ヨセミテに帰ってきた! 2021年秋ツアー Day12~22

ヨセミテに帰ってきた! 2021年秋ツアー Day12~22

2ヶ月のこのツアーも早くも1/3が過ぎてしまいました。
ヨセミテは例年にない雨と雪で予定通りに登れない日が続きますが、ヨセミテ外のカリフォルニアの街も含めてのんびりとアメリカを満喫しています。
むしろ長丁場のツアーを考えるとこれくらいのペースが良いのかもしれないです。

<これまでのツアー記事>

Day12(10/17):Church Bowl

二人ともSnake Dikeの疲れが少し残っていたので、だいぶゆっくりめの時間に近場のエリアであるChurch Bowl(チャーチボール)へ行くことに。
Village Storeというヨセミテ内の一番大きいスーパーの目と鼻の先にあり、駐車場から歩いて1~2分。
このエリアの駐車場は陽当たりが良く、ビッグウォールの荷造りの準備をしたりストレッチをしたりするのに活用してるけれど、登るのは初めて。

いくつかやりたいルートはあったけれど、とりあえず看板のBishop’s Terrace(5.8 ビショップズテラス)。
60m近いスケールで上部はワイドからものすごく綺麗なハンドクラック。
文句なく★3つ。
人気エリアで他のルートは人が空かなかったので、今日はこの1本のみ。

< Bishop’s Terrace >

 
 

Day13(10/18):レスト

明日のFreeblast(フリーブラスト)に向けてレスト。
自分としてはRostrum以来本気クライミングを1週間近くしていなかったが、これくらい心身を休めた方が登りたい気持ちがうずうずしてきて闘志も沸いてくる。

 
 

Day14(10/19):Freeblast

朝早めから、Freeblast(5.11b/c,9ピッチ)へ。
FreeblastはFreeriderの下部の9ピッチほどを登るマルチで、Freeriderを目指す人やもしくはヨセミテで5.11台を楽しむ人に数多く登られている。
オンサイトする人もそれなりにいるだろう。
しかし僕らにとっては鬼門となっているマルチで、個人的には瑞牆の5.11台マルチよりはハードに感じる。
2018年に初めて挑戦したがその時はヨセミテの洗礼を味わい、あのアレックス・オノルドもフリーソロの際警戒したスラブの2ピッチ、5.10bのワイドピッチ、の計3ピッチがRPできず時間も無くなり最後のダウンクライムも飛ばし、なんとかトップアウト(と言っても途中のハートレッジで終わりのルートだが)したのだった。
2019年にかなり力も自信も付け再度挑んだが、またしてもスラブの2ピッチには敗退、、、。
その後帰国直前に再再度このスラブピッチをやりにいってなんとかRPしたのだが、その際はそこで引き返した。
つまりFreeblastは各ピッチはRPしているがワンプッシュで繋げては全てのピッチを登ってはまだいないので、僕としてはなんとしてもこのツアーの前半で乗り越えておきたかった。

そして今回は僕が全ピッチをリードで挑む。

・1P目:5.10c
美しいダブルクラックのピッチで全長60m超。
5.10cとはいえ油断ならないピッチで、あのエミリー・ハリントンも2019年のGolden Gateワンデイフリーチャレンジの際にこのピッチでグラウンドフォールし搬送されている。
7時半過ぎに出発したが、まだ岩が冷たく身体も温まっていない。
ちょっと時間を使って着実に登った。

・2P目&3P目:5.11b
最初のルーフ越えが核心。
60mロープがあれば3P目までリンク可能。
初めてのチャレンジの際にオンサイトしているのだが、なぜかこの日は足順がわからなくなり焦る。
指がだいぶよれたが落ち着いて安定するポジションを探りRP。


・4P目:5.11b/c
核心であるスラブ。
ただ2年前にRPした際に比較的良いライン取りを見つけているので、きっと再現できるはずだと言い聞かせる。
日が当たり始めていたのもあって、際どい1歩に痺れたが登れた。
この時点でワンプッシュで登り切れる確信を得る。

