『Rock & Snow 082』の宣伝&見どころ

『Rock & Snow 082』の宣伝&見どころ

2018年12月6日(木)に『Rock&Snow 082』が発売されました。

今回は派手だったりキャッチ―だったりする企画は無いですが、個人的にはすごくツボというか心が動かさせる記事がありました。

見どころ記事の紹介と自分の連載「僕らは考える石ころである」の宣伝をさせていただきます。

Rock&Snow 082の見どころ

僕が個人的に良かったと感じた記事を紹介します。

クライマーのトレーニング・デイ

横山勝丘さん、小山田大さん、柴沼潤さんの3名がそれぞれ自分たちがやっているトレーニングのやり方を話してくれます。

小山田さんはご自身のジム「プロジェクト」でおこなっているトレーニングなどを説明してくれていているのですが、その内容も飛びぬけていて超人的なクライミング力の秘密の一端を知れます。

柴沼さんは彼の真骨頂でもあるキャンパシングトレーニングを紹介してくれています。ここに書かれていることを彼のようにストイックにこなせば絶対に強くなるという内容なので、フィジカルを強化したい方は必見。

そして僕としては横山さんのトレーニング内容にものすごい感銘を受けました。

横山さんというとアルパインのイメージが強いと思いますが、近年フリークライミングにも相当力を入れてトレーニングしているようで実際にこのシーズンは湯川の「燈明」(5.13d/14a R)の第2登など高い成果を上げています。

これほどまでフリークライミングの能力を上げた具体的なやり方と彼の哲学が余すところなく書かれているので、ビッグウォールやトラッドをやる人はもちろんのことジムでスポーツクライミングをやるだけの人もめちゃくちゃ参考になると思います。

僕は目からウロコが多くて久々に文章を食い入るように読んでしまいました。

詳細は実際に読んでほしいのですが、いくつか紹介するとこんな感じ。

・日常的に変えたのは、まず毎日登るということ。4月と5月は月25日登りました。最低10日連続とか15日連続とか

・グレードを上げたい人もひたすら食って、そのぶんひたすら動いたほうがいいですよって僕は言いたい。(中略)目の前の成果を考えたら減量もありなのかもしれないけれど、もっと長期的に捉えて取り組んでもいいんじゃないかな

・フリークライマーは「トップロープなんて」という人が多いけど、体を動かし続けるトレーニングにはトップロープが一番。よくやったのは、十一面岩正面壁で夕方まで登ったあと、末端壁へ下りて、春うらら1P目(5.11b)とトワイライト(5.11c)の2本にコの字形にトップロープを張って、2本を交互に間髪おかず、登山靴で登り続けるんです。時にはクライムダウンも

・パタゴニアに行く前は、三重・名張のイカサマ師(5.12b)っていうシンハンドのルートを登山靴で登るのが恒例で。いまワンテンなんだけど、あれをノーテンで登るのが今回の目標(笑)

とにかく向上心と徹底的な追い込みがすごいですね。

ものすごくモチベ―トされました。

山野井泰史の肖像

今年の夏に『Alpinist』に発表された、山野井さんに関する文章。

山野井さんのことを詳しく知っている人にとっては既知の内容なのかもしれないですが、僕は知らないことも多くて衝撃と感銘を受けました。

泰史さんもそうですけれど奥さんの妙子さんも確固たる自身の美学というか哲学というかもっと言うと超越的な信念を持って登山に臨んでいて、文章の端々からとてつもないエネルギーを感じます。

例えば有名過ぎる出来事ですが、山野井夫妻がギャチュンカンで雪崩に遭って凍傷になり指を失った際のこと。

その時妙子さんはそんな状態になっても「全装備を持って帰る。山にモノやゴミを置いて帰るわけにはいかない」と言い張り、泰史さんは生還するためには重い装備は置いていく必要があるとわかっていたのでその説得に苦労したという話があります。

もはや我々には理解しがたい信念ですよね。

ちょっとここに僕がこれ以上書くと陳腐になってしまいそうなので、是非読んでみてください。

地球の登り方「カナダ・スコーミッシュ」

世界各地の岩場を楽しく紹介してくれる、米山さんのこの連載。

今回は僕らが来年少し行ってみたいと考えているスコーミッシュ。

しかもトラッドルート紹介に加えて生活とか買い物とかそいういった役立つ色々な情報を交えて書いてくれていたので、個人的に保存版。

5.8~5.12代のクラックルートもとっても綺麗な写真とともに紹介しているので、眺めるだけでも楽しいです。

連載「僕らは考える石ころである」

僕の連載もすごい偶然ですがトレーニングに関して。

ここ最近は本から得た知識で理論的とか理屈の話が多かったので、今回は自分の身体を使った2ヶ月に渡る人体実験について書きました。

テーマは「1本指」。

といっても冒頭に出てくるような超人的なクライマー達のようなトレーニングではなく、わりかし一般クライマーに寄り添ったものになっていると思うので1本指に限らず弱点を強くした方は読んでみてください。

それとやっぱり自分の身体で実験してなんぼですね。

頭でっかちに理屈ばかり並べてもだめだな。

とまぁこんな感じです!

興味が沸いた方は買ってみてくださいねー。

ではでは。

<ロクスノ082>