女子トップクライマーの低年齢化は進んでいるのか~BJC2016を終えて~
2016年1月30,31日で第11回ボルダリングジャパンカップ(以下BJC)がおこなわれました。
僕個人としては、
予選は選手
準決勝は実況・解説
決勝は観戦
と3つの異なった立場から楽しめました。
選手としては、85位/94人と惨敗ともいえる内容でした、、、。精進します。
実況・解説としては、初めての1人MCで大分緊張しましたが多くの人に喜んでもらえたようで良かったです。
「非常に」を100回くらい使うなど、ボキャブラリーが少ないので、次回改善しますね。笑
それにしても決勝の伊東ヒデさんの解説は本質的で素晴らしかった。
観戦者としては、
・男子は優勝候補といえども一つのミスも許されず、誰が優勝するかわからない群雄割拠の時代
・女子は他選手が追い上げているとはいえ、野口啓代選手の地力と図抜けた勝負強さが目立った
という印象でしょうか。
で、本題なのですが、自分は実況・解説の中で
“今回の女子はユースC世代(小学校6年生・中学校1年生*)を含め若手の台頭が目立つ”
みたいな内容を何度か発言しました。
(*厳密には年度単位でなく年単位で分けるので、「早生まれでない小6」~「早生まれの中2」までがユースC)
でも自分で言っておいて途中から「これって本当なのか?」と疑問を感じたのですよね。
ということで、今回は
・女子トップクライマーにはユースC世代が増えているのか
・女子トップクライマーの低年齢化は進んでいるのか
を調べてみることにしました。
ちなみに、こちらの第11回ボルダリングジャパンカップの準決勝を実況・解説させていただいています。
男子での以前の調査結果
ちなみに、男子では以前にこのブログで近しいことを調べたことがあります。
参考記事:クライマーの低年齢化は進んでいるのか~BJCトップ選手の年齢推移~
実際に記事を読んでもらった方が良いのですが、その際は
・男子においては、ボルダーコンペの最上位層の年齢はここ10年近く22歳~24歳程度のレンジに収まっていて、特に近年低年齢化が進んでいるわけではない
と結論付けています。
調査方法
調査の方法は以下の通りです。
・BJC女子の過去6回分の成績上位20人と10人を対象とする
-過去6回分としたのは、それ以前だと出場人数が少なく準決勝が無いため、上位10人や20人のレンジだと”トップクライマー”と言えるのか保証できなかったため
-10人と20人に分けることで、トップ層と最トップ層の色分けが何となく見えるかなと
・平均年齢、最高年齢、最低年齢、ユースCの人数の推移を調べる
ただし、正確な生年月日がわからなかった数名の選手は年齢が±1歳ずれている可能性があります。
結果・考察
まずは結果のグラフを貼ります。
横軸がBJCの開催回で、縦軸が年齢です。
・ユースCに関して
こう見てみると、確かに今年の準決勝進出者(トップ20人)にユースCの選手が4名入っていたということは近年では多い方です。
しかし、過去を見てもユースCの選手が準決勝に残るということ自体は珍しいことではないということがわかります。
また、ユースCの女子トップクライマーがトップ10に入ることは今回開催を含めて過去6大会でのべ3名のみなので、依然として非常に厳しいことなようです。
つまるところ、ユースCの女子クライマーからもトップ層のクライマーは出ているが、最トップ層にはまだ食い込めている人数は少ないといったところでしょうか。
・平均年齢に関して
平均年齢を見ると、トップ10でもトップ20でも横ばい~増加傾向であることが見て取れます。
こちらの理由としては、結局のところユース世代が毎年若干名はトップ層に食い込むが、多くの強豪選手は固定化しているため、トップ10や20の顔ぶれは実はそれほど変わらないということがあると思います。
顔ぶれが変わらなければ、彼女らは開催年とともに+1歳だけ歳を取り平均年齢を引き上げるので。
ですので、結論付ければ、女子のトップ層のクライマーの平均年齢は過去数年間19歳~22歳であり低年齢化は起きていない、となるでしょうか。
あ、最高年齢が誰かクライマーにはバレバレですみません。笑
終わりに
というわけで、簡単ですが女子クライマーの低年齢化の調査・分析はこんな感じです。
おそらく、僕がBJCの実況・解説と言う立場に初めて立ったので選手の年齢に意識がいつも以上にいき、
「え、みんなこんなに若いの!?」とあらためて驚いたことが「ユースCを含めた若手の台頭」という言葉になったのでしょう。
しかし、実は昔からそんなもんだったということですね。
ではでは!
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