<4P目を登り終えた僕>


・5P目:5.11a
グレードは下がるが難しいセクションのあるスラブ。
4P目を登れて気が大きくなったのかなぜか前半のそれほど難しくない所で落ちかけるが、奇跡的に足が残ってフォールを免れた。
核心ではこれまでなぜ気付かなかったのかという良い手順と足順を発見し、以前よりも楽に登ることができた。

・6P目:5.9
簡単というわけではないが、ゆとりを持って登れるピッチ。
しかし途中のクラックが濡れていて少し緊張した。

・7P目:Half Dollar(5.10b)
ここは初めてチャレンジしたときにフォールしお尻を強打し、大量出血した嫌な記憶があるピッチ。
ワイドに入り込む2,3手が厳しいだけなのだが、フリクションがあまりないワイドが怖さもあって個人的に難しい。
かなり力を使って絶対に落ちない登りでなんとかRP。

・8P目:5.7
簡単だが、ながーい75mのピッチだがほぼウィニングロード。
荷物を背負って登る。

・9P目:5.10d
ハートレッジへダウンクライムするピッチ。
グレードは5.10dだが、体感は5.10aほどでそれほど難しくはない。
ここも慎重に乗り切って、16時半ころにハートレッジへ。

何度もやっているので当然と言えば当然だけど初めてのチャレンジの時はこの時点で真っ暗だったのに、今回は途中休憩も入れつつ時間的に余裕を持って登り切れた。
1週間前のRostrumと比べても登り終えた後の身体の疲労もあまり感じない(オンサイトじゃないからそりゃそうだけど)。
とにかく1つ忘れ物を回収でき、かつ自分の成長も実感できた。

ただある意味スタートラインに立ったに過ぎない。

 
 

Day15(10/20):ルート偵察など

ゆっくりめにむっちゃんの目標ルートであるThe Royal Arches(ロイヤルアーチ)の偵察など。

< Royal Archesの1P目に挟まる妻>


夜は、ニューヨークで働いている隼人さんとその友人のターナーと合流し焚き火を囲んで飲んだりした。
アメリカで働いてそしてクライミングを楽しんでいる姿が眩しかった。

 
 

Day16(10/21):雨、Ranger Rock & Church Bowl

The Royal Archesに行くはずが、明け方から激しい雨に降られてしまう。
数日後にくるストームの前兆だろうか。
予定を変更し昼からNutcracker(ナットクラッカー)をむっちゃんがやりにRanger Rockへ向かう。
Ranger Rockはエルキャプからの下降路付近にあり、これまた駐車場から1~2分で陽当たりも良くヨセミテでも1,2を争う人気エリアだ。
僕らも登るのは初めてだったのだが、着いてみると昼過ぎなのにNutcrackerはなんとまだ順番待ち!
さすが魅惑のトラッドにも

ヨセミテでもっとも有名でもっとも混雑の激しいマルチルート。
渋滞にハマると丸一日かかることも。

と書かれているだけはある、、、。
順番を待っていたが、前のパーティーも相当時間がかかりそうなのでまたまた予定を変更し、むっちゃんはAfter Seven(5.8)を登り、その後Church Bowlにまた行ってBishop’s Terraceを登っていた。
むっちゃんもだいぶ復活してヨセミテに慣れてきたようだ。

<After Seven>


2018年、2019年とヨセミテでは近場で易しめのルートがあるエリアにはあまり行ってこなかったが、今年のツアーはSwan Slab, Church Bowl, Ranger Rockなどいずれも陽当たりが良くアプローチが2分以内の手頃なエリアにいくつか行っている。
こういったエリアは僕らがイメージするヨセミテ像とは違い厳しさは少なく(と言ってもグレードは辛めだが)、クライマーももっとファンな感じの人たちが数多く楽しんでいる。
これもまたヨセミテの懐の深い一面だ。

 
 

Day17(10/22):曇り~雨

この日も曇りから雨で結局レストをしながらすごした一日。

 
 

