第14回ボルダリングジャパンカップ 予選の概要

第14回ボルダリングジャパンカップ 予選の概要

本日2019年1月26日(土)に第14回ボルダリングジャパンカップ(以下、BJC)の男女予選が行われました。
簡単に課題の概要、総評、明日の展望を書きます。


 


BJC予選ルール

BJCは男女ともに2日制で行われ、
1日目:予選
2日目:準決勝、決勝
となっております。

予選参加人数は男子が72人、女子が50人。
A,Bの2グループに分かれ、5課題にそれぞれチャレンジし、男女とも各グループ成績上位者10名の男女それぞれ20名が2日目の準決勝に進出できます。
成績は
・完登数
・ゾーン数(中間地点)
・完登に要したアテンプトの少なさ(=トライ回数の少なさ)
・ゾーンに要したアテンプトの少なさ

の順に評価されます。
 
 

女子予選

午前は女子の予選が行われました。
 

課題概要

女子の課題は以下の通り。
1枚目は左から
A1課題目(黄赤)
B1課題目(黒)
A2課題目(黄赤)
B2課題目(黄赤)

2枚目も左から
A3課題目(黄赤黒)
B3課題目(青白)
B5課題目(青緑)

3枚目も左から
A4課題目(青)
B4課題目(緑グレー)
A5課題目(青白黒)

課題のタイプを簡単に解説すると、
A1は真っ向勝負系だけれどバランスや保持が少し悪い感じで、黄色の三日月2つのところなど出て初めて決まるようです。
B1はバランシーだけどダイナミックな動きもあるリスキーなスラブ。
A2B2がミラー(同じようなタイプの課題で対になっている)で横っとびダブルダイノからバランスの悪いゴール取り。
A3B3も同系統で保持や足の悪い垂壁系。
A4B4もミラーに近くて、ヒールフックなども交えたパワフルピンチアンダー系。
A5がB1に対応するようなスラブ。
B5はA1に対応しているのかもしれないがダイナミックな出だしからゴールは柔軟性もいるようなハリボテ系?

リザルト、完登率等

リザルトはこちらの公式大会成績速報ページから見られます。
女子はAグループが3完登がライン、Bグループが2完登でも全てのゾーンを獲得すれば通過という内容でした。
女子は昨年は通過ラインが4完登のアテンプト勝負になったことと比べると今年はグッと課題が難しくなったという印象です。
以下が、課題ごとの完登率などをまとめたもの。

A,Bグループともに4課題目の見るからにイカツい パワフルピンチアンダー系課題が最難。
Aの4課題目は3名、Bの4課題目は1名しか登っておりません。
3課題目の垂壁課題もA,Bともに2番目に難しくどちらも20%強の完登率。
実際はこの2課題を登らずとも、1,2,5課題目をきちんと登ることができれば通過でした。
つまり、着実にクライミングをする課題、少し変則的なダブルダイノ、スラブ、この3タイプをしっかりとこなすことが求められたため、底力のある選手が順当に通過した形です


総評、明日の展望

女子Aグループは首位は5完登の大本命の野口啓代選手。
アテンプトの差で、平野夏海選手、小武芽生選手も5完登で続きました。
平野選手は初めてのセミファイナル進出ですが、近年の実力を考えると不思議ではない結果。
以下も順当に実力選手が通過した形です。

Bグループは4完登のアテンプト差で、野中生萌選手、伊藤ふたば選手、谷井菜月選手、森秋彩選手、工藤花選手とファイナル経験者が下馬評通りに上位通過。
しかし注目すべきは谷井選手で、3課題目を登れなかったものの4課題目の超真っ向勝負課題を唯一人の完登。
会場が最も沸いた瞬間でした。
6位にはまだ14歳の小倉紗奈選手が入りダークホース的な存在。
そして有力選手である加島智子選手が12位で惜しくも予選落ちしてしまったことが意外な結果。

予選は締まった内容ではあったものの上位陣は4完登5完登しているので、まだまだ余力を残しています。
明日はこの中から6人に絞ることを考えると、1段階や2段階更にギアが上がった課題が揃うでしょう。
楽しみですね。
 
