ヨセミテに帰ってきた! 2021年秋ツアー Day23~28

ヨセミテに帰ってきた! 2021年秋ツアー Day23~28

Freeriderへの6日間のGo upから無事帰ってきました!
リードオールフリー達成はなりませんでしたが、自分としてはひとまず納得できる結果となりました。
何より2人で安全に帰還出来たことが一番。

ブログの方は随分前から書いていなかったので、ひとまずGo up前までの分を記憶を辿って書きます。

 

<これまでのツアー記事>


Day23(10/28):Yosemite Falls Wall

この時点ではまだまだ天気が読めずエルキャプに上がるのはもう少し様子を見た方が良さそうだったので、この日はむっちゃんがやりたいマルチの1つYosemite Fallの横にあるVia Aqua(ヴィア アクア、5.8,4P)へ行くことに。
ヨセミテフォールへのトレイルを歩いて行き、途中でトラバースして滝のすぐ横を登るロケーション最高のルートだ。
しかも今年は秋にも関わらず大量の雨と雪のせいでヨセミテフォールからごうごうと水が流れ落ちている。
クライミングコンディション的にはいただけないが、景観と言う意味では登るのに絶好の機会だろう。

<妻と滝>

ルート内容も難しくはないし下降もトレイルを辿ればよいだけなのでかなりのんびり目にスタートして道草を食いつつトレイルを進んでいたら、取り付き時間がなんと16時くらいになってしまった。。。
更に最後の5.7ワイドが濡れている&少し難しくむっちゃんは苦戦し、最終ピッチ途中にあたりは真っ暗に。
加えて夕方からかなり風が出てきて体感気温も下がり2人ともいろいろと疲弊したが、それでも落ち着いて上まで安全に抜けることができた。
下山中には風向きが変わったのか滝の水量が増したのか、トレイルにまで雨のようにヨセミテフォールの水しぶきが降って来るという体験したことのない気候(?)になっていた。
キャンプ4に着いたのはたしか21時か22時頃。
ちょっとしたハイキングくらいのつもりが小冒険になったが、これもまたヨセミテの一面を感じることができて結果的には満足だった。

<暗い中リードする妻>

 
 

Day24(10/29):レスト

この日くらいから天気的に一旦FreeriderへのGo upは諦めて、2日程度で行けるEl CapのWest faceや、もしくは高難度マルチのHot lineなど別の目標にまずは切り替えようか悩み始める。
しかし調べる内にWest Faceは濡れている箇所が多そうかつ荷上げが困難らしいとわかったり、Hotlineに関してはマーセド川が例年の10倍だかなんだかの水量のため通常のアプローチがほぼ不可能だったり。
僕は目標ルートを見失い始めモチベーションが低下し始めていた。

 
 

Day25(10/30):荷造り

そんな中、天気予報とにらめっこしているとなんとかギリギリ11月2日~6日あたりの天気が持ちそうだと判明。
この機会を逃すわけにはいかないと急遽荷造りを開始。

荷造り中に僕がジェットボイルのバーナー部分だけを日本に忘れてきたことが発覚する。
しかもバレー内のショップでもなぜかバーナー部分だけ品切れ(そんなことあるのか?)
正直ジェットボイルがあるかないかでQOW(Quality of Wall life)には雲泥の差が出るので、明日荷上げして明後日レストがてらフレズノにサッと戻ってジェットボイルを買い、そして戻ってGo upすればよいと判断してこの日は寝ることに。

  
 

Day26(10/31):荷上げ予定を止め→Arch Rock

昼前に荷上げするかと起床し天気予報を見てみると、、、明日の11月1日と4日に雨&雪マークがなんと復活、、、。
僕らの装備や危険回避能力だと雨の中ビッグウォールに突っ込むのはあまりに危険なため、再々度Go upを見送ることにした。
こうなってくると僕の中ではある意味もう吹っ切れ、天気を待ってクライミングしないのは耐えられないないととりあえず何か登りに行くことに。

選んだのは前から気になっていて、かつアプローチが近くそれほどルート自体も長くはないArch RockのNew dimensions(ニューディメンションズ、5.11a,4P)。
どうやらヨセミテ最初の5.11台ルートらしい。
また、杉野さんが

アーチロックを象徴するマルチルート。
簡単に言うとクレイジージャムが4ピッチずっと続く感じで、ワイド好きはやらねばなるまい。

と絶賛し★4つを付けるマルチでもある。

11:30頃から1ピッチ目(5.10b)登攀開始。(現在は昔の1,2ピッチ目をリンクして登ることが一般的なので繋げた)
出だしはハンドからフィンガー、そして後半にはなんとも表現できない形状のワイドまで含めてこれでもかと様々なタイプのクラックが登場する。
ところどころ痺れる箇所もあり、とにかく最高に楽しくヨセミテが詰まったピッチであった。

