2016ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える~前編~
2020年東京オリンピックの追加種目にスポーツクライミングが正式に選ばれたようですね。
そして同じくらい盛り上がりを見せているのが、ボルダリングワールドカップ2016の男子年間チャンピオンの行方。
現在日本人の藤井快さんと楢崎智亜さんがなんと年間ランキングで僅差で1位と2位になっています。
8月12,13日にドイツのミュンヘンで開かれる最終戦で誰に軍配が上がるかが決まります。
今回の記事では、最終戦の結果がどうなると誰がチャンピオンになるのかを考えてみます。
長くなりそうなので、記事を前編と後編に分けたいと思います。
前編ではワールドカップ・ランキングとはそもそも何なのかという説明や、現状のランキングの確認等をします。
後編では実際にシミュレーションをしてみます。
ワールドカップ・ランキングとは
ワールドカップ・ランキングとは詳しくはIFSCルールの11.7の章を見てほしいのですが、簡単に説明するとワールドカップのリード、ボルダリング、スピードそれぞれの種目ごとに決まる年間ランキングです。
どの種目でも通常年間で大会が数戦あり、各大会の順位に従って選手はポイントを獲得します。
種目ごとに年間で獲得したポイントの最も多い選手が、その種目の年間チャンピオンとなります。
(ちなみに全ての種目の合計ポイントを対象にした個人総合ランキングというものもある)
各順位で得られるポイントは以下です。
細かい補足ルールをいくつか書いておくと。
・年間で6戦以上あった場合は、最もポイントの低い1大会はワールドカップ・ランキングの対象外となる
・最終戦終了時に2名以上の選手が同じポイント数で1位同着だった場合、同時に出場した大会で相手より上位となった回数が多い方が年間チャンピオンとなる。それでもなお同着の場合、より上位の成績の獲得数で決定をする。
・同着が出た場合は同着が占める全順位の平均得点が対象選手に与えられる。例えば16位が4名いたら、16~19位までの得点の平均の17ptが4名に与えられる
今回の記事で大切なのは補足ルールの1つ目です。
今年のボルダリング・ワールドカップは全7戦あるため、ワールドカップ・ランキングに算出できる大会は6大会分が上限です。
以下、ボルダリングワールドカップ・ランキングに絞って話を進めます。
最終戦前のランキング
まず6戦を終え最終戦を前にした現在のランキング上位を見てみます。
(ここからは敬称略。それと聞き慣れているので、日本人は苗字、外国人はFirst nameで書きますね)
・男子
1位:藤井快 389pt
2位:楢崎智亜 378pt
3位:ルブツォフ・アレクセイ 327pt
4位:ゲルマノフ・ルスタン 270pt
先ほどのワールドカップ・ランキングの得点表から、最終戦で優勝しても100ptしか獲得できないため、藤井から100pt以上差のある4位のルスタンには年間チャンピオンになる可能性はありません。
よって男子は、藤井、楢崎、アレクセイの3名に年間チャンピオンは絞られています。
・女子
1位:コクシー・ショウナ 517pt
2位:野中生萌 370pt
女子の方も同じ理由で、2位の野中に100pt以上の差をつけているショウナの年間チャンピオンが確定しています。
以下、男子の年間チャンピオンの行方を深堀してみましょう。
現状の詳細確認と分析の前提
男子の上位3名の獲得ポイントの現状を詳細に見てみます。
注目すべきは2点。
1点目は藤井が首位であるものの、これまでの6戦の中で最も低いポイントは藤井が第5戦の34pt、楢崎は第1戦の16ptであること。
これは上位6戦のポイントしか年間ランキングに貢献しないことから、楢崎の方が最終戦でポイントを上げる余地が残っているということです。
もう1点は藤井とアレクセイのポイント差が62ptであり、アレクセイの6戦の中で最も低いポイントが第5戦の20ptであるということ。
つまりアレクセイは82pt以上獲得しないと、年間チャンピオンの可能性が無いわけなので、アレクセイが2位以下になった場合は必然的に年間チャンピオンは藤井と楢崎の2名の争いになるのです。
このことから、「1.アレクセイが最終戦で優勝した場合」と「2.アレクセイが最終戦で2位以下の場合」の2つにわけて年間チャンピオンの行方を考えたいと思います。
長くなってきたので、続きは後編で!
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