2018年ボルダリングワールドカップ第5戦八王子 結果まとめと素朴な感想

BWCの八王子大会が幕を閉じました。

あまりにもドラマティックな展開だったので、もはや何も言うことが無いです。

これまでに観たコンペの中で間違いなくベストでした。

特に男子決勝はこれ以上の筋書きは誰にも書けないでしょう。

とは言え、備忘録も兼ねて一応予選から簡単にまとめたりしておきますかね。

 

<参考記事>

2018年ボルダリングワールドカップ第5戦八王子 出場選手の戦績・みどころ

 

<動画>

・女子予選

 

・男子予選

 

・準決勝

 

・決勝

 


予選

予選は男子91名、女子68名が参加し、それぞれA,Bグループにわかれ5課題を競技。

グループ上位10名が通過なので、男女それぞれ20名が翌日の準決勝に進みます。

 

女子

課題は左から

B1(青黄)、A1(ボテ)、A2(青)、B2(黒)、A3(黒赤)

B3(緑)、A4(赤)、A5,B4(ほぼ同一課題)、B5(黒)

Aグループは通過ラインが4完登5ゾーン。

2課題目(solidボテと青teknikのバランシー課題)の難易度が高く、それ以外を確実に登ることが必要でした。

Bグループは2課題目の黒いプロセットポケットやFlatのサンダーバードを使った真っ向課題が印象的でした。

Aと比較して難易度が高く、特に5課題目スラブは完登2名(野中、シエラ)のみ。

1課題目(カンテ際のbluepillの青に黄色)を確実に拾い得意な何かを2つ登ることが必要でした。

日本勢からは野口、野中、加島、伊藤が通過し、海外勢も有力どころは順当に通過。

 

男子

課題は左から

A1(青)、B1(ボテ)、A2(青、白)、B2(緑、オレンジ)、A3(黒ボテ、青)

B3(赤、緑)、A4(黄)、A5,B4(ほぼ同一課題)、B5(ビススラブ)

Aグループは通過ラインは2完登4ゾーン。

比較的登り易い2課題目(アサナの白い四角)を登って、少ないアテンプトでもう1つ何かを登りさらに4課題目までのゾーンを取ることが求められました。

Bはこれまでの予選では類を見ない難易度で1完登が通過ライン。

1課題目のスラブを完登したのはチョンのみで、Aとほぼ同一課題の4課題目もA,B合わせて完登3名のみ。

通過には2,3,5課題目で何か1つ登ることが必要でした。

 

日本勢は藤井、楢崎智亜、藤脇、高田、原田、杉本、楢﨑明智、が通過。

海外勢はグレゴールやショーンマッコールなど数名の有力選手がここで敗れましたが、最トップ層は苦戦しながらも準決勝に駒を進めました。

 

 

準決勝

準決勝は男女それぞれ20名が4課題で競い、上位6名が決勝に進みます。

課題は左から

男子1(青と黒、指系っぽい)、女子1(ルービック、ボテバランス)

男子2(青ボテ、バランスからのドーン)、女子2(青、パワー?)

男子3(赤と黒、バランス系からのオカ持ち)、女子3(青とグレー、核心は指と狭さ)

男子4(赤と青、真っ向保持パワー)、女子4(黒、バランス)

 

男子は通過は3完登。

2課題目と4課題目課題目を確実に仕留め、1か3を登った選手が準決勝。

わかりやすく3完登が求められ非常に良い4課題が揃ったと感じました。

 

女子は2完登3ゾーン2アテンプトとシビアな争いに。

2,3課題目があまりに難しく、2課題目は野口のみ、3課題目は野口に加えてロシアのエカテリーナがなんとか登るも、2位以下は全員2完登で通過。

そんななか野口がなんとオール1撃と絶好調っぷりを見せつけます。

4課題目をやっている時はもう完全にフロー状態に入ったなという感じで落ちる予感が全くしませんでした。

 

男子はイタリアのガブリエルがトップ通過。ここに楢﨑、原田、杉本の3人の日本勢、そしてチョンとアレクセイというまさに役者が揃ったファイナルに。

女子は日本からは野口、伊藤、野中の3選手が通過。

スターシャこそ決勝常連なものの、他2名はドイツのアルマとロシアのエカテリーナと少しダークホース的な存在が入り込みました。

 

 

決勝

ファイナルは4課題で競われます。

課題は左から

女子2(黄色、足も悪い真っ向勝負系)、男子1(青、保持も要りそうなスラブ)

女子3(赤と黒、パワー?)、女子1(赤と青、コーディネーション)

女子4(ガーリック、コーディネーションもあるスラブ)、男子4(オレンジ、ダイナミックパワー)

男子3(黒と赤、パワーとワイドクラック)、男子3(青、スラブ)

 

女子

決勝はリザルトを貼った方がわかりやすいですね。

Resultのマスが全て緑が完登。半分がゾーンのみ。

数字はアテンプトです。

1課題目のトリプル(クアトロ?)ダイノは比較的ウェルカム課題に思われましたが、登ったのは野口、野中、エカテリーナのみ。

2課題目もトップバッターのエカテリーナが苦戦しながらも登ったため、野中と野口はあっさりかと思いきやワターのデュアル面を踏む必要のある1手に苦戦しともに3アテンプトでなんとか完登。