<1P目>


2ピッチ目(昔の3ピッチ目)は5.9が付いていて、内容は難しくはないがこれも身体がすっぽりワイドに収まることができる気持ち良いピッチ。

<挟まる僕>

思ったよりも短かったのでそのまま最終ピッチ(5.11a)まで繋げてしまうことに。
最終ピッチは本当に見事なコーナークラック。
典型的なコーナーワイド登りをし続けるのだけれど、だんだんとサイズがフィンガーまで細くなりかなり悪くなってくる。
5.11aが付いているものの、杉野さんが「核心ピッチだが最も登りやすく感じるかも」と書いていたので割と安心して登っていたのだが、最終局面前では相当に指がパンプしてしまう。
これはもうマジで落ちると思ったけれどリップがガバであることを信じて突っ込んだら、なんとか落ちないで登り切れた。
ワイド好きはやらねばなるまい 」はワイドクラッカーを最後のフィンガーで落とすための完全な罠。

しかしこの厳しさを含めて今の自分にはうってつけのマルチであった。
オススメの一本です。

<最終ピッチ>

まだ時間があったので看板課題のMidtermを登りたかったが3人ほど並んでいたので、予定を変更しGripper(グリッパー)の1ピッチ目(5.10b)を登った。
こちらもワイドからシンハンドまでスーッとクラックが続き、更に丁度良いところにホールドも出ていて素晴らしい一本。
最後の核心より中間部の5.9のフィストがアメリカンサイズでかなりヤバかったが。

<中央のチョックストーン右を登るのがGripper>


こんな感じで久しぶりに自分のクライミングをして、ひとまず満たされた。
夜は一応ジェットボイルや食材等を買うためにフレズノに降りた。

 
 

Day27(11/1):フレズノ→荷上げ

朝9:30くらいにマックでのんびりマックグリドルを食べていると、むっちゃんからまた天気が若干好転しているとの報告が。
一体どれだけ天気に振り回されるんだ、、、。
ただ11月8日からは積雪20~30cm級のストームが来るのはほぼ確実だったので、日程を考えると今日急遽ヨセミテに戻りハートレッジの上まで200~300mの荷上げをする必要があった。
僕自身昨日のクライミングでそれなりに疲れているのと、ここからジェットボイルを買ってヨセミテに戻って荷上げをするとなると夜中にまで作業がもつれ込むことは確実だった。
さらに度重なる悪天候や天気予報の急変でモチベーションが下がっており、正直なところもうこのツアーでFreeriderに挑戦できなくても構わないかなと思い始めていたのも事実だ。
こんな理由で一度はやはり今日荷上げするのは止めておこうとむっちゃんには伝えたのだが、次のストーム次第では今回のチャンスを逃すともうエルキャピタンには行けない可能性もあるけど本当に良いのかとむっちゃんに再度念を押される。
小一時間色々と考えた。
そもそもなんのためにこのツアーに自分は来たのか。
一番の目標は何なのか。
このツアーで仮に一度もエルキャピタンに登れなかったら一生後悔するんじゃないか。

そして、ヨセミテに急遽戻りFreeriderへチャレンジすることを決めた。


13時頃にはヨセミテに到着。
先日荷造りしたホールバッグなどを再度確認し、久々に背負うパンパンのホールバッグに疲弊しながら壁の基部へ。

<くっそ疲れています>


荷上げの説明を簡単にしておく。
Freeriderは大きく2部構成で考えられて、
・スタート~ハートレッジまで(9ピッチ。所謂Freeblast)
・ハートレッジ~トップまで(20ピッチ)
となっている。
ただしスタート~ハートレッジまでのFreeblastはダウンクライムも含む屈曲したルートであるためここを荷上げすることはほぼされておらず、ハートレッジから真っ直ぐ下に伸びるフィックスロープを使って予めハートレッジ周辺にまでホールバッグを上げておくのが通常のやり方だ。

15時頃荷上げを開始し、5ピッチほどあるのだが僕の体力温存のためにほぼ全てむっちゃんがホーリングをしてくれた。
本当に感謝しかない!

<荷上げの様子>

下部9ピッチであるFreeblastは先日登っているのでGo up当日ももう一度登れる自信はあったが、10ピッチ目の5.11cがクセモノなのでこの日に暗い中ムーブを再確認。
2年前に解決したムーブを試すと、記憶よりは難しくなかったため一安心。
そして10ピッチ目上まで荷上げをして、再びフィックスロープを辿りバレーに降りた。

 
 

Day28(11/2):レスト

ストームが11/8に来るであろうことを考えると、この日にスタートすることもあり得たが、流石にマルチ→荷上げ→スタートの3日連続ではFreeriderを登れる気は微塵もしなかったので1日レストを挟む戦略に。
エルキャプからの下降路はわかっているので最悪頂上に着いた日にそのまま夜中に降りてストームを避けることもできる。

この日はなんだかのんびり過ごしたり、明日の準備をしたり。
夜にバレー内のピザ屋でEl Capitanというピザを食べ、明日の大勝負に向けて早めに寝床に着いた。

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