが、肩周りの筋肉が削ぎ落ちてスリムになったせいか、炎症が消えるなどしたせいなのかわかりませんがこんなことができるようになりました。

背中で合掌
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大谷投手とかゴルファーの石川がやってるやつ
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ちょっとまだ硬さがありますけどね。
あとツアー効果で髪が伸びて寝癖がつきやすくなってます。

・手首、肩、膝などの痛みが軽減した
そしてツアー前は手首、肩、膝に大きな痛みではないですが違和感がありましたが、ツアーから帰ったらほぼなくなっていました。
普段のインドアとは違う動きをして、酷使していた箇所が休まったんですかね。
ただ岩場は岩場で同じ動きばかりしていたら、別のところが痛くなる可能性ももちろんあるとは思いますが。

<クライミング能力の変化>
・カチが強くなった
これも減量効果もあるのでわかりませんが、カチが強くなった気がします。
特に傾斜がそこまで強くない範囲ならば保持感が大分あがったと思います。
ライノの120度の茶色(初段)の10番という、テクニックの激カチをひたすら保持するだけというYou君作成のクソカチシンプル課題(褒め言葉)があるのですが、この2手目取りが以前の僕にとっては余程調子が良い時でないと止まりませんでした。
これがツアーからの帰国翌日にアップほぼ無しでやったらいとも簡単に止まりました。
おそらく毎日のようにThe Forceの激カチを握っていた効果が出たのかもしれません。

茶10の2手目まで
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・引き付け力の低下
これは肉体変化のところで触れたことと被りますが、とにかく引き付けができなくなっています。
ロックするのは良いのですが、引けない。
足が切れた時にも引き付けてグッと耐えきれない。
と同時にある程度引き付けを必要とする距離系のキャンパもできないですね。
これまたライノクライマーにしかわかりませんが、僕が6Holdsと呼びアップでよくやっているキャンパシングがあるのですが、これの1-3でキャンパをするというのが全くできなくなっていました。
まぁそういった動きをしていなかったので当たり前ですが、軽々できていたことができなくなっていたのはかなりショックではありましたね。

6Holdsキャンパ
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・ランジができない
同様にランジもクソみたいになっていました。
紺(2級)の3番というこれまたYou君作成のダブルダイノ課題があるのですが、ギャグみたいにできなかった。

・スタミナの低下
そして最も顕著に表れたのが、スタミナの低下。
1時間くらい連続で登るだけで異常なパンプに襲われます。
確かにツアー中は1日平均20便出しているかどうかってレベルなので、登っている量は普段のインドアよりは確実に少ないと思います。
ツアー前は、ライノの3級を10本一度も下りずに全て登ることができて、2級も7本くらいは一度も下りずに繋げられたのですが、帰国翌日は4級ですら3本も繋がらなかった、、、。

<どのくらいで戻るか>
ただ帰国してから4日連続でインドアで登っていたらかなりのスピードで戻ってきているように思います。
1日目にはできなかった上記のキャンパもランジも4日目にはできるようになりました!
1日目は3級を1本登るだけで腕の張りがヤバかったのですが、昨日は高木さんも付き合ってくれたおかげで1~3級課題をなんとか20本トライすることができるくらいまで体力も復活(全部登れたわけではないが)。
人間の身体とは面白いものですね。
ただ、それと同時に残念ながらカチ力もちょっとだけ平凡化した気もします、、、。
昨日再び茶10の2手目をやったら帰国直後の浮遊感は消えていた。
きっとあと数週間でツアー前と同じような感じになるのでしょう。
その時に、岩場で培った良い感触は残しつつインドアの力も戻して、以前より全体値としてちょっとだけパワーアップしているのがベストなのですがね。

てな感じで簡易人体実験レポートを終わりにします。
ではでは。