 

男子予選

午後は男子予選。
 

課題概要

男子の課題は以下の通り。
1枚目は左から
A1課題目(青赤)
B1課題目(ピンク青)

2枚目も左から
A2課題目(白黒)
B2課題目(赤白)
A3課題目(白黒)
B3課題目(ピンクグレー)

3枚目も左から
B5課題目(黄赤)
A4課題目(赤黒)
B4課題目(青赤)
A5課題目(黄ピンク)

課題タイプは
A1は真っ向勝負系で保持がかなり問われそう。上位陣は簡単そうにこなしていましたが強度は高いです。B1は数歩だけれどとてもシビアなスラブ。
A2B2がミラーで取り先が狙いづらく悪いダブルダイノ。Bの方はここから更に1手非常にパワフルなムーブが入り選手が苦しめられました。
A3B3も同系統でリスキーで保持も必要そうな垂壁ですが、Aの方はまだ色々工夫が効く感じ。
A4B4もほぼミラーで、カチ、ピンチ、アンダー、スローパーっぽい抑え込みと保持のオンパレードで超真っ向勝負系。
A5がB1に対応するようなスラブでハリボテの足が常に悪い。
B5はA1に対応しているが、もう少し色んな動きが求められた複合的な課題。
 

リザルト、完登率等

リザルトは女子と同じページから見れます。
通過ラインはAが3完登4ゾーンで完登のアテンプトが5以内。
Bが2完登5ゾーンで完登のアテンプトが5以内、とBの方が全体的に辛かった印象。
去年が両グループ3完登がラインだったことを踏まえると女子に続き締まった内容だったと言えるでしょう。

男子の方も課題別に完登率などを見ると、Aグループは最難の3課題目も7名(20%)の完登者が出ていて、どの課題も可能性があったセット。
結果的には第1,2課題を少ないアテンプトで登り、第3,4,5課題目の中から得意なものを1つ拾いえば通過でした。
Bグループは近年稀に見るシビれる5課題で、5課題目こそ登り易いものの、3課題目が1人、4課題目が4人、しか完登が出ていないという内容。
5課題目に加えてなんとか得意なタイプの課題を何か一つ登る必要があり、かつそれらにアテンプトはかけられないようなとても緊張を要する予選だったように思えます。

総評、明日の展望

男子Aグループは5完登の土肥圭太選手が首位通過!
自分の弱点である保持や片手ロックを強化して臨んだという今大会、見事に結果に結び付き初のセミファイナルでも嬉しいのにそれにトップ通過というとんでもないおまけまで付いてきました。
続いて楢﨑智亜選手、井上祐二選手もその豊富な経験を如何なく発揮し5完登。
以下、川又玲瑛 選手、島田蒼也選手、野村真一郎選手などセミファイナルに新しい顔ぶれが並びましたがどの選手もその強さは知れ渡っていたので順当と言えば順当な結果です。
しかし最大の波乱は昨年の世界選手権の覇者である原田海選手の予選落ち。
インフルエンザで直前に体調を崩していたとはいえ、大本命が予選で散りました。

Bグループは優勝経験者でもあり優勝候補筆頭の杉本怜選手と藤井快選手が4完登でワンツーフィニッシュ。
特に藤井選手は1課題目をこぼしたにも関わらず3課題目を唯一完登し、そのリカバリー能力の高さを見せつけた形です。
その後も実力者が並びますが、10位でギリギリ通過した天笠颯太選手が並み居る強豪に競り勝ち初のセミファイナル。

さてセミファイナルは予選のこの厳しさから考えると1完登を争う勝負になるかもしれません。
その課題タイプの方向にギュッと煮詰められた密度が濃い4本が並ぶでしょう。
オールラウンドに何が来ても真の強さを持つ最トップ層の3,4人はさておき、逆に言えばその他のわずかな枠には何かのタイプに特化した選手が付け入る隙もあるかもしれません。
とにかくものすごく濃度が高くなるであろう課題に注目です!

予選動画

<女子予選動画>

https://www.youtube.com/watch?v=LqRFRrDgjnE


<男子予選動画>