そして3課題目はあまりの難易度に最初の5選手が1手も止まらない状況。

野口が出だしを突破するもののゾーン取りができず、成績上は疲労だけが溜まる結果になり、そして今大会初めて完登できませんでした。

勝負の行方は最終課題にもつれ込み、野中がこれを1撃して野口にプレッシャーをかけます。

野口は2撃以内で登れば優勝という場面で少し緊張も見られましたが、今大会のハイパフォーマンスっぷりを如何なく発揮して1撃、そして優勝。

昨年準優勝に敗れた八王子戦で見事に表彰台のトップに立ちました。

いや、しかし野口と野中は実力が本当に伯仲していますね。

結局決勝も紙一重のアテンプト勝負となったので。

残り2戦に注目ですね。

 

男子

男子は1課題目のスラブでチョン以外が何もできずに最後のガブリエルまで不穏な空気が流れます。

しかしこの課題をガブリエルはさっくり2撃して完全に会場の空気を持って行きます。

2課題目は黒い360ホールドが口をあけている威圧的なワイドクラック。

各選手惜しいところまで行くも登れたのは最高に気合の入ったチョンのみ。

このチョンのパフォーマンスで昨年王者が息を吹き返したと感じたと感じた方も多かったのでは。

3課題目は青いスラブ。

トップバッターの杉本がゴール取りこそ苦戦するも比較的あっさり下部は抜け完登をしたのでこの課題は数名完登者が出ると思いきや、他の選手は下部から苦戦。

結局完登をしたのは杉本のみ。

この時点で1,2,3課題それぞれ別々の1名のみが完登で、最終課題を控えて原田以外の全員に優勝の目がある状況でした。

そして最終課題はオレンジのボルトミックの法螺貝の様な巨大ボテが2つ並ぶシンプルだが威厳たっぷりでまさに男子ファイナルを飾るにふさわしい課題。

この課題は杉本こそゾーンまでいきましたが、最初の4名は完登ならず。

次の楢﨑はここまで0完登でしたが、この課題をフラッシュすれば優勝の可能性を残せる状況。

会場の雰囲気としては「1撃すればもちろん優勝の可能性はあるけれど、さすがに厳しいか。でも智亜選手の得意系なので、、、ひょっとすると、、、」というような、諦め半分でもかすかな希望も見える、という神に祈るような緊迫した状況。

そして出てきた楢﨑は初手ホールドを飛ばして一気にゾーンまでダブルダイノ!

そのまま気迫で押し切り完登をして、信じられない場面を目の当たりにした観衆のボルテージは最高潮。

もうここまででお腹いっぱいでしたが、本当のドラマはこの後でした。

なんと最終競技者のガブリエルはここまで多くの選手が苦戦したゾーン取りを1トライ目で獲得!

ガブリエルの覚醒に皆驚き、この瞬間にガブリエルの優勝が確定。

日本人の観客は楢﨑が優勝を逃したことに残念な想いをしたかもしれませんが、もうこうなったらガブリエルにこのまま登り切ってもらいたいと誰もが感じたでしょう。

会場が一体となってガブリエルを応援するモードになり、そのまま死力を出し尽くしガブリエルは1撃完登。

考え付かないような結末に選手も観客もセッターも運営もみな歓喜の声を上げました。

 

↓の記事でも書いたのですが、去年の八王子大会があまりにすごすぎて正直あの感動を超えることはないと僕は思っていたのですよね。

きっとセッター陣もプレッシャーはあったはずです。

そんな中、楢﨑智亜選手が最終課題をフラッシュした瞬間、彼が去年本当に悔しい2位だったという経緯もあいまって僕も感極まり、これは去年の八王子を越えたドラマが生まれたと感じました。

しかしそれだけでは終わらず更にガブリエル選手が再逆転という、漫画のような、いや漫画でさえそういうシナリオにはしないだろうという展開にとてつもなくすごいものを観てしまったと全員が思いました。

八王子ボルダリングWCの感想、ライムストーンのセット

もうこれを超える大会は本当に今後も無いんじゃないでしょうか。

それくらいクライミング史に、いやスポーツ史に残る名勝負でした。

ありがとうございました。

 

そして息をつく暇も無く今週末はBWC第6戦ベイル。

選手の皆さん頑張ってください!

ではでは。

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5件のフィードバック

  1. 匿名 より:

    解説で彼の14年?のキャリアでW杯初優勝というのを聞いてとても驚きましたね。4課題目の完登時の叫びには本当に勇気づけられました。

    • mic より:

      ホントそうですよね!
      年齢もコンペティターとしてはいってますし、勇気付けられます。

  2. Harsh より:

    伊藤ふたば選手が決勝第一課題で、下のハリボテに手を置いてスタートを切っていますがIFSCのルール上問題ないのでしょうか?
    スタートホールドがテープ4本で指定されていたら、4本にそれぞれ両手両足のどれかしか置けないと思っていました。。。

    • mic より:

      コメントありがとうございます。
      ルール上問題ないです。
      4本のテープが貼られたスタートホールドはどれをどのように手足で触ってもアテンプトは取られません。
      離陸して、4本テープそれぞれに手足をきちんと置いた時点でスタートポジションに付いたと認められ、スタートホールド以外を触ることができるようになります。

  3. Harsh より:

    返信ありがとうございます。
    わかりやすく説明していただいて助かります!

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