去年よりもヨセミテで登る力は上がったのか?OS率などを比較する
- 2019.12.04
- 上達方法 岩場 科学するクライミング 自身の記録
ヨセミテから帰国して4日経ちました。
12月はインドアで鍛え直す日々になりそうです。
この記事では、
・今回のツアーで登ったルートをまとめ、来年に向けての宿題などを把握し直す
・グレード別に登った本数やOS率などを去年と比較して自分のクライミング能力が上がったのかどうかを定量的、客観的に分析する
ということをやります。
2019年秋のヨセミテで登ったルート
ツアーブログの中で触れているはずですが、ボルダーまで含めて今回登ったルートを以下にまとめ直します。
ルート名 | グレード | 備考 |
Freerider | 29ピッチ、5.13a | ■以下の5ピッチはRPできず ・20P目ボルダープロブレム (5.13a) ・23P目エンデューロコーナー (5.11c→5.12b) ・24P目 トラバース (5.12a/b) ・26P目 スコッティ・バルク (5.11d→5.10d) ・29p目 (5.10d→5.9) |
Astroman | 11ピッチ、5.11c | チームRP(自分はフォローでもノーフォール) |
Tales of Power | 5.12b | |
Deliverance | V8 | |
Bruce Lee | V8 | |
Red Suede Shoes | V6 | |
The Other Crack | V6 |
ショートルートはあまり触ることができず、ビッグウォールがメインとなっていますね。
ただ目標にしていた
・フリーライダーをトップアウト
・アストロマンをチームRP
・テイルズオブパワーのRP
は達成できたので良しとします。
とは言え来年に向けて宿題は残っていて、上記のフリーライダーの5ピッチに加えて、ショートルートとボルダーでも
・Heaven (5.12d)
・Thriller (V10)
など登りたかったけれど力及ばずだったものもありました。
<今年のツアーブログ>
<去年のツアーまとめ>
グレード別のOS率などを去年と比較する
自分の感覚的には今年は去年よりもオンサイト/フラッシュ力が上がったのではないかと思います。
(オンサイトとは情報無しでルートを1回目のトライで登ること、OS。情報有りはフラッシュ、FL)
ただ主観というものは当てにならないものなので、去年のヨセミテの記録と定量的、客観的に数値で比較してみます。
方法
以下の方法で集計、比較をします。
・対象はビッグウォールやマルチも含めたルートとし、ボルダーは除く
・グレード別に去年(2018年)と今年(2019年)のヨセミテツアーで以下を比較
- OS・FLした本数、率(どこまでの情報を許容するかでOSとFLの区別が難しいので、まとめる)
-2トライ以上で登った本数、率
-登れなかった本数、率
・1トライ目でフォローやトップロープで触ったルートはOSやFLの対象外となってしまうため集計から除外
・同様に、去年触ったルートを今年登った場合も今年の集計からは除外
結果
では早速見てみましょう。
横軸でグレードを分けました。
縦軸がルートの割合で、表の中の数値がルート数です。
赤がOSもしくはFL、薄いオレンジが2トライ以上でRP、グレーがRPできず、です。
まずは去年の結果から。
<2018年の結果>
5.10台や5.11台は8~9割でRPすることはできていますが、OS・FL率は
・5.10台:67%
・5.11台:40%
となっています。
たしかに去年は特に5.11台の後半が出てくると、”OSは難しいかもなー”みたいに弱気になってしまっていたように思えますね。
5.12以上はOS・FLは無し。
続いて今年。
<2019年の結果>
5.10台、5.11台でRPの率はほぼ同様ですがOS・FL率が大幅に上がっています。
・5.10台:88%(登れたルートは全てOS or FL)
・5.11台:71%
5.12台も1本ですがOSすることができました。
このことから、去年と比べ
・5.10台はほぼOSする力がついている
・5.11台も去年よりもOSできる確率が2倍近く上がっており、7割程度はOSが見込める
と言えるはずです。
これはきちんとデータから導いていることなので自信に繋がりますね。
ただし去年がショートルートメインなのに対して、今年使っているデータは大半がビッグウォールやマルチピッチのルートなので一概に比べるのは危険です。
というのもフリーライダーは各ピッチのグレードが体感とずれがあるものが多く、かなり辛いものから甘いものまであります。
またビッグウォールの場合はかなり疲労もあるのでそこは考慮できていないですね。
さらに去年OSできなかった5.10台の2本は、Ahab(5.10b)とTwilight Zone(5.10d)というクセ物ワイドクラックだった、など個別ルートまで詳細に見ていくとまた色々言えてしまうのですが、、、まぁあくまで参考程度に!
底上げの必要性を再確認
この結果は、OS力が上がった一方でRP力はそこまで変わっていないという見方もできます。
2018年でも5.12a~5.13aを2本登っていますが、2019年はビッグウォールでトライ数が限られていたとはいえ5.12aを1本登ったにとどまっています。
(テイルズオブパワー5.12bは登れたが、2018年も触っているので除外)
ボルダーピッチ(5.13a)やヘヴン(5.12d)は複数回トライするチャンスがあったので、これらをきちんと登り切る力が無かったという意味では2018年からRPするという地力は実は上がっていないという悲観的な見方もできます。
ここは自身の大きな課題であり鍛えるべき箇所ですね。
こんなところでしょうか。
簡単なことであっても数値で比較してグラフ化すると正しい情報がインプットされますし、知っていることでも頭の整理にもなるので良いですね。
これにてヨセミテツアー関連のブログは一旦おしまいです。
さ、来年に向けて日々やるべきことを頑張るぞー。
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