2017年ボルダリングWC最終戦前のランキングとすげー細かい話
さて、いよいよ2017年のボルダリングワールドカップ(以下、BWC)も8月18,19日のミュンヘン大会(書いている時点で今日明日)をもって最終戦となりました。
ニュースやSNSでもそれなりに話題となっているので、今更僕が見どころとかを書くのも何か違う気がするのでmickipediaらしく少しマニアックに「データ」と「ルール」の面から触れたいと思います。
BWCランキングの確認
まずはBWCの現在のランキングを再度確認しておきましょう。
BWCは年間数戦ありますが、各大会ごとに順位に応じてポイントが付き最終的に年間ランキングが付くのです。
順位ごとのポイントや細かいルール等はこちらから:2016ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える~前編~
では現在のランキング20位までを男女それぞれ確認しておきましょう。
そして優勝すると100ptが入るのですが、女子は1位のショウナ選手が2位の野中選手に100pt以上の差を付けているのでランキング1位が確定です。
一方で男子は以前ブログに書いたように、チョン選手、アレクセイ選手、渡部選手の三つ巴で目が離せないわけです。
(参考:2017ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える)
S代表権の行方
で本題に入ると、知っている方も多いとは思いますがワールドカップランキングは翌年の代表権に大きな影響を与えます。
というのも最終的なワールドカップランキング(訂正)翌1月1日のワールドランキングで10位以内に入るとS代表権が獲得でき、翌年のワールドカップに優先的に出場することができるからです。
※追記※
勘違いをしていたため訂正します。
ややこしいのですが、ワールドカップランキングの他にワールドランキング(世界ランキング、などとも呼ばれる)が存在します。
(混乱を避けるためワールドカップランキングを年間ランキングなどと言うこともある)
こちらは計算が非常にややこしいのですが
・ワールドカップランキング(年間ランキング)の点数を各大会の参加選手に応じて圧縮する
・世界選手権のポイントも加える
という作業が発生します。
つまり、ワールドカップランキング(年間ランキング)で10位以内でも、世界選手権などを終えたワールドランキングで10位以内に入るかはわからないため、ミュンヘン戦後に結論を出すのは早急です。
※追記※
そういう観点からもう一度BWCのランキングを見てみると、なんと男子は現時点で渡部選手、楢﨑智亜選手、藤井選手、杉本選手、緒方選手、楢﨑明智選手、堀創選手と日本人が7名も10位以内に入っているというかつてない成績になっています。
手元で簡単に計算したところでは、杉本選手までの上位4人の日本人は最終戦を前にして10位以内は確定ですが、その他の選手にとっては最終戦の結果次第ではまだS代表権が獲得できるかはわからないため、このミュンヘン大会は非常に重要なのです。
また17位の原田選手も、優勝か準優勝をすれば100ptないし80ptが加算されるため、10位以内の可能性はまだ残っています。
そして女子も、日本の4強である野中選手、野口選手、尾上選手、小武選手は皆きっちり10位以内に入っております。
しかし9位、10位の尾上選手と小武選手はS代表権獲得という意味では全く予断を許さない状況なわけですね。
※追記※
こちらも同様にワールドカップランキング(年間ランキング)で10位以内であっても、ワールドランキングではどうなるかは不明のため、S代表権獲得が決まるわけではありません。
混乱をさせてすみません。
※追記※
しかもミュンヘン戦はご存知のとおり、男女ともに海外のスーパースター達が勢揃いといった大会なので上位を獲得することはより厳しい大会となっています。
そいういう観点からも最終戦をみるとより応援に熱が入るかもしれませんね。
ワールドカップランキングの小数点計算
ではここからは超マニアックなルールの話。
一応BWCランキングの得点計算表を再掲すると以下の様になっております。
もし複数の選手が同順位を取ると、選手達が占めたとされる全順位の平均得点が対象選手に与えられます。
例えば16位が4名いたら、16~19位までの得点(20+18+16+14)の平均の17ptが4名に与えられるということです。
そして今回気になったのは小数点以下の処理に関してです。
例えば29位タイが二人出たとすると(2pt+1pt)の平均で1.5ptとなるわけです。
この場合を日本語版のIFSCルールで確認してみたところ
11.7.2
ポイントは、小数点以下を四捨五入する
と書いてあるわけです。
そうすると1.5ptの四捨五入で2ptずつが与えらえる計算になります。
しかし、実際のポイントを見てみると29位タイの場合にはなんと1ptしか与えられていないのです!
(参考リンク:BWCランキング ブラウザによっては見れないです、、、。IEならほぼ確実に見れるかと)
ブログの最後に触れますが、今回お仕事で最終戦のポイント計算をするためこの差異は僕にとっては死活問題。
で、IFSCルールの英語版をあたったところ。
The points will be rounded off to whole numbers
と書いてありました。
英語の一般的な使われ方にあまり詳しくないのですが、おそらくこの場合のrounded offは四捨五入ではなくて「小数点以下を切り捨てる」という意味で使われている気がします。
なので実は日本語版のIFSCルールが違っていて、小数点以下は切り捨てとして良いのではないでしょうか。
(ただround offは使い方では四捨五入も意味することもあるかもしれません。切り捨てはround downとした方が間違いがない表記に思えるのですがどうなんでしょうかね。excel関数でもそうなっていますよね)
消えた選手
あとマジで謎でtwitterでもつぶやいたのですが、イランのゴラームアリー・バラツアデウ(Gholamali Baratzadeh)選手がなぜかランキングにいないんですよ。笑
ボルダリングWCの年間順位を調べているがイランのゴラームアリー・バラツアデウ(Baratzadeh Gholamali)がなぜかランキングにいない。準決2回残ってるのに。バラツアデウーhttps://t.co/x7DwjVSoVahttps://t.co/ev5HTMManP
— ueda mikiya (@mic_u) 2017年8月10日
準決勝も2回進出していて本来なら54ptで24位となかなか良い位置にいるはずなのですが。
しかも第3戦で他の選手と29位タイを取っているので、他の選手のポイントにも影響が出ているという事態に、、、。
もし詳細を知っている人がいたら教えてください。
BWC最終戦を観るには
さて、重箱の隅を突く話ばかりでしたが、これでミュンヘン戦を観る心構えはみなさんできましたね!
ミュンヘン戦は日本時間で以下の時間です。
予選 8月18日(金):15時~
準決勝 8月19日(土): 17時~
決勝 8月20日(日):1時~ (19(土)の深夜25時~)
予選は放送はおそらく無いのですが、
IFSCのページのリザルトから観るか、スマホ用のアプリからチェックできます。
準決勝と決勝はいつも通りIFSCがYoutubeで英語ですが配信します。
準決勝
https://www.youtube.com/watch?time_continue=4&v=x1H0YNKURxw
こちらに年間ランキング算出等の関係で僕も関わらせてもらう予定です。
一緒に最終戦の行方を手に汗握りながら観戦しましょう!
選手のみなさん、楽しんで頑張ってください。
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