クライマーの低年齢化は進んでいるのか~BJCトップ選手の年齢推移~
リザルト分析系が続きます。
今回はトップクライマーの平均年齢等が近年どのように変わっているのかを調べてみたいと思います。
はじめに
“最近若手クライマーが強い”
“年齢には勝てない”
クライミングをやっているとこんな声が周りからちらほら聞かれます。
確かにここ数年でクライミングのすそ野が広がり、小さい頃からクライミングを始める人が増えたことは間違いないと思います。
コンペでも小学生や中学生の活躍も目にします。
しかしコンペで最上位に入るような層は本当に低年齢化しているのでしょうか。
今回はトップクライマーの年齢の推移をみるとともに、クライミングの年齢のピークのようなものも何となく掴んでみたいと思います。
果たして非若手クライマーに希望を与える記事となるのか、はたまた、、、
分析の方法
分析の方法は以下です
・ボルダリングジャパンカップ(以下、BJC)男子の過去9回分の成績上位10人を対象に
・平均年齢、最高年齢、最低年齢の推移を調べる
ただし、正確な生年月日がわからなかった選手は年齢が±1歳ずれている可能性があります。
また、第6回BJCに関しては1名年齢が不明であったため9名を対象としています。
とりあえずボルダーで見てみたいと思います。
女子も調べると面白いとは思いますが、女子の場合は過去に極端にBJC出場者が少ない年があったり、また正確な年齢が不明な選手が多いため、今回は男子で見てみます。
結果
とりあえず結果のグラフ
(相当久々にExcelでグラフ描いた)
x軸がBJCの開催回
y軸が年齢
青線がトップ10選手の平均年齢推移
赤線がトップ10選手の最高年齢推移
緑線がトップ10選手の最低年齢推移
少し結果を見てみます。
やはりボルダーコンペの最上位層の平均年齢は20代前半となっていることがわかります。
しかし、低年齢化という観点から見ると、第1回から第9回まで10年近く経っていますがトップ10選手の平均年齢は0.9歳若返ったのみです(22.7歳→21.8歳)。
第1回BJCでも堀創選手が15歳で9位に入るなど10代~20代前半の若手が既にかなり活躍しています。
またほとんどの大会において30代の選手がトップ10に入っていることも興味深いです!
これは非若手クライマーにとって勇気付けられるデータではないでしょうか。笑
ちなみに過去トップ10の最高齢記録は第1回の平山ユージさんの36歳!!さすがレジェンド。
結論としては、ボルダーコンペの最上位層の年齢はここ10年近く22歳~24歳程度のレンジに収まっていて、特に近年低年齢化が進んでいるわけではない、と言えると思います。
考察
このトップ選手の平均年齢を他のスポーツと簡単に比較してみたいと思います。
例えばクライミングと体の使い方が近いと言われている体操競技。
裏を取って調べていないので間違っていたら申し訳ない&少し古いデータですがのですが、以下のリンクによると日本の体操競技の金メダリストの平均年齢も20代前半~20代半ばとなっています。
(「体操選手」の全盛期、最盛期、ピークって平均何歳くらい?)
10代の金メダリストは皆無、30代以上の金メダリストもほとんどいません。
一概に比較することは難しいですが、仮に体操競技が成熟した競技であり、クライミングと体操競技の選手としての年齢のピークが同じ程度だという前提に立つと、今後トップクライマーの低年齢化が今より進行することはなく20代前半で落ち着くのではないか、と予想することができます。
また現在はプロと呼べるクライマーの存在は少なく、学生時代を終えるとサラリーマンをしながらクライミングを続けるという方も多いと思います。
今後クライミングが成熟し、学生時代を終えてもプロとしてクライミングに専念する選手が多く登場すれば、もしかしたら野球などのように更に年齢を重ねてからピークを迎えるような選手が増える可能性もあると思います。
まぁこのへんは非若手クライマーの希望的観測ですが、、、。
おわりに
しかし男子のボルダリングに限っては低年齢化がそれほど進んでいないというのは少し意外でした。
女子やリードはまた違うのかもしれませんがね。
まぁそれはまたの機会に。
それでは。
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