クライミングジムは何軒あるか 都道府県別ver. (2020年5月)

クライミングジムは何軒あるか 都道府県別ver. (2020年5月)

先日クライミングジム件数が2020年5月時点で666軒に及んでいるという記事を書きました。
今回はその後編として都道府県別のクライミングジム数を出し、更にそこから見えてきた興味深い示唆などにも触れます。

<クライミングジム軒数 2020年5月ver.>



調査方法と、あらためて注意事項

全国ver.にも書きましたが、現在のジム軒数は原始的に、Google Map検索で「都道府県 クライミングジム」「都道府県 ボルダリングジム」などと検索し集計しました。
ですのでカウント間違いが当然発生していますし、全国ver.で言及した通り、どういった施設までをボルダリングジムに含むのかの線引きは僕の主観でおこないました。

一応ダブルチェックする形で「オトコロドットコム」というサイトで「ボルダリング・クライミングジム」を検索したところ全国で650軒なので大筋はあっているかと。
ただしオトコロドットコムに載っていないジムはやはりかなり存在し、載っているけれど閉店しているジム、逆にオトコロドットコムではカウントしてるけれど僕のGoogle検索では外したジム、もあります。
感覚的には施設併設系ジムまで全て含めると700軒を超えるのではないかと思いますが、この記事では一旦全国ver.で算出した666軒という数値の下になったデータで都道府県別も書きます。

 
 

都道府県別 クライミングジム軒数

それでは早速調査結果です。

<都道府県別のクライミングジム軒数>

薄い水色が2014年時点
濃い青までの全体が2020年5月現在

★追記★
グラフの数値は変えていませんが、秋田が6~7軒はあるなど都道府県によってかなり数値が違っているものもあります。
ですが以下の話の大筋は変わりません。
★追記終わり★

都道府県によってどこまでの施設をクライミングジムに含めるかなどで多少ずれはあるでしょうが、ほぼ全ての都道府県でジム軒数は増加
岐阜、和歌山、山口だけ同じで減少都道府県は0。
(ただし例えば山口などもこの6年間で新たに開店したけれど閉店してしまったジムもあるなど、6年前から全く変動がないわけではないです。)
結果として全体で2倍近くになっています。

 
 

ジム軒数の波は都市圏から地方へ

6年前の記事ではこのようなに僕は書きました。

都道府県別にかなりのバラつきがあり、東京、神奈川、愛知、大阪、にかなり店舗が密集しています。
一方で1店舗しかない都道府県もかなり多く、鳥取、長崎に至ってはいまだにクライミングジムがありません。
(鳥取、長崎にはクライミングウォールを持つ学校等の体育館は存在)

(中略)

今後クライミングジムの店舗数は都市部よりも地方部での増加が予想される

そして2020年現在、四大都道府県(東京、神奈川、愛知、大阪)よりもその他の地方都市のジム軒数が大きく伸びています。
数値上でも2014年では、四大都市圏のジム店舗数が全体に占める割合が40.2%であり、人口比率の30.4%より10%近くも多い状況でした。
しかし2020年現在は、四大都市圏のジム店舗数が全体に占める割合は33.0%であり、人口比率の31.3%にかなり近づいています。
このことから都市圏と地方のジム密度がだいぶ平坦化されてきていると言えるでしょう。

ちなみに東京都に関しては2017年6月の調査時点で81店舗であったので、この3年間で純増していないということになります。

 
 

都道府県ごとのジム密度

ジムの密度、つまり人口何人に対して1軒あるか、をもう少し深堀してみます。

2014年:都道府県ごとにジム密度は大きな偏り

6年前の2014年から振り返ります。
この時点では鳥取県と長崎県にはジムが存在せず、その他にも県内にジムが1軒のみという都道府県は多く存在しました。
すると以下の「都道府県別に、ジムは何万人に1軒あるか」のグラフの青いバーで表されているように、大分県や宮崎県などは人口100万人あたりに1軒程度となります。
(鳥取県と長崎県は0軒なので計算上は無限大に飛んでしまう)

<2014年都道府県別ジム密度>

一方で赤いバーで表されているのが密度の高いジムであり、この時点で岐阜県は人口204万人に対してジムは15軒、つまり14万人に1軒もジムがある計算となり低い県の7~8倍程度の高密度であったことがわかります。
つまり6年前は都道府県ごとにジムの密度が大きく偏っていたということです。

 

2020年:ジムは10万~35万人に1軒の範囲に収まる

そして2020年5月現在、の同様のグラフが以下になります。

<2020年都道府県別ジム密度>

これは当然の結果なのかもしれませんが、かなり興味深いです。
現在ジム密度が最も低いのは山口県の34万人に1軒、そしてジム密度が最も高いのは島根県の10万人に1軒。
全ての都道府県が10万人~35万人に1軒程度のレンジに見事に収まっているのです!
この6年の間に100万人に1軒レベルの低い密度の県にはジムが数多く建ち、結果としていずれの都道府県であっても35万人に1軒以下にはなるような水準まで密度が上がった。
一方で10万人に1軒を超えるような高密度には至らない(もしくはそうなった場合にはジムが経営し続けられなかった可能性)、ということです。

もちろん再三書いているようにどういった施設までクライミングジムとしてカウントするかの基準の取り方次第で変わる数値ではあります。
また、大型や人気で力のあるジムの存在、交通機関の利便性や島などアクセスで変わる、近隣都道府県とのパワーバランス、など一概に10万人から35万人に収まる理由を密度という切り口だけでは単純すぎます。
ただ、このクライミングジム10万人に1軒仮説というのは一つの興味深い示唆なのではないでしょうか。

Twitterでいただいた情報だと岐阜県は2018年頃のピークには20~21軒あったものが、現在再び15軒となったので、10万人に1軒あたりに本当に抵抗線があるのかもしれません。

 
 

note:クライミングジムのビジネスモデルを理解する

前回ブログ内容に追加して執筆したnote「クライミングジム業界の収益性を、5フォース分析で考える」をとても多くの方に読んでいただけたので、今回もその続きを書きます。
前回はあくまで業界全体の外部環境の話であったので、今回は内部環境の話として
・クライミングジムという固定費ビジネスの理解
・固定費ビジネスで収益性はどう高めるべきか

・Withコロナの時代にジムビジネスはどの方向に進むのか
というテーマにしました。
前回よりは少しライト目な内容になっていると思いますので、こういった話に興味がある方は是非!

<クライミングジムのビジネスモデルを理解する>