ポイントカードの罠~3割引と40%ポイント還元はどちらが得か~

ポイントカードの罠~3割引と40%ポイント還元はどちらが得か~

問題
「全く同じ商品を置いている2つの店がある。
A店は全ての品物を定価の3割引で売っている。
B店は全ての品物を定価で販売しているが、支払い額の40%分のポイントが還元される。
どちらの店を使い続けるのが得か?」

 

背景

以前とあるお店の特別会員となっていて、そのお店には特別会員は3割引で商品が買えるという特典があった。
しかしある時、そのお店がポイントカードを導入することになったため、特別会員の特典も
「3割引」→「40%ポイント還元」へと変わることになった。
その際僕は漠然と「まぁ3割引から40%還元になったから得かな。40%還元て実質4割引だし。」
と一瞬思ってしまった。
そして僕同様にこう考えてしまう人は多いと思う。

果たして、本当にそうか。

 

ちょっと考えてみる

簡単のため1万円の品物を買い続けることを想定する。

A店では
1つめ:7,000円
2つめ:7,000円
3つめ:7,000円
4つめ:7,000円



nつめ:7,000円
と当然いくつでも7,000円で買うことが出来る。

一方B店では
様々なポイントの使用方法が存在するが、ここでは保有ポイントを全て使い切る方針を採る。
1つめ:10,000円(4,000ポイント獲得)
2つめ:6,000円(4,000ポイント消費、2,400ポイント獲得)
3つめ:7,600円(2,400ポイント消費、3,040ポイント獲得)
4つめ:6,960円(3,040ポイント消費、2,784ポイント獲得)



nつめ:???
となり、7,000円以下で買えたり買えなかったりすることがあるとわかる。

こうなると、必ずしも40%ポイント還元の方が得であるとは言えないことに気がつく。

 

直感的な答え

では40%ポイント還元は一体実質何割引に等しいのだろうか。
直感的に、次のようなことが考えられる。

「商品を購入する際、商品の値段に対してある一定割合のポイントを使用した場合は、
商品購入前後で保有ポイントに変化が生じないということが起こる。
その割合が実質的に等しい割引率である。」

簡単のため10,000円の商品を買うことを考えよう。
この際、何ポイント使用したら保有ポイントが減らないかを考える。(ポイントは十分に保有していると仮定)

使用ポイントをxとしたとき、還元ポイントは0.4(10,000-x)である。
使用ポイント=還元ポイントであれば保有ポイントは減らないため、
x=0.4(10,000-x)
⇔x=4,000/1.4
となりx≒2,857だと分かる。

すなわち、10,000円の商品を買う際に2,858ポイント以上使うと、保有ポイントは減ってしまうことがわかる。
これは40%ポイント還元が実質約2.857割引であることを示しているため、
3,000円引きで常に10,000円の商品を購入できる3割引の場合よりも損である。

結論:「40%ポイント還元のB店よりも、3割引のA店の方が得」

 

発展

発展問題として
「p%ポイント還元は何割引に等しいのか」
を考えてみる。
y円の商品を買うとすると、同様に使用ポイントをxとして
x=(p/100)(y-x)
⇔x=yp/(100+p)
すなわち、
p%ポイント還元はp/(100+p)割引に等しい。

代表的な数値を入れてみると
10%ポイント還元は約9.1%引
30%ポイント還元は約23.1%引
50%ポイント還元は約33.3%引
100%ポイント還元は50%引
とそれぞれ等しいことが分かる。

楽しいですね!

 

終わりに

これは僕がよく飲み会で出す数学クイズの一つですが(どんな飲み会だ)、意外と皆さん知らそうなので書いてみました。
これからはポイント還元にだまされない様にしましょう。

実は上の証明はちょっとずるしているのですが、直感的に理解できるためまぁ良しとします。
厳密にいかなる値段商品をいかなる購入順番でいかなるポイント使用方法を採った場合でも、A店の方が得であることを示すのは、簡単に言えそうなんすけどメンドイので皆さんへの宿題とします。(うわー)