Day18(10/23):雨→サンタクルーズのジムへ

この日こそむっちゃんはRoyal Archesにトライすると意気込んでいたが、ストームがいよいよ到来してしまったのかヨセミテは雨。
もうこれ以上ここにいても満足いくクライミングはできないと考え、早めに一旦下の街に降りることにした。
むっちゃんのお目当てであるモントレーベイ水族館方面に近づくために、ヨセミテから車で4時間ほど(サンフランシスコから車で1時間半くらい南)のサンタクルーズという街へ。

まずはPacificedgeというクライミングジムでボルダーとリードを楽しんだ。
久々にインドアで登って結構すぐヨレたが、刺激が入ってむしろ登って良かった。
クラック課題も、ハンドの5.10、チムニーの5.9&5.10a、ワイドの5.10c、フィンガーの5.12bなどあってかなり満喫。(結局翌々日も来て、計2日楽しんだ)

<リード&トップロープエリア。土曜日は空いていたけど月曜日は激込み>

<5.10cのワイド。フリクションがなくてマジ難しかった>

<5.10aチムニー。クラックは難易度が絶妙で、確実にクラックをわかっている人が設計している>

日本と比べるとお世辞にも課題やルートのクオリティは高いとは言えないし、アメリカにしてはそれほど大きくない規模なのだろうけど(ベースキャンプ入間より小さいくらい?)、トレーニング器具や物販などが充実している。
特に月曜日にはトップロープやボルダーを楽しむビギナー勢でごった返し(6~70人超はジムにいたと思う)、人口6万人の街であるサンタクルーズでしかもクライミングジムがこの他にもあるのにここまで人が集まるのはすごい。
良い感じの自転車で来ている人も多く、クライミングだけでなく運動やスポーツそれ自体が生活習慣となって根付いている印象だ。

 

Day19(10/24):サンタクルーズでのんびり

この日ものんびり。
おしゃれなカフェで本を読んで、本屋に行って、夜はお寿司。
サンタクルーズの海沿いでちょっとおしゃれな感じで良い雰囲気を二人とも気に入ってしまった。

<めりかあでしーすー>

 
 

Day20(10/25):買い出しとジム

サンタクルーズから40分ほど南下し、この日はサリナスという街へ。
この町は人口15万人の内ヒスパニックが60%を占め、看板もスペイン語が多くなんだがアメリカとはまた別の異国へ来た気分。
こういう雑多な感じも昔南米に旅行していたことを思い出して懐かしい。

夜にまたジムへ行って気持ち良く動いておいた。

 
 

Day21(10/26):モントレーベイ水族館

むっちゃんのこの旅の目的の1つでもあるモントレーベイ水族館へ。
缶詰工場を水族館にしたらしく、海岸に面した建物がカッコ良い。
展示もとにかく水槽や窓が広くて、中の生き物がのびのび動いている印象を受けた。
丸一日かけて全て見て回って、知らない生き物もたくさん見れたし英語の勉強にもなってとにかくリフレッシュできた。

<くらげ>

<パフィンと妻>


個人的には、サンタクルーズ、サリナス、モントレーと雰囲気がそれぞれ違う街を3つも肌で感じられて楽しかった。
と言っても全てカリフォルニア州のごく一部のエリアの中の話なのだけれど。
アメリカは広すぎる。

 
 

Day22(10/27):ヨセミテへ!

ようやくストームも落ち着いたのでヨセミテへ帰ってきた。
が、やはりこの数日の雪と雨は相当だったらしく、まだ岩の上には雪が残っているしそこら中の地面が濡れている。
本当はこの日にFreeriderに向けて荷揚げをするつもりだったけれど、相当ルートが濡れていそうなので2日ほど遅らせることに。

<Yosemite National Parkのインスタ>

<ヨセミテフォールがこんなに流れていることある?>

しかし来週末にはまたストームの気配、、、。
今年のヨセミテの天気は難しすぎる。
でもそれが自然の中で遊ばせてもらっているということだし、雨や雪で登れなくても仕方ない。
今はそういったもの含めて全部を受け入れられる気がする。 

<次の記事>