2017ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える
最近は色々なメディアでボルダリングワールドカップ(以下BWC)が取り上げられていますね。
中には年間ランキングのことも扱う記事もあったので、どこかが今年の年間チャンピオンがどうなるのか考えてくれるかと思いましたが今のところ無さそうです。
であればmickipediaで昨年に引き続き考えてみましょうかね!
(参考)
2016ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える~前編~
2016ボルダリングWC、男子年間チャンピオンの行方を考える~後編~
BWCランキングとは
(ルールなどは去年の記事とほぼ重複する内容になるので、簡潔に書きますね)
BWCは今年は全7戦あり、現在のところ6戦を終え、残すは8月のミュンヘン大会のみとなっています。
選手には順位によって以下の得点が与えられ、最も得点の低い1大会を除いた6戦の合計値で年間のBWCランキングが最終的に決定します。
最終戦前のランキング
最終戦を前にした現在のランキング上位を見てみます。
(ここからは敬称略。それと聞き慣れているので、日本人と韓国人は苗字、外国人はFirst nameで書きますね)
・男子
1位:チョン・ジョンウォン(韓国) 426pt
2位:ルブツォフ・アレクセイ(ロシア) 372pt
2位:渡部桂太(日本) 372pt
4位:楢﨑智亜(日本) 333pt
大会ごとの詳細順位は以下です
楢﨑は首位のチョンとの差は93ptですが、最終戦で優勝しても100ptが入る代わりに最小である第1戦の9ptが算入されなくなるので、正味のポイント上昇は91pt。
ですので、残念ながら年間チャンピオン連覇の夢は潰えています。
つまり男子は、チョン、アレクセイ、渡部の3名に年間チャンピオンは絞られているのです。
ちなみに女子は去年と全く同じ展開ですが
1位:コクシー・ショウナ(イギリス) 535pt
2位:野中生萌 377pt
と野中がショウナに100pt以上の差をつけられているので、ショウナの年間チャンピオンが確定しています。
ショウナは昨年に続き連覇!
シミュレーションの考え方
では最終戦がどのような結末になると、誰が男子の年間チャンピオンになるのかをいよいよ考えたいと思います。
3名を一度に考えるとややこしいので、昨年同様に場合分けをしましょう。
渡部に注目すると、実は今期彼はかなりの安定度を誇っていて、なんと最小でも40ptを取っています。
つまり6大会全てで8位以上という驚異的なパフォーマンスなのです。
しかしこれは裏を返すと、最終戦でのポイント上昇の余地が少ないということを意味します。
最終戦で1位になっても60ptしか上昇せず、更には2位ならば40ptの上昇にとどまるので、首位のチョンとの54pt差をひっくり返すことはできないのです。
つまり渡部が年間チャンピオンを獲るには最終戦の優勝が求められます。
ですので、「1.渡部が最終戦で優勝した場合」と「2.渡部が最終戦で2位以下の場合」の2つにわけて年間チャンピオンの行方を考えたいと思います。
結果
いきなり結果を貼ります。
アレクセイとチョンの最終戦の順位&合計ptをそれぞれ横軸と縦軸においていて、2人が該当する順位の時に誰が年間チャンピオンになるのかというのがマスの中に書かれています。
アルファベットがCならチョン、Aならアレクセイ、Wなら渡部、ということです。
表から言えること
昨年よりは比較的シンプルですが、そもそも表の見方に慣れないと混乱するので説明しますね。
まず前提としては、同順位の発生パターンを考えるとややこしいため、該当選手は最終戦で同順位にはならないという前提で表を作っています。
「1.渡部が最終戦で優勝した場合」
この場合は先述の通り渡部が60pt獲得するため432ptとなります。
まずチョンと比べると、現在428ptであるチョンの最終戦上昇分が6pt未満ならば渡部が上回ります。(6pt丁度で並んだ場合はこれまでに直接対決で勝っている回数が多いチョンがチャンピオンとなる)
チョンのこれまでの最小は28ptなので、28+6=34ptとなる10位以上ならばチョンが勝ち、11位以下ならば渡部が勝つことになります。
一方でアレクセイは372ptなので、渡部の432ptを上回るには60pt以上の上昇が求められます。
アレクセイの最小は7ptなので、アレクセイが年間チャンピオンとなるには7+60=67pt以上となるには2位を取るしかありません。
さらにアレクセイは2位になった場合445ptとなりますが、チョンが5位以上になるとチョンがそれを上回ります。
ですので、アレクセイは2位以上かつチョンが7位以下の時に年間チャンピオンを獲れることになります。
「1.渡部が最終戦で2位以下の場合」
この場合渡部は412pt以下となるので優勝はチョンかアレクセイに絞られます。
チョンの現状である426ptを上回るには、現状372ptで最小が7ptであるアレクセイは、426-(372-7)=61ptより多いポイントが求められるので、すなわち3位以上が絶対です。
またもちろん最終戦でチョンもポイントを上昇させてきますので、
表にある通りアレクセイが優勝できる条件は更に以下のように狭まります。
1位になったとき、チョンが3位以下
2位になったとき、チョンが7位以下
3位になったとき、チョンが11位以下
ざっくりまとめ
ややこしい表の見方を解説したつもりが余計ややこしくなったので、それぞれの選手の視点でまとめてみましょう。
・渡部視点
年間チャンピオンを獲るには優勝が絶対。
かつ、アレクセイが3位以下、チョンが11位以下でなければならない。
・アレクセイ視点
仮に渡部が優勝しても2位、かつチョンが7位以下なら年間チャンピオン。
渡部が優勝しない場合は3位以上で、かつチョンにある程度の順位差を付ける必要がある。
・チョン視点
上記以外の場合で全て年間チャンピオン。
最終戦で2位以上となれば、どのような条件になろうと年間チャンピオンが確定する。
終わりに
ふぅ、、、疲れましたね。笑
表は一見ややこしいですが慣れればかなりわかりやすいと思うので、根気強く理解してみてください。
いずれにせよ、チョンは調子も良いですし2015年に続く年間チャンピオンに向けてかなり有利な立場にはあります。
しかし渡部くんやアレクセイの初チャンピオンも見てみたいですね。
ミュンヘン戦を楽しみにしましょー!
ではでは。
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