ボルダリングジャパンカップ2017の反省&低年齢化の考察
ちょっと忙しくて更新できていなくて今更感あふれるのですが、第12ボルダリングジャパンカップ(以下BJC)2017について個人的な興味の観点から簡単に振り返ります。
超ざっとした感想
まず女子は、今までのBJCで一番観ていて面白かったです!
野口選手の女王としての安定感、
決して絶好調ではなかったけれど野中選手の決勝での執念、
森選手の時代を変えるような何をしでかすかわからない爆発力、
そして淡々とさらっと優勝を掴んで行った伊藤選手。
なんかようやく役者が揃ってきたなぁと感じましたね。
男子は相変わらず誰が決勝に行くかわからない層の厚さで、この戦国時代を勝ち抜くのは本当に大変ですね。
そんな中でも藤井選手のパフォーマンスは頭1つ分抜けていて、まさに優勝に相応しかった。
特に決勝第3,4課題目は圧巻。
個人的には杉本選手が復活の兆しを見せたことと、波田選手が決勝に行ったことが本当に嬉しかった。
来年以降も新たなスターが出てきそうで目が離せませんね。
自らの実況解説の反省
で、僕はダッシュさんと予選と準決勝のYoutube用の実況解説をさせていただきました。
女子予選
男子予選
準決勝
まずボキャブラリー的な反省として
「やはり」と「実力のある」を使いすぎですね。自分で聞いていて使いすぎていて恥ずかしい、、、。
「やはり」ってほぼ意味が無いワードなので、あんまり使わない方が良いですね。
それと選手を形容するのに「実力がある」っていうのはほぼ何も説明していない。笑
どのような点が優れているのか具体的に説明しないとだめですね。
それと、これも悩ましいのですが「どこまでマニアックに説明すべきか」という問題。
例えば僕とダッシュさんはホールドメーカーやホールド名を固有名詞で呼びます。
これには賛否両論あると思うのですよね。
ともすると、”お前ら自己満足で言ってるだけなんじゃねーのか”と受け取られてしまいます。
でも僕がホールド名まで実況する理由は大きく2つあります。
1つは上級者クライマー視点からなんですが、「課題で使われているホールドがどのくらい持てるのか悪いのか」というのは観戦する上で結構知っておきたい情報なんですよね。
でも見ているだけだとなかなかどんなホールドなのかは認識できない。
そこで実況解説が
“あのホールドは○○なんです”
と言ってあげれば、もしそれを知っているクライマーにとっては、
“え、マジかあの右手○○なの!?めちゃくちゃ悪いじゃん!”
などと具体的な難易度を想像しやすいわけです。
もう1つはもう少し初級者クライマーに向けてなんですが、正直クライミングを始めたばかりの人ってホールド名どころかホールドメーカーすらも知らないと思うんです。
しかしホールドメーカーやホールド名は僕はクライミングの上達のためにも知るべきだと思っています。
なぜならホールドを知っている方が当然クライマーとしては持ちどころがわかるため有利であり、ホールド名を知らなければ本質的にはそのホールドを認識できていないはずだからです。
(注:ここからは若干おおげさに言っています。笑)
基本的に人は、言葉があって初めてその物自体を認識します。
構造主義の父であるソシュールの言葉を借りれば”言葉とは「ものの名前」ではない”のです。
例えば面白い話として「日本人しか肩が凝らない」というものがあります。
なぜなら他の国には「肩が凝る」という言葉自体が存在しないため、外国人はその痛みを「肩凝り」だと認識できないからです。
同じ論法でいくと、ホールド名を知らない人はそのホールドを他のホールドと本質的には区別して認識できていないのです。
つまり「スカイブルーガーリックサーフ」というホールド名が与えられて初めて、昨日まで雑多なハリボテの1つだったあのホールドが「スカイブルーガーリックサーフ」としてあなたの中に誕生したのです!笑
(まぁぶっちゃけると、”あの木と水色のやつ”とかでも立派な「名前」なので認識できているのですが)
再び、低年齢化の考察
それと、特に女子において去年にも増して低年齢化が話題になりましたね。
優勝の伊藤ふたば選手も14歳と最年少優勝でしたし。
しかしブログ記事にも書きましたが、去年の段階では実は「女子のトップ層のクライマーの平均年齢は過去数年間19歳~22歳であり低年齢化は起きていない」ということが判明しました。
では今年もトップ10の最上位クライマーの年齢層はどうだったのか男子も含めて調べてみました。
注:
・女子は第3回以前の出場選手の年齢が不明なものが多く、第4回以降のデータとした
・一部正確な生年月日がわからず、年齢が±1歳ずれている可能性がある選手もいる
・ユースCとは、「早生まれでない小6」~「早生まれの中2」を指す
まず女子ですが、トップクライマーの平均年齢や最低年齢という意味ではここ8年間それほど大きな変化は無いですね。
平均年齢は昨年の22歳から今年は18.9歳と4歳以上若返っていますが、第6回など過去にもこの水準の年はあります。
しかし特筆すべき大きな変化は、ユースC世代が3名もトップ10に食い込んできたことです。
確かにこれまで突然変異的に非常に若い激ツヨクライマーが誕生することはありました。
代表的な話では小林由佳選手がかつて13歳でジャパンツアーを優勝したように。
ですが複数名のユースC世代がここまで活躍を見せたということは、もはや突然変異ではなくクライミングシーンの構造が変化している可能性があると見ても良いかと思います。
若手を含めて層が厚くなってきたのか、それとも今のクライミングがユースが活躍できる競技性を持っているのか。
来年以降この傾向がますます顕著になるのか注目です。
男子の方も平均年齢はここ10年以上そこまで大きくは変わらないですが、ここ4年ほどで低年齢化が少し進み21歳台が連続しています。
またここ2年で最高齢が27歳となり30代の選手はトップ10に入っていない点も低年齢化が見られる点かもしれません。
女子のようにユースC世代が最上位に食い込むことは見られませんが、これから競技の裾野が広がるとどうなるのか男子の方も見物ですね。
色々書きたいことが散らばって雑多な感じでしたが、こんな感じで終わります!
ではでは。
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