クライミング市場動向1~ジム店舗数~
★★2020年5月にアップデート★★
クライミングジムは何軒あるか (2020年5月)
★★★★
こんにちは。
今回はまた少し視点を変えて、クライミング市場の動向に関してです。
一応新シリーズ第一弾。
はじめに
先日学生時代のバイト先の先輩に出会い、いろいろと話す機会がありました。
その中でクライミングの話題も出て、以下の様な質問をされました。
“クライミング人口ってどれくらいなの?”
“クライミングの市場規模は?”
“クライミング人口や市場規模が最も大きい国はどこで、日本とどのくらい差があるの?”
“その差の背景には何があるの?”
etc…
これらの質問にパっと答えられる人がどれくらいいるでしょうか?
正直僕は全然このあたりの数字が頭に入っていなかったです。
その場でザッとした推計をすることは可能ですが、やはり基本的な数字はある程度頭に入れておいた方が良いんじゃないかなぁと思うわけです。
ということでこの「クライミング市場動向」シリーズでは、クライミング市場に関するデータを調べ、その結果に僕なりの考察をしてみたいと思います。
根拠を持ったデータが簡単にネット・書籍等に転がってはいないときは、色々と仮定して推計します。
今回はまず第一弾として「クライミングジムの店舗数」を扱います。
目的
今回の記事の目的は以下です
・日本のクライミングジム店舗数の推移を調べ、他レジャー分野との比較も交えて今後を推測する
・店舗数を地域別に調べ、人口や他レジャー施設と比較も交えて今後を推測する
なお、ここではクライミングジムを「商業用クライミングジム」と定義します。
つまり学校や体育館にあるクライミングウォールは基本的には含まないこととします。
市場データ
店舗数の推移
まずはクライミングジムの店舗数の推移をみてみます。
CLIMBING joyなどの雑誌である程度お馴染みかもしれません。
出所:『CLIMBING joy No.12』、BOLLOG
注:08年~13年のデータはおそらく各年9月時点と予想、直近データのみBOLLOGより集計
青の棒グラフがクライミングジムの店舗数を
赤の線グラフがその年にクライミングジムが何店舗増えたかを表しています。
簡単に見てみますと、
2014年9月現在、クライミングジム店舗数は343店であり、5年前から3倍以上になっています。
また店舗の純増数も維持~増加傾向にあり、店舗数はまだまだ増加していることがみてとれます。
他レジャーとの比較
次に現在のクライミングジムの店舗数を、他のレジャー施設と比較したものが以下のグラフです
出所:BOLLOG、全国カラオケ事業者協会『カラオケ白書2014』、BILLIARD WALKER
、日本ボウリング協会の資料、日本プラネタリウム協議会『プラネタリウムデータブック2010』
注:スポッチャなどの複合施設を含むデータとそうでないデータがある可能性あり
レジャーのチョイスは僕が適当に考えました。笑
もちろん、各レジャー施設によって収容人数などが全く違うので比較すること自体に意味があるかは怪しいのですが、イメージを持つだけでも大切かと。
ボウリングを例にとって少し考えてみます。
ボウリングの店舗数は現在クライミングの3倍弱。
直感ですが基本的には店舗あたりの1日平均利用者数はボウリングの方がクライミングより多そうです。(ボウリングの方が店舗あたりの利用者収容面積が大きそう、利用者がいる時間も短そうなので回転も速そう)
そう考えると、クライミングがもしボウリング並のスポーツ人口を獲得した場合は、少なくともボウリングと同程度かそれ以上の店舗数には達するのではないかと考えられます。
都道府県別店舗数
次に、地域別に店舗数がどのように違うかをみていきます。
都道府県別の店舗数が以下のグラフです
出所:BOLLOG
まず見てわかることが、都道府県別にかなりのバラつきがあるということです。
赤色で示した、東京、神奈川、愛知、大阪、にかなり店舗が密集しています。
一方で1店舗しかない都道府県もかなり多く、鳥取、長崎に至ってはいまだにクライミングジムがありません。
(鳥取、長崎にはクライミングウォールを持つ学校等の体育館は存在)
他レジャーの例としてボウリングと比較してみます。
かなり昔のデータですが、経済産業省『平成16年特定サービス産業実態調査(確報)』ボウリング場の概況から都道府県別のボウリング場の店舗数がわかります。
どの県も5店舗以上のボウリング場を保有している一方で、最も多い東京でも68店舗にとどまっています。
対してクライミングジムはボウリングとは全体店舗数で3倍近い差があるにもかかわらず、東京の店舗数は既に56。
東京のクライミングジムは小型店舗が多いはずなので一概には言い切れませんが、現在のクライミング人口に対しては飽和状態に近づいている可能性もあります。
もちろん個人的には東京のクライミング人口はまだまだ増えると思っているので、東京も店舗数の伸びしろはあると思いますが。
東京、神奈川、愛知、大阪の四大都道府県へのクライミングジムの密集度をデータでみたものが以下のグラフです。
出所:BOLLOG、BILLIARD WALKER
、経済産業省『平成16年特定サービス産業実態調査(確報)』ボウリング場の概況、都道府県 人口・面積・人口密度ランキング
100%積み上げ棒グラフの赤の部分が、クライミング・ビリヤード・ボウリングの店舗数と人口が、四大都道府県にどの程度密集しているかを表しています。
クライミングジムはなんと上位4都道府県の店舗数だけで全体の40%以上を占めています!
他のレジャーや人口が20~30%代なことを考えると、やはりクライミングは都市部での店舗数が非常に多い状態だと言えそうです。
ただ繰り返しますが、厳密に語るなら都市部と地方で店舗面積などの形態が違うことなどをもちろん考慮する必要があります。
ま、それは他レジャーでも同じことなのですが。
考察
以上のことから簡単に自分なりの考察をまとめます
・クライミングジムの店舗数はあと数年は増加の勢いが衰えず、伸びていくことが予想される
-直近の店舗増加数が維持~増加傾向
-ボウリング等の他レジャー並にクライミングが流行すると仮定した場合、店舗数が伸びる余地が大いにある
-何店舗になるのかを予測することは非常に難しいが、ボウリング場との対比を考えると1,000店舗近い水準は目指せるか?
・今後クライミングジムの店舗数は都市部よりも地方部での増加が予想される
-現在は東京を中心とした都市部に店舗が密集傾向にあり、地方では0~1店舗の都道府県も散見される
-他レジャーや人口と比較しても都市部への密集傾向は強いため、その差を埋めるようにして地方部でジムが増加していくのではないか
終わりに
ちょっと入手できるデータに限りがあったので大分僕の仮説が入っていますが、まぁ良しとしましょう。笑
東京を中心とした都市部への密集度がデータでみれたのは面白かったですね。
第二弾はクライミング人口の推定をする、、、予定。
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