クライミングセンター試験の成績集計&所感

クライミングセンター試験の成績集計&所感

色々な知識と考え方を必要とする「クライミングセンター試験」でしたが、2日間で856人の方に遊んでいただけました
クライミング4択クイズ」よりも勉強的な要素が入っていて気合の要る内容でしたが、楽しんでもらえたなら幸いです。

この記事では
・全体順位と偏差値
・問題ごとの正答率
・難しかった問題の解説
など総評を書きます。

まだ受けていない人は↓から是非!

<クライミングセンター試験>

 
 


成績集計

この記事を書いている時点での集計です。
1人で何度か受けた方や、ふざけた回答をした方などいると思いますが、全てをまとめています。

<正答数ごとの、人数、順位、上位何%か。偏差値>

<グラフ化>

全問正解はなんと6名
偏差値75のアダム大学オンドラ学科への入学おめでとうございます。
そして14問正解も21名!
最終問題の「Silenceがあるフラタンゲルの位置」など明らかに悪問もある中で、ノーミスや1ミスはすごいです。

逆に、前回の4択クイズと違って知識と根気があれば正解に辿り着けるものも多く、地力のある人はクライミングに詳しくなくても力を出せたのかもしれません。
「問7 Lv.2数学の五段クライマーと片手懸垂の論理」、「問13 Lv.3 国語の杉野さんの名文」などややこしい文章もしっかり読んで正答している方が多く、出題者としても嬉しい限りです。

 
 

問題ごとの正答率と解説

問題ごとの正答率は以下です。
赤く塗っているものが正答率が低かった問題。

<問題ごと正答率>

実は最難は問6 Lv.2 英語!
そして最後の2問はかなりぶっとばした難易度にしたので正答率は予想通り低かったです。

いくつかピックアップして解説します。

 

問1 クライミングの綴り

まず初っ端のクライミングの綴りから間違っている人が数名いました。笑
が、この間違いは本当に誰もが通る道。
僕もClibmingと書いてしまったことは何度もあります。
試しに検索エンジンやSNSで”Clibming”と調べるとたくさんでます。笑

  

問6 “登った”の英単語

最も正答率が低かった問題です。
sendは普通は「送る」という他動詞で使われますが、「登る、ルートを落とす」というクライミングのスラング的な意味があることが分かっていれば、その過去形であるsentを選ぶことができたでしょう。
海外クライマーのインスタなどでよく使われています。
何となく”d”で終わる方が過去形っぽい雰囲気を醸し出していますが、sendが現在形、sentが過去形です。

またその知識が無くても、カッコには動詞の過去形が入ると見抜ければ
・ascendは動詞の現在形で「登る」という意味。過去形はascended
・ascentは名詞の「登る」
という知識から消去法でsentに辿り着くことも可能でした。

 

問7 五段クライマーと片手懸垂の論理

この問題はもっと正答率が低いと思いきや、なんと86%もの方が正解!
クライマーにとっては馴染みのある命題だったので理解しやすかったのかもしれません。

解説すると、「A ならば B」の真偽と「Bでない ならば Aでない」の真偽は一致します。
ここで「A ならば B」と「Bでない ならば Aでない」は対偶の関係
にあると言います。
例を考えてみると、「みかん ならば 果物」は真であるので、「果物でない ならば みかんでない」も真ですね。
(このとき「果物 ならば みかん」は成り立ちませんね。果物であってもりんごの可能性もありますから)
このように考えると「五段クライマーである ならば 片手懸垂ができる」が真なので、その対偶である「片手懸垂ができない ならば 五段クライマーでない」も真となるのです。

もしくはベン図で考えると直感的にわかりやすいです。
下の図は「五段クライマーである ならば 片手懸垂ができる」の包括関係を表しましたが、1~3のいずれも成り立たないことが明確だと思います。

<ベン図>

 

問9 深成岩

これは難問でしたね。
深成岩という言葉自体あまり馴染みが無いですもんね。
深成岩のイメージとしては、マグマが”深い”ところでゆっくり冷えて固まった、と覚えましょう。
とすると結晶なども時間をかけてゆっくり成長するので、花崗岩のように大きめの結晶がザラザラした感じになります。
逆に安山岩などの火山岩に対しては、マグマが急速に冷えたからパカッと割れたような柱状節理のクラックなどになっている、と僕はイメージしています。(厳密に正しい理解なのかは不明ですが)

