世界最強ボルダラーは誰か~過去のボルダリングWC分析~
今から3~4年前の2015年シーズンの終わりに「世界最強ボルダラーは誰か」というタイトルで、過去のボルダリングワールドカップ(BWC)を5年間遡って各選手の表彰台に乗った回数をカウントしました。
今回ある書きたいテーマがあったのですが、そのために各選手のBWCの戦績を最新版に集計しなおしたので、この最強ボルダラーの記事もアップデートしたいと思います。
2011年~2015年までと、2016年~2019年も比較できてなかなか面白い結果になったと思います。(2019年シーズンは途中なので、呉江大会までの4戦分)
<参考記事>
調査の方法
まず調査対象は簡単のため以下とします。
・対象大会:ボルダリングワールドカップ
・対象期間:2011年~2019年途中まで
順位付けの方法は以下とします。
・優勝回数が多い選手が上位
・優勝回数が同じならば、準優勝回数が多い選手が上位
・優勝回数・準優勝回数が同じならば、3位が多い選手が上位
つまり
「過去5年のボルダリングワールドカップでどれだけ表彰台の上位に入っているか」
を調べるということです。
IFSCのデータからまとめました。
男子結果
まずは男子の過去9年分の大会ごとの結果一覧です。
かなり壮大な表です!
続いてこれを選手別に集計したものがこちら。
過去9年というスパンでもいまだなおオーストリアの英雄キリアン・フィッシュフーバー選手が優勝9回でトップ!
調査範囲の2011年からでは優勝回数9回ですが、生涯の優勝回数はなんと21回とまさに一時代を築いた選手ですね。
総合優勝も驚くべき5回!
2014年を最後にコンペシーンからは引退していますが、過去最強のボルダラーの1人であるということに異論はないでしょう。
(参考記事)
キリアン・フィッシュフーバー、コンペシーンから引退
次いでロシアのドミトリー・シャラフディノフ選手の優勝7回、ドイツのヤン・ホイヤー選手の優勝6回となっています。
ドミトリー選手は2013年に総合優勝、ヤン選手も2014年に総合優勝しています。
その後に現在のコンペシーンを引っ張っている、韓国のチョン・ジョンウォン選手、日本の楢﨑智亜選手などが続いていますね。
男子 15年までと16年以降の比較
そして面白いのが前回この記事を書いた2015年シーズンまでと、2016年以降で男子は上位プレイヤーがかなり変わっているという点です。
2011年から2015年までの成績総計が以下
2016年~2019年途中までの集計が以下です。
2016年以降はそれまでに上位に位置付けていた選手たちの名前は(引退した選手もいますが)あまり見られなくなり、
・楢﨑選手、藤井選手、杉本選手、渡部選手などの日本勢
・韓国のチョン選手
・イェルネイ選手、グレゴール選手、(今後ブレークするであろう)アンゼ選手、などのスロベニア勢
・ロシアのアレクセイ選手
などの躍進が目立ちます。
そして全体的に選手層が厚くなり、優勝できる実力のある選手が増えたという印象も受けますね。
女子結果
お次は女子です。
選手別がこちら。
1位は日本の生ける伝説、野口啓代選手!
国内ではボルダリングジャパンカップにおいて11回の優勝という誰も踏み込めない金字塔を打ち立てていますが、BWCでも過去9年で15回、通算21回の優勝をしている真のトップ選手です。
2009年、2010年、2014年、2015年と4度の総合優勝を経験しており、今なお現役で第一線を走り続けているから本当にすごすぎる。
2位は野口選手の生涯最大のライバルであるオーストリアのアンナ選手!
この調査対象の期間では優勝14回ですが、通算では22回優勝と野口選手を上回ります。
特に2013年は鬼神の如き強さで、全8大会中7回優勝、残る1回も準優勝です。
こちらも文句なく女子最強選手の1人でしょう。
その後に続くのは2016年、2017年にはアンタッチャブルな強さで総合優勝を果たしたイギリスのショウナ選手の11回、そして現在の最強クライマーであるスロベニアのヤンヤ選手の9回が続きます。
女子 15年までと16年以降の比較
女子も男子と同様に、2015年までと2016年以降を比べてみましょう。
女子も男子同様に2016年以降に大きく勢力図が変わっていますね。
野口選手がトップ層にいることは変わりませんが、そこにヤンヤ選手、ショウナ選手、そして日本の野中選手が割って入ってきたという感じです。
中でもヤンヤ選手は2019年シーズンはこれまで土なしの4連勝。
時代を背負っていく大選手が誕生している瞬間を僕らは目の当たりにしているのかもしれません。
終わりに
とりあえず集計しただけですが、以上です。
単純ですが自分の知識の整理にもなりました。
これを深堀りした記事(というか本来書きたかったテーマ)を近々出す予定ですのでお楽しみに。
ではでは。
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