2018年10月~12月に読んで面白かった本
恒例の4半期ごとの面白かった本シリーズ。
今期はアタリが多かった気がします。
最近は読んだ本の中で
・面白くない→特に発信しない
・面白いけど140字のoutputで十分→Twitterに書く
・かなり面白くて色々書いて残しておきたい→ブログに書く
という感じでやっていますが、やっぱり読んでその場ですぐoutputしたいんですよね。
なので140字に収まらなくてもTwitterに書いてしまうか、すぐブログ記事書くのが良いのだけど。
でもあくまでクライミング中心のブログだから悩ましいです。
これまでの読書感想記事
ホモ・デウス
著者:ユヴァル・ノア・ハラリ
ジャンル:思想・歴史
2018年一番話題になった本ではないでしょうか。
『サピエンス全史』のハラリ先生が満を持して出した超大作。
本書のテーマは
・我々ホモ・サピエンスとは何者なのか
・人間至上主義はどのようにして支配的な世界宗教になったのか
・人間至上主義の夢を実現しようとするとなぜその崩壊を引き起こす可能性が高いのか
というもの。
歴史の大半において人間の最大の敵は「飢餓」「疫病」「戦争」の3つでした。
しかし現代の人間はこれらを克服した、少なくとも”克服する術がわかっている”といって良いと思います。
そして科学技術は老化と死そのものを克服することに狙いを定め、人間自体を神へアップグレードしホモ・デウス(神)となることを目指しています。
その過程で現在世界中に広まっている”人間の感情こそが素晴らしい”という人間至上主義から、次第にアルゴリズム第一のデータ至上主義へと人々は移行してくだろうというのです。
するといったい何が起こるのか、そして我々は今後何を考え続けなければいけないのか、そういったことを最後まできちっと問題提起してまとめている本です。
もはや現代の聖書とも言えるような内容に感じます。
the four GAFA
著者:スコット・ギャロウェイ
ジャンル:ビジネス・経済・経営
ブランド戦略とデジタルマーケティングの大学教授で、かつ自身も起業経験を何度も持つギャロウェイ氏がGAFA、つまりGoogle、Apple、Facebook、Amazonというテクノロジー業界の4強企業を語った本。
色んな視点から、なぜこれら4企業は強大な力を持つようになったのか、それは今後も盤石なのか、を説明しているのですが切り口が面白く、またズバズバと遠慮しない書きっぷりが痛快でページをめくる手が止まりません。
少し紹介すると例えば彼は「成功するビジネスはどれも体の3つの部分、脳、心、性器のどれかに訴えかける」と語り、経営者は自分たちのビジネスがどの器官を刺激しているかを知りそれに従って戦略を立てるべきだと言います。
Googleは脳に話しかけ、長期記憶を無限のレベルまで増幅させた。そして人間の検索エンジンであるニューロンの代わりを果たしている。
Amazonは脳と、ものをつかむ指、つまりより多くのものを手に入れようとする狩猟・採集者としての本能、と繋いでいる。
Facebookは心に訴えかけている。インスタグラムなども含めより強力なマルチメディアのコミュニケーション手段を提供することで私たちの繋がりが拡大し、私たちは他社に受け入れられ愛されていると感じられる。
Appleは最初は脳に訴えるものだったけれど、今は性器つまり性的な魅力を手に入れたいという私たちの気持ちに訴えている。Appleの製品を持つことはラグジュアリーブランドを持つことに等しく「僕らは他の異性よりも優れていますよ」というメッセージにも繋がっている。
他にも目からウロコの視点がたくさんでビジネス的にも小話的にもとっても面白い一冊です。
When
著者:ダニエル・ピンク
ジャンル:科学・心理学・人生論
著者は『モチベーション3.0』のダニエル・ピンク、そして訳者は勝間和代。
世の中にはどうするかという”How to”本は溢れているのに、いつやるかという”When to”はあまり語られてこなかった、そんなニーズに答える一冊となっています。
前半で語られているのはほとんどの人にとって「朝」がパフォーマンスを上げるという内容です。
仕事の報告会、勉強のテスト、手術の成功確率、すべて朝の方が結果が良いというのをデータとともに示します。
