間違えやすいクライミング用語

間違えやすいクライミング用語

テレビなどで「今流行のボルダリングです!」といって、インドアのリードクライミングが紹介されていたり、
ジムに遊びに来た人に「ボルダリングはやったことあるけれど、クライミングはやったことありません!」などと言われたりすると、クライミングやボルダリングという言葉が正しく認知されていなくてもどかしくなりますよね。

一応補足しておくと、ボルダリングとは「ロープによる確保をしないでやるロッククライミング」のことなので、紐を付けたらリードクライミングですし、ボルダリングをやっている時点でクライミングをしているわけです。
「ボルダリングはやったことあるけれど、クライミングはやったことありません」というのは、「りんごは食べたことあるけれど、果物は食べたことありません」と言っているようなものですね。

(クライミングのジャンル分けはこちら、クライミングの言葉の定義1~ロッククライミングのジャンル分け~

まぁでも言葉は生き物なので、この辺の議論も実は難しいんですけどね。
その内ボルダリングが「カラフルなホールドを登るスポーツ」という意味に転じる可能性もあるかもしれませんし。

とまぁ前置きが長くなりましたが、今回はクライミング用語で間違って使われている頻度が高いものをいくつか挙げたいと思います。
クライミング関連の記事などでせっかく良いことが書いてあったりしても、言葉が間違っていると個人的にはそこばかり気になってしまうので。笑

英語のカタカナ読みが間違っている系

・トウフック
足の甲をホールドに引っかけるテクニックをトウフックと言います。
しかし「トゥーフック」と発音している人が多いように感じます。
細かい発音の問題かもしれませんが、つま先を意味する英語のtoeの発音記号は「tou」なのでトウフックが正しいです。
サッカーでも「トウキック」ですし、バレエでも「トウシューズ」ですよね。
ただもはやトゥーフックの方が市民権を得ているのではないかと思うので、和製英語的に考えても良いのかな?

・デッド
次のホールドを静的ではなく、勢いを付けて取りに行くことをデッドポイント、もしくは省略して単にデッドと言います。
これもありがちなのですが「デット」と言っている人がたまにいます。
発音として濁音が消えているだけならまだ良いのですが、さすがに文字でデットと書かれていると気になってしまいます。
deadがdebtになってしまったら大変ですからね。
負債を抱えているのかと。笑
まぁでも英語をカタカナにする際には結構ありがちですよね。
ビッグ→ビック
バッグ→バック
などの間違いとか。

・フラッギング
上のデッドと同様の例ですが、フラッギングが「フラッキング」になっているのも気になります。
フラッギングとはバランスを取る際にあえて「同じ側の手足をホールドに置く」というムーブです。
(参考:クライミングの言葉の定義2~カウンターバランスって何だ~
この語源は旗である「flag」から来ているので、フラッキングではなくフラッギングが正しいですね。

・グラウンド
リードクライミングなどでロープで確保し切れずにクライマーが地面に墜落することをグラウンドフォールと言います。
もしくは単に「グラウンドした」などと略すこともあります。
こちらも「グランドフォール」と言われることが非常に多いです。
しかしgroundが正しく、grandでは「偉大なフォール」になってしまいます。
でも地面を表すときに普通に日常的に「グランド」と言っていることも多いので悩ましいですね。
英語の発音的には間違っているけれど既に日本語化した例とも言えるのかもしれません。

意味が間違って伝わっている系

・SD(sit down)
主にボルダリングの課題で、座るかしゃがむかしてスタートするような指定をする場合にsit down startの略で「SDS」や「SD」などの表記をする場合があります。
これは黒本には「座った状態、あるいはしゃがんだ状態でスタートする課題」と書いてあります。
しかし意味合いが大分狭まり「おしりを付けてスタートする」と解釈している人がたまにいます。
SD課題をいくつかさわるとわかるのですが、単にスタートが低い位置にありますよと指しているだけの意味合いでSDと書かれていることもありますし、明らかにおしりを付けることが不可能な課題も多いです。
低いところからのスタートという意味で「low start」と付いていることもありますね。

・スタンス
これはもはや間違っている意味の方が主流になっている例かもしれません。
スタンスとは本来的には「足の置き方」を意味します。
しかしそれが転じて「足で踏むフットホールド」自体をスタンスと呼ぶことが多い気がします。
実際僕も無意識にフットホールドの意味でスタンスと言ってしまっているかもしれないです。
ただ英語のstanceを考えれば、立場、姿勢、などの意味なのでやはりホールドを指すのはおかしいのですよね。

課題名

・静かの海
小川山の不可能スラブに「静かの海」という三段の課題があります。
これがたまに「静かな海」と言われたり書かれていたりすることがありますね。
確かに自然な日本語としては「静かな海」の方がスッと入るのかもしれませんが、やはり「静かの海」です。
ちなみにアポロ11号が月面に初めて着陸した場所が「静かの海」と名前が付いていて、おそらくそれが語源です。

・ハッバマシンガン?ハッパマシンガン?
瓢にある人気課題で「ハッバマシンガン」という二段の課題があります。
しかし口頭やウェブ上でも圧倒的に「ハッパマシンガン」と言われることが多いように見えます。
中には「葉っぱマシンガン」と書かれていることも。
しかしトポのメインページには「ハッバマシンガン」と書いてあるのでやはり「バ」が正しそうです。
が、実はトポの違うページには「ハッパマシンガン」という表記も見られます、、、。
しかも「ハッバ」だとしたらどいういう意味なのだろうか。
「発破」だとしても読みは「はっぱ」ですしね。
詳しい方いたら教えてください!

※追記※
こちら、ハッパマシンガン、が正しいようです!
※追記※

英語読み・現地読み系

クライミングに限らないと思うのですが、現地読みをするか英語読みをするかでカタカナ表記が変わる場合も多いですよね。
例えば、女性クライマーの「Janja」を英語読み気味にで「ヤンヤ」と読むか、現地読み気味に「ヤーニャ」と読むか。
ホールドメーカーの「Cheeta」を英語読み的に「チータ」と読むか、現地読み気味に「シータ」と読むか、みたいな。
これは僕もどっちで読むか気にしていた時期もあったのですが、最近は「どっちでもokでは?」と思うようにしています。
単に決めの問題という気がするのですよね。
なので、これ系に関しては自分の中でも読み方は定まっていなくて、その場に応じて変えていますね。

と、まぁこんなところでしょうか。
きっと他にもたくさんありますが、思いついたものを列挙してみました。
「この言葉もよく間違われている」というのがあれば教えてください!
ではでは。