第13回ボルダリングジャパンカップの準決勝・決勝の概要

第13回ボルダリングジャパンカップの準決勝・決勝の概要

昨日の予選に続いて、本日2018年2月4日(日)は第13回ボルダリングジャパンカップ(以下、BJC)の準決勝と決勝が行われました。

予選の空気からは一気に熱量が上がり非常にエキサイティングな展開だったのではないでしょうか。

さて、優勝は誰の手に、、、。

<予選の記事>

第13回ボルダリングジャパンカップの予選の概要

BJC2日目の流れ

BJCの2日目は昨日の予選を勝ち抜いた男女それぞれ20名で競われます。

(女子は同着がいたため21名)

午前が準決勝であり、4課題をそれぞれ5分ずつでトライするベルトコンベア方式で競われます。

男女それぞれ上位6名のみが午後の決勝に進出し、決勝は事前のオブザベーション(下見)がなされた上で4課題それぞれ4分で競われます。

準決勝

まずは準決勝の様子から。

課題概要

課題はこんな感じでした。

1枚目は右から:女子第1、男子第1、女子第2、男子第2

2枚目は右から:男子第3、女子第3、男子第4、女子第4

予選では多くの選手が全完登ないし4完登をしましたが、準決勝は一気に課題のレベルが上がりました。

実況でチーフセッターの松島さんが

“走ったりするよりは、基本的なクライミングに焦点を当てた”

“選手に期待を込めました”

と話していたまさにその通りのセット。

男女共に、カチの保持あり、パワフルなムーブあり、バランス&テクニカルあり、そしてランジなどもきちんとあり、といったように総合力がないと絶対に突破できない課題だったように思えます。

そして予選よりもハリボテもふんだんに使われ、これらの利かせ方や踏み方を熟知していることも求められました。

リザルト・完登率

リザルトは日本山岳スポーツクライミング協会の速報ページから見れます。

各課題の完登者数などは以下です。

女子の1課題目こそ半数近くが完登しているものの、他の課題はいずれも完登者数はほんのわずか。

特に男子はいずれの課題も完登に要したアテンプトが平均で3を超えており、トップクライマーでも容易には登れずギリギリの完登であったことがわかります。

そんな中でも男子は藤井選手、楢﨑智亜選手の2強がやはり強さを見せともに2完登で1,2位通過。

楢﨑選手は第1課題でつまずき昨年同様にまさかの準決勝敗退がよぎりましたがそこからのリカバリーがさすがでした。

藤井選手は第1,2課題目を登り余裕を持ったプレーにも見えた横綱相撲。

続いて、原田選手、石松選手、杉本選手とワールドカッパー達が順当に駒を進めました。

原田選手は初決勝。

そして残る1枠はボーナスのアテンプトの差で村井選手が緒方選手を上回り初の決勝進出。

女子は昨年同様に森選手が唯一の全完登と大暴れ。

異次元な身体の使い方を見せましたね。

また大注目のユース選手谷井選手も初の決勝進出!

残りは、野中選手、野口選手、伊藤選手、尾上選手と常連組が残ってきた印象で役者が揃ったという感じ。

ちなみにまたまた一応新ルールに言及しておきますが、女子は1完登で4Bがいないので通過者に変わりはなし。

男子は1完登の通過者の中で3Bだった杉本選手が落ちて、4Bけれど予選落ちしてしまった緒方選手が通過したようです。

決勝

さらっとですが書きます!

課題概要

女子第1課題

女子第2課題

女子第3課題

女子第4課題

女子は

第1課題はオーソドックスなクライミングという感じ

第2課題はバランシーで足が悪く、その中で1手思い切りの良いムーブが試される

第3課題は所謂コーディネーション系だけれど2パターンのやり方があり、ラストも思い切りがいる

第4課題はランジから上部はこれもtheクライミングをしていくような保持とデッドが必要なタイプ

続いて男子。

男子第1課題

男子第2課題

男子第3課題

男子第4課題

第1課題はカチの保持と引き付ける力がいるtheクライミング

第2課題は滑り易い足に乗っていくバランシースラブ

第3課題はトリプルダイノのランジ・コーディネーション

第4課題は抑え込む力のいるパワー系

リザルト・感想

6人なので完登率とかっていうよりはリザルトをそのまま貼った方がわかりやすそうですね。

表の数字は完登(T)やボーナス(B)にかかったアテンプト数(トライ数)です。

女子の決勝は最後の最後まで誰が勝つかわからないドラマチックな展開。

第3課題でコーディネーション系の苦手な野口選手がオリジナルムーブで突破口を見せてブザービートで完登した瞬間、誰もが野口選手の優勝を確信しましたが、なんと森選手がこの課題をあっという間に1撃。

ここまで予選から森選手唯一の全完登。

完全に流れが森選手にいったと思いましたが、野口選手はしっかり最終課題を完登し望みを繋ぎ、後は森選手の結果に委ねました。

そして最終課題は出だしが縦方向へのランジで明らかに森選手には難しそうな設定。

観ている人の予感は的中し、森選手はランジが止まらず優勝は野口選手に決定!

これにたいしてTwitterなどでは「森選手がかわいそうだ」的な意見もありましたが、僕はそれは少し違うと思いましたね。

ものすごいランジが得意ならあの距離はまだ希望があったし、女子の日本一を名乗るならこれくらいは止めてこいというセッターからユース選手へのメッセージなのだと僕は思いました。

それに逆に準決勝第3課題のゴールマッチとかで小さい選手が入り込めて有利になっていることもありますからね。

全部クライミングの範疇なのです。

でもそれにしても森選手のパフォーマンスには去年以上に驚かされました。

そして野口選手11度目の優勝おめでとうございます!

男子は結果的に明暗を分けたのは第2課題のスラブ。

毎年決勝のスラブは鬼門となっていますが、これを藤井選手がなんとフラッシュし実質的にここで優勝が決まりました。

実は村井選手の3課題目のアテンプトがあと1つでも少なければ村井選手が初優勝だったのですが、まぁそれはタラレバですかね。

藤井選手が前人未到の三連覇を決めてくれました!

何かリザルト以上に余裕が感じられる勝利でしたね。

準優勝は第4課題を伝家の宝刀のヒールフックでおそらく想定外のムーブで唯一の完登、しかもフラッシュを決めた村井選手でした。

ここはめちゃくちゃに盛り上がった!

(なんか水を差すようだからもう新ルールへの言及をしたくないのだけれど(笑)、新ルールであっても優勝者は変わらないですね!女子の順位は変わりますが。)

感想

いやー、2日間PCに貼りついて本当に楽しんでしまいました。

特に男子の準決勝と、女子の決勝の展開が個人的にはエキサイティングでしたね。

課題も男子準決勝はどれもカッコ良かった!

課題傾向も総合的に何でも出されたので、オールラウンダーな野口選手と藤井選手が優勝したのも必然と言えますね。

いつまでもこの2人が勝ってしまうのではと思えるくらい安定感があった両選手でしたが、来年の優勝は誰の手に渡るのでしょうか。

今から楽しみにしましょう。