『Rock & Snow 086』の宣伝&見どころ

『Rock & Snow 086』の宣伝&見どころ

本日2019年12月6日、『Rock & Snow 086』が発売されました。
今回は特集の「スラブの登り方」をはじめとして全体的にキャッチーな雰囲気ですね!
僕もいつものように定期連載の「僕らは考える石ころである」を書かせていただきました。
内容は「トレーニングの量」です。
一流クライマー達の異常なまでのトレーニング量を紹介するとともに、僕の考えも述べています。

ではいつものように見どころ&宣伝を書きます。

<ロクスノ086>

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スラブの登り方

スラブの第一人者である室井登喜男さん。
高難度スラブの開拓のみならず、スラブボルダーというジャンルの火付け役とすら言えると思います。
そんな室井さんがスラブのテクニックを存分に語ってくれるとともに、更に7名のスラブマスターたちがコツやトレーニングを教えてくれています。
特に室井さんは6ページに渡って「足」「手」「足と手の連動」と詳細にスラブテクニックを書いているのですが、”室井さんってこんな文体だったか?”と思えるほど終始冗談を交えた楽しそうな語り口で読んでいて面白いです。
サービス精神に溢れていて素晴らしい。
もちろんかなり使えるテクニックやコツもあるのですが中には、こんなものも。

(足の入れ替えは)たいていは一気にやった方がうまくいく。
コツは入れ替える前に、あらかじめ入れ替え足で立っている感覚と意識をイメージしておいて、あとはしらばっくれること。
たとえば、左足から一気に右足に入れ替えて、「ええ、最初っから右足で乗っていましたとも、それが何か?」という具合。
それくらい意識と感覚を素早くスイッチして、何食わぬ顔をする。

しらばっくれる!?意味ある、それ!?笑
と、まぁとにかく読んでいて楽しい気分になります。

<しらばっくれる室井さん>

 
 

2つのインタビュー 「奥村優」 「安田雅輝」

2つのインタビューはどちらも読みごたえがあります。
18歳にして比叡の「アマテラス」(五段)を登るなどすでに日本を代表するクライマーである奥村優さん。
そして、ホールドメーカーUNDER BLUEのシェイパーである安田雅輝さん。

奥村さんはインタビューの端々から、生まれながらにしてクライミングという環境で当たり前に育ったいわばネイティブクライマーなんだなという印象を受けました。
読んでいて気持ちが良いというか、羨ましさも沸いてきますね。
本当に今後が楽しみです。

安田さんは、言葉の1つ1つにシェイパーにとどまらないプロフェッショナルとしての哲学が感じられます。

(シェイプのこだわりは)ラインですね。自分は、流れが止まっている形を見ると違和感を覚える

意識しているのあ、ホールドを持った時の「あまらない」感じ

など彼独特の感性が散りばめられていて、ハッとさせられますね。

 
 

「生き方の提案」北米編 後編

毎回紹介していますが、この連載が自分にとって一番面白いのだから仕方がないです。
増本夫妻によるアメリカ大陸縦断ツアーの記録で、今回は僕にとってもアツいヨセミテ編!
妻さやかさんによるフリーライダー挑戦記録がメインなのですが、連載と現実世界で1年差がついてしまい、現実世界では先日ワンプッシュ完登に成功していますね。
ただ逆に、一年前はこんなにも苦戦していたのかと勇気づけられもします。
さやかさんの書きっぷりは心情の揺れ動きとか緊張感が伝わってきてドキドキするし、その後のクロヒゲさんの豪快でユーモアがある描写もgood。
なんだかついこの間まで自分もこのルートにチャレンジしていたと考えると不思議な気持ち。

<写真を見るだけで手に汗握るモンスターオフィズス>

 
 

御在所のフィンガークラック「三段ハングクラック」5.14a初登

浦野誠動さんによる国内最高クラスのクラックの初登記録。
本当にエネルギーをもらうので読むべし。
年齢のことをあまり注目すべきでないかもしれないけれど、浦野さんは今年で48歳!

ほんのわずか「トライを続ければ進歩はする」という光明がさしました

完登したいのか、それとも初登したいのか ― しかし「それでも登る」

あらゆる言葉が強烈。

 
 

新連載 「クライミングジムの未来」 「つらくて楽しいセッター稼業」

新連載はクライミングジムオーナー視点、セッター視点、と2つともこれまでにないジャンルでカラーがはっきりしているので良いですね。
くらしょーこと倉島将吾さんの「クライミングジムの未来」は初回はグレードを中心に「どうすればお客さんにグレードの断絶を感じずに楽しく登り続けてもらえるか」という、非常に興味深いテーマ。
僕のブログ記事にも触れてくださって、嬉しいです。

<前に書いたブログ>

「下部だけ2級の課題」や「1要素だけ2級の課題」は堂々と2級と言えるのか、その必要性、などをくらしょーさんが語っています。
たぶんオーナーもセッターもクライマーも誰しもが共感できる内容になっているので、みんなで読んで議論すると盛り上がりそうですね。
ちなみにその中で以下の図が出てきて、くらしょーさんは(おそらく)図2を推奨しています。

こういった話もみんなが一度はしたことあるはずなので、”わかるわー”と共感度高し。
ただ僕は超わがままを言うと、ハイブリッドっぽくこんな感じ↓が良いです!

全ての2級はどの3級よりも難しくあって欲しいのですよねぇ。
でもこの形を追求すると一般的にグレード辛くなりがち&断絶を感じがち、、、。

岡野寛さんの新連載は「つらくて楽しいセッター稼業」。バリバリ現役で世界の第一線で活躍するセッターなので、現場の情報が知れそうで楽しみですね。
今回も実際に使われている「セッター用語」を紹介するなど面白かったです。
例えば「forerunning」って意味わかりますか?
僕はこれ以前に同じジムのセッターであるつっかーに出題されてわからなかったです。
知りたい方はチェック!

 
 

僕らは考える石ころである

僕の宣伝はサクッと。
今回のテーマは「トレーニング量」。
これまでは「考えること」「効率」「数値化」みたいな目線だったので、あえて逆張りで書いてみました。
具体例を交えながらトレーニング量の大切さを説くとともに、そのリスクももちろん触れています。
是非読んでみてください!

ではでは。