昔書いた以下のエントリーを参考にしてみてください。

<クライマーのための岩質特徴>

 

問10 ホールドの需給

こちらも見慣れない需要供給曲線ですが、感覚で考えても答えに辿り着けたと思います。
ホールドの輸入量は、
1. ホールドの国際価格上昇したら、、、減りそう
2. 国内で生産が増えたら、、、減りそう
4. 関税上がったら、、、減りそう
3. ホールド買う人の所得が上がったら、、、、増えそう!
と直感的にわかるかと思います。

需要供給曲線的に考えるならば、横軸がホールドの需要と供給の量であり、X-Yの分だけ国内では足りないので海外から値段Pで輸入しているわけです。
1,4は明らかにPが上がるので、X-Yが小さくなりますよね。なので輸入量は減ります。
2は供給が増え供給曲線が右にスライドしYが増えるので、これもX-Yが小さくなってしまう。
3は需要が増えるので需要曲線が右にスライドして、輸入量X-Yも増えるというわけです。

<需要供給曲線>

 

問12 ホールドの組み合わせ

こちらも解答画面で「二項定理がうんちゃら、、、」的な複雑な説明を加えたのですが、シンプルな方法だけ丁寧に書きますね。
10個ホールドが付いていてそこから課題を作るためにいくつか選ぶわけです。
そしてその選び方は何通りあるのか、という問題ですね。

10個のホールドに適当に1から10まで順番を付けます。
使うホールドを〇、使わないホールドを×とすると、例えば第1ホールドから第5ホールドまで使って、残りは使わないなどは
〇〇〇〇〇×××××
などと表せます。
奇数番目のホールドだけを使うなら
〇×〇×〇×〇×〇×
となりますね。
(全部使わない××××××××××は課題が無いが、問題文からカウントする)

つまり、総パターンは10個のホールドに対して、
1つ目を使うか使わないか 2通り
2つ目を使うか使わないか 2通り
3つ目を使うか使わないか 2通り
・・・・
10個目を使うか使わないか2通り
と考えられます。
なるので、2を10回掛けて、1024通りとなります。

ちなみに選択肢の4番目は2を11回掛けた2048としたかったのに、2028と謎な選択肢にしてしまった、、、。

<ホールドを選ぶイメージ>

 

問14 月面での落下速度

これは難問でしたね。
運動方程式やエネルギー保存則を知らなかった場合、直感で無理やり考えるなら以下のように道筋が立てられるでしょうか。
・運転教習所などで「衝突したときのエネルギーは速さの2乗で増える」という知識を知っている
・月では重力が地球の1/6ということは同じ高さだけ落ちたらエネルギーも1/6
・ということはその時の速さは1/√6じゃないと辻褄が合わない

エネルギー保存則を立てて考えるならば、

$$ 質量m、重力加速度g、高さhに初速度0の物体がある時 $$
$$全エネルギー=mgh(運動エネルギーは0)$$
$$この物体が高さ0まで落ちた時の速度をvとすると$$
$$全エネルギー=\frac{1}{2}mv^2(重力のポテンシャルエネルギーは0)$$

エネルギー保存則よりこれらが等しいので、
$$mgh=\frac{1}{2}mv^2$$
$$v=\sqrt{2gh}$$
が一般的に成り立つ。

$$よって月においてgが地球の\frac{1}{6}ならば、vは\frac{1}{\sqrt{6}}$$

となります。

以下のように縦軸が速さで横軸が時間のグラフを書いても良いです。
この時、加速度というのは速さが時間当たりどのくらい増えるかなので直線の傾きです。
また距離は面積に対応します。(速さ×時間=距離、ですね)
地球と月だと重力加速度が6倍違うので、直線の傾きが6倍違う。
この時同じ距離落ちるので、面積がVT/2で同じになるようにTやVを考えると、以下がわかります。
・月のtは地球の√6倍(つまり同じ高さ落ちるのに√6倍時間がかかる)
・月のvは地球の√6分の1倍(つまり同じ高さ落ちても速さが√6分の1にしかならない)

<v t グラフ>

 

終わりに

最後の方は完全に自己満足になってしまいましたが、これで色々なことに興味を持ってくれる方が少しでもいれば嬉しいです。
クライミングという題材だけ使っても様々な物事と繋がりますね。

その内第3弾的な何かをやりたいと思います!
ではみなさんありがとうございました。