これを読んでから僕は大切で判断力を必要とすることはなるべく朝やろうと切替えました。
しかし人々の一部にはエジソンのように「フクロウ型」といって夜の方が判断力やパフォーマンスが上がるタイプもいるので、自分がどのタイプなのかは要注意。(本書にタイプを判断できるチェックリストがあります)
その他にも「正しいスタートの仕方」「中間地点の中だるみをどうするか」「終わり方」などあらゆるWhen toが書かれていてすぐにでも実践できることも多くためになりますし、時間に対する考え方が変わること請け合いです。
快感回路
著者:デイヴィッド・J・リンデン
ジャンル:脳科学・心理学
買い物、オーガズム、学習、高カロリー食、ギャンブル、祈り、オンラインゲーム、などなど、私たちが「日常と外れた」と感じる経験はほとんどの場合、脳の中の「快感回路」(報酬系)を興奮させます。
この快感回路があることによって人間は自らを動機づけることができますし、その反面、依存症などにもなりかねません。
そんな快感回路を生物化学や脳科学の側面も含めて研究した本です。
どのテーマも面白かったのですが、ギャンブルの章が一番印象に残っていますね。
人間は進化上、進んでリスクを取る神経系を持っていると有利だったため「見返りの不確実性そのもの」が快感を導く設計になっているというのです。
つまり私たちの快感はギャンブルによる報酬の高さではなくて「実際の報酬と予測された報酬の差」の大きさに依存しているのです。
これはルーレットの大当たりとか、ゲームのガチャとかあらゆるギャンブルに適用されていますし、人間の不合理な行動を理解するのにとても役立つ考え方です。
他にも人類の快感の未来がどうなっていくかなど壮大な話にも触れているワクワクするような怖い気持ちにもなる本です。
1440分の使い方
著者:ケビン・クルーズ
ジャンル:ライフハック
作家かつ起業家のケビン・クルーズがあらゆるジャンルの成功者たちの時間管理術を調べ、1,440分つまり1日の効率的な時間の使い方の秘訣をまとめた本です。
ライトなライフハック本という感じでとても気軽に読めます。
いくつか参考になったことを列挙しますと
・最も重要なタスク(MIT:Most Important Task)を決め、それをスケジュール化したら1日のできるだけ早い時間に入れる
・ToDoリストは作らない。重要なことはやる時間を決めスケジュール表に15分刻みで予定を入れる
・仕事を次の視点から分析する「断念できるものはないか」「外部委託できるものはないか」「再設計できるものはないか」
・「一度しか触らない」ルール。郵便物の対応、メールの処理、片付け、などなど
・一度にやるのは1つだけ。マルチタスクはやめる
などなど。
どれもありふれているように聞こえますが、実践することがとても難しいですね。
ひとのこ
著者:新井英樹
ジャンル:漫画
大学時代から『ザ・ワールド・イズ・マイン』『キーチ』『宮本から君へ』など新井英樹さんの漫画が好きで昔のものはほとんど読みましたが、最近キャッチアップできていない作品も多くしばらく離れていました。
そんな中2018年に1巻が発売された『ひとのこ』。
狂人で人の心が読める主人公の天戸童は、奇行を繰り返し暴れまわっています。
序盤は主人公の口を介してある種の人間を痛烈に批判したり社会の闇を浮かび上がらせるセリフ回し、そしてお馴染みの暴力的な描写はいつもの新井節。
少し変わった設定なのは、もう一人の主要登場人物である世界一の大富豪ジェイムズが突然おでこに激痛が走る病(?)に罹るのですが、その痛みを和らげるためには主人公の天戸におでこを舐めてもらうしかないというもの。
かなりわけのわからない設定ですが、テーマとして明らかに描かれているのは天戸を「キリスト」に見立てた救済や奇蹟。
まだ1巻だけなのでどうなるかわかりませんが、新井英樹さんがこの壮大なテーマをどう料理するのか楽しみで仕方がありません。
今回はこんな感じです!
オススメ本募集中ですー。
買っただけで読んでいない本が山ほどありますが。
ではでは。
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