科学するクライミング4~肩の柔軟性とキャンパシングの距離~

科学するクライミング4~肩の柔軟性とキャンパシングの距離~

今回は自分の怪我から学んだ「肩の柔軟性の大切さ」について。
もう少し細かく言うと「(主に)棘下筋のコリをほぐしたらキャンパシングの距離がかなり伸びた」という話です。

科学するクライミングと題していますがそこまで科学していないので、どちらかというと「ハードコア人体実験室」ですかね。笑
専門知識が無いので間違っていたらすんません。


経緯

以前も記事に書いたことがあるのですが、僕は日頃から右肩と左肩のバランスが異常に悪かったです。
常に右肩が上がってしまっている状態で、右肩だけがコリ易かったです。
それが原因とまでは断定できないですが

・右の完全引き付けロックオフが弱い
・キャンパシングで左出し(右手引き)の方が明らかに距離が出ない

ということにずっと悩んでいました。
2014年11月にライノのホールドでキャンパシングした動画があるのですが、右手出しに比べて左手出しが全然距離が出ていないです。
(ただホールド配置が左右で違いはしますが)

・右出し

・左出し

そしてそうこうしている内に、去年の12月くらいから本格的に右肩が痛み出し、ひどい時だと右肩が全く挙がらないという事態になってしまいました。
これは専門的な方に見てもらわないとまずいと思い、
Fishでも施術をしてくれている木村さんや、
ロッキー時代に知り合った鍼灸師のkazuさんの元に通ったり、
クライミングジム連盟のファーストエイド講習の際にCRUXの阿野さんにも少し肩をチェックしてもらったりしました。

結果右肩のインナーマッスルが酷く硬直しているらしいという結論に至りました。
おそらく棘下筋(きょくかきん)という上腕を外側に捩じったり、背中側に動かしたりする筋肉が特に硬直しているようでした。
(肩のインナーマッスルそれぞれの働きは僕も詳しくないのですが、イラストヨガ解剖学教室とかが緩くてわかりやすいかも)

確かに左は背中から手を回して左の肩甲骨が触れるのに、右で同じことは無理だったり、
左手を下から右手を上からで背中で両手を繋ぐことはできても、逆は無理だったりしたので右の肩甲骨だけ可動域が狭かったんですよね。

他にも、腕を水平に挙げて肘を誰かに支えてもらい力を抜いた時に、肘より先がどの程度落ちるかというテストをしても左右で大きな差がでました。
左はきちんと肘より先が落ちているのに対して、右は脱力ができずほぼ水平で固まってしまっています。
(僕の理解では棘下筋が張り過ぎていて、背中側に常に右腕を引っ張ってしまっているイメージです)


左


右

それでこれは本格的に何とかしないといけないと思い治療に通うと共に、個人でも右肩の改善に取り組み始めました。

具体的に何をしたか

具体的にしたことは、とにかく「右肩のストレッチ」です。

一般的なストレッチに加えて、特に棘下筋をほぐすストレッチをしました。
例えばこんなの。
左手で、右手を地面に着ける方向に力を加えています。
ジムでやっていると「気分悪くなったの?」とかよく聞かれますが、寝ているわけじゃないです。
ストレッチ
(こちらも僕の理解では、棘下筋が縮む背中側とは逆の方向に伸ばしてやっているイメージ)

このストレッチをした直後は棘下筋がほぐれるせいか、かなり脱力できるようになり右手でも肘より先が相当さがります。
右後

他にも右手で右の肩甲骨を触れるようにストレッチをしたり、右手を下から回して背中で両手が触れるようにストレッチしました。
今ではギリギリですが、右手でもできるようになりました。
右肩甲骨

右繋ぎ

こういったストレッチを毎日、運動前とお風呂に入った後に欠かさずやるようにしました。
運動前には筋肉をほぐし過ぎない方が良いという話もありますが、僕の場合はとにかくこり過ぎているので運動前にもストレッチを入念にやりました。

結果、右肩の違和感はほぼなくなり柔軟性が出て可動域も広がってきたと思います。

※追記※
そういえば吉田和正さんのブログに載っていた、こんなマッサージもよくやりました。
マッサージ
鎖骨付近のこっている筋肉(おそらく僧帽筋?)をほぐしています。
酷い時は右側だけ盛り上がりが半端なかったです。

検証動画

そして最近(2015年8月)全く同じキャンパシングをやった際の動画です。
右手のホールディング方法が違っていたり、振り方とかも違ったり、何より筋肉量が増えている気がするので一概に比較はできませんが、圧倒的に左手出しの距離が伸びているのがわかると思います。

考察・感想

すごい距離を出せる人って出来ない人からするとは「筋肉がすごいんだなー」とかって単純に思ってしまうのですけど、それ以外で差がついていることも多いのですよね。
その一つがこの記事でも書いたように、可動域の広さとか柔軟性とかではないかなと。
例えば西コフはどちらからでも背中で手をがっちり繋ぐことができるくらい肩が柔らかいですし、かなり気にして肩のストレッチはしているそうです。筋肉隆々に見えてそれだけじゃないんですよね。
ジャンボも肩甲骨体操と言って、6種類くらいの肩甲骨周りののストレッチ・軽い筋トレを昔よくやっていたし。

他にも柔軟性だけじゃなくて、身体の振りの使い方とか次第でも全然距離は違いますよね。
ライノのYou君とか見てると振りが僕より全然上手い。キャンパシングでダブルで下に降りるのとかがすごくキレイです。

というわけで、ぐだぐだ書きましたが今回の学びは

・筋肉だけでなく柔軟性や可動域の広さにもっと注目するべき
・怪我を直すことはトレーニングよりも効果的
・自分の身体のコンディショニングに繊細になろう

ってな感じですかね。

ではまた。