2016ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える~後編~

2016ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える~後編~

さて、2016ボルダリングWCの男子年間チャンピオンを考える後編。
前編ではもろもろの説明や現状確認をしたので、後編では実際に結果のシミュレーションをしてみます。
もう一度現状の表も貼っておきます。
現状 v04

 


結果

いきなり結果を貼ります。
前編で説明したとおり、「1.アレクセイが最終戦で優勝した場合」と「2.アレクセイが最終戦で2位以下の場合」にわけます。

見方は、藤井と楢崎の順位&合計ptをそれぞれ横軸と縦軸においています。
表の中のアルファベットは年間チャンピオンの頭文字で、Fなら藤井、Nなら楢崎、Aならアレクセイ、ということです。

Sim 1 v02

Sim 2 v02

 

表から言えること

表の見方に慣れないと混乱するので説明しますね。
まず前提としては、同順位の発生パターンを考えるとキリがないため、簡単に各選手は同順位にはならないという前提で表を作っています。
「1.アレクセイが最終戦で優勝した場合」で藤井も楢崎も1位のところがグレーなのは、アレクセイが1位という前提なので2人とも1位にはなれないからです。
それぞれの表で対角線のマスがグレーになっているのも同じ理由で、藤井と楢崎が同じ順位にはならないという仮定で表を作っています。

「1.アレクセイが最終戦で優勝した場合」からもう少し深堀って説明します。
この場合はアレクセイが100pt獲得し、これまでの大会の最小ptである20ptがワールドカップ・ランキングから対象外となるので、アレクセイの実際のポイント上昇は80ptです。
よってアレクセイの年間ポイントは現状の327ptに80ptを足して、407ptとなります。
この場合、藤井は5位以下だと年間ポイントが406pt以下、楢崎は7位以下だと年間ポイントが405pt以下、となるので「アレクセイが優勝」かつ「藤井が5位以下」かつ「楢崎が7位以下」の条件が満たされたときにアレクセイが年間チャンピオンとなります。
1つ目の表でAとなっているパターンですね。
このアレクセイが優勝した場合に藤井と楢崎が優勝するには「藤井は4位以上」、「楢崎は6位以上」が必須条件です。
(表の中でFは藤井が4位より左側にしかなく、Nは6位より上側にしかない)
対角線のグレーのマスが藤井と楢崎のどちらが順位が高くなるかの分かれ目で、対角線のグレーよりも左のケースは藤井の方が順位が高く、上のケースは楢崎の方が順位が高いということです。
楢崎が6位以上の場合を見ると、対角線のグレーより上側は全てNなので、楢崎は藤井より上の順位になれば年間チャンピオンを獲ることができます
一方で、藤井が4位以上の場合では対角線のグレーより左側はほとんどFですが、Nの文字が付いているマスが1つあります。
それは「藤井4位、楢崎5位」のマスです。
この場合は楢崎が年間チャンピオンです。
これは前編で説明したように、楢崎は第1戦が16ptと低い得点であったので、楢崎の方が最終戦で得点を上げる余地が残っていることから起きています。
よって藤井は4位以上を取り、かつ「藤井4位、楢崎5位」というケースを除けば楢崎よりも上の順位になることで年間チャンピオンを獲ることができます
また、「楢崎6位、藤井5位」のマスもNなので、この場合も楢崎は藤井より順位が下ですが、楢崎が年間チャンピオンとなります。

続いて、2つ目の表の「2.アレクセイが最終戦で2位以下の場合」を考えてみましょう。
この場合は、藤井か楢崎に年間チャンピオンは絞られるので全てのマスにFかNの文字が入っています。
1つ目の表同様に、対角線のグレーのマスより上側は全てN、つまり楢崎は藤井よりも順位が上であれば年間チャンピオンです。
左側でもいくつかNの文字があり、藤井は楢崎の順位を1~3位上回らないと年間チャンピオンを獲れないケースが多いです。
例えば、「藤井7位、楢崎9位」のマスもNなので、この場合でも楢崎が年間チャンピオンとなります。
しかし、藤井が不利な状況かというとそうとは言い切れないです。
なぜなら現時点でのポイントは藤井が上回っているので、楢崎が低順位に沈めば藤井が自動的に年間チャンピオンとなります。
楢崎の13位より下側は全てF、つまり楢崎が13位以下の場合は藤井の順位に依らず、自動的に藤井が年間チャンピオンを獲得します。

 

ざっくりまとめ

ざっくりですがまとめますね。

・アレクセイが最終戦で優勝した場合
 -「藤井5位以下」かつ「楢崎7位以下」ならアレクセイが年間チャンピオン
 -「藤井4位以上」または「楢崎6位以上」の場合、藤井は年間チャンピオンになるには最終戦の自身の順位に依るが楢崎より1~2つ程度順位を上回る必要がある。そうでなければ楢崎が年間チャンピオン

・アレクセイが最終戦で2位以下の場合
 -楢崎が12位以上なら、藤井は年間チャンピオンになるには最終戦の自身の順位に依るが楢崎より1~3つ程度順位を上回る必要がある。そうでなければ楢崎が年間チャンピオン
 -楢崎が13位以下なら、藤井が年間チャンピオン
 

 

終わりに

表の見方に慣れていないと複雑すぎたかもしれません、、、。
いずれにせよ、最終戦のミュンヘン戦は日本のクライミング界にとって歴史的な瞬間になる可能性が高いです。
藤井選手と楢崎選手のみならず、出場選手皆が力を出し切れることを祈ります。