クライミングのルールの考察3~ボルト穴は使用可能か~

クライミングのルールの考察3~ボルト穴は使用可能か~

※以下記事で後日再度整理をしています

<クライミングのルールの考察4~掲示物・ボルト穴の使用に関して再整理~>

クライミングのルールの考察4~掲示物・ボルト穴の使用に関して再整理~

 

2014年からボルト穴の使用に関してルール変更があったので、今回はそのあたりのルールを詳しく見ていきたいと思います。

 


2013年までのルール

まずは2013年までのルールをもう一度確認したいと思います。
2013年のIFSC rulesがなぜか見ることができないので、代わりに2012年のIFSC rulesから引用しますが、そこにはこのように記述されています(リードクライミングの項を引用していますが、ボルダーも同じです)

6.9.9 The attempt of a competitor on a route shall be considered unsuccessful if the competitor:
(中略)
d) Uses with their hands, holes provided in the climbing wall for the placement of bolt-on holds;
(後略)

意訳すると、
クライミングウォールのボルトオンホールド取り付け用ボルト穴を手で使った場合にアテンプト失敗となる」
と書いてあります。

ここからわかること/曖昧なこと、は以下です。

2013年ルールでは
・ホールドのボルト穴の使用は禁止されていない
・ただしハリボテのボルト穴を使用して良いかどうかは曖昧(なぜならハリボテはホールドなのかクライミングウォールなのか定義されていないので)

 

2014年の改定で明らかになった点

しかし2014年のIFSC rulesでは文言が修正され以下の記述されています

6.9.9 The attempt of a competitor on a route shall be considered unsuccessful if the competitor:
(中略)
d) Uses with their hands any holes provided for the placement of bolt-on holds , excluding any such hole on a bolt-on hold;
(後略)

意訳すると、
「ボルトオンホールド取り付け用ボルト穴を手で使った場合にアテンプト失敗となる。ただしボルトオンホールド上の穴は除く
と書いてあります。

2013年ルールとの違いは、
・使用禁止のボルト穴の範囲がクライミングウォールだけでなくなった
という点です。
しかし、「ボルトオンホールド上の穴に関しては適用範囲外であるため使用が可能」とも書いてあります。
つまり今回のルールは何が言いたいのかというと
・ハリボテ上のボルト穴の使用が禁止
ということなのです。

ちなみにJudging manualSummary of Changesを読むとハリボテ上のボルト穴の使用禁止がより正確に書かれていることがわかります。

Disallow use of bolt-holes on volumes (as well as the wall itself).

prohibit use (by the hands) of holes provided for the attachment of bolt-on holes on both the climbing wall and volumes

それぞれ
「ボリューム上のボルトオンホールドの使用禁止」
「クライミングウォールとボリュームの両方において、ボルトオンホールド用ボルト穴を手で使用することは禁止」
と書かれています。

ボリュームとは、ビスでウォールに取り付けるものの中でホールドの取り付け穴をもつもの、すなわちハリボテと考えて差し支えないでしょう。

 

使用禁止の意味

ここで一つ注意したいのが、「使用禁止」とはどのような意味かということです。
まず第1点として、このブログでは繰り返し言及していますが、禁止されているのはあくまで手での使用のみです。
ボルト穴をスメアリング(エッジングの方が正しいか?)することはルール違反でもなんでもないのです。
もっと言うと手でなければ、足以外でも使用しても良いはずです。(例えば肘とか?笑)

そして第2点が大切なのですが、手で使用する際にも、ホールディングの結果として付随的に指がボルト穴に当たってしまう場合などは禁止されていません
例えばハリボテをピンチした際に、親指がボルト穴に当たってしまうことなどがあるとは思いますが、そのような使用方法は認められているのです。
この部分に関してはSummary of Changesできちんと記述されています

The phraseology is structured to permit the “French Pinch” (where the competitor uses the bolt placement of a bolt-on hold with their thumb in conjunction with gripping the main part of the hold with their fingers)

意訳すると以下のようなことが書いてあります。
「いわゆる”フレンチ ピンチ”は認められている。つまり手でホールドの主要部を持つ際に親指がボルトオンホールド取り付け用のボルト穴に当たっても構わない」

ただこのボルト穴のフレンチピンチがクライミングウォールのカンテをホールディングする際にも認められるかどうかははっきりとは記述されていません。
カンテを持つ際に親指をボルト穴に当てて良いのかなどは曖昧な気がします。

 

残る疑問点

さてまとめに入る前に一点だけ曖昧な点があります。
それは「ボルトオンホールド」の定義です。
「ボルトオンホールド上の穴は使用可能」とありますが、ボルトオンホールドとは一体何なのかを厳密に考えると2通りの解釈が生まれることに気づきます。

解釈1
ボルトオンホールドとは
「ウォールにボルトで取り付けられるようにボルト穴が空いたホールドを指し、仮にビスでウォールに取り付けられていたとしても、それはボルトオンホールドである

もしこのように解釈すれば、ルールは単純明快です。
どのような場合であっても、選手はホールドのボルト穴であれば迷わず使用できます。
ワンフィンガーで指を突っ込もうが何だろうが自由にできます。

解釈2
ボルトオンホールドとは
「ウォールにボルトで取り付けられるようにボルト穴が空いたホールドを指すが、ビスでウォールに取り付けられていた場合は、ボルトオンホールドとは見なさない

やっかいなのがこの場合です。
ボルトで取り付けるように作られたホールドであったとしても、ビスでウォールに取り付けられていることはしばしばあります。
その場合はホールドはボルトオンホールドとは見なさないと解釈した場合、ルール上ホールドのボルト穴は使用禁止になります

JFAは基本的に解釈2の立場に立っているようで、IFSC “RULES2014″ 主要変更点にも以下のように記述されています。

「穴」は、従来はクライミング・ウォールに開いている方の穴のみと理解していたのだが、ボルトオンホールドの取り付けボルトを通す穴も、そこにボルトを通していない場合は含まれることになった。。
これはボルトオンホールドをボルトを使わずに、スクリューオンホールドと同じように木ねじだけで固定した場合である。その場合そのホールドのボルトを通す穴は使用禁止になり、ルートセッターはその穴を埋めておく必要があるとされている

(ちなみにJFAは毎年ルールの主要変更点を日本語で非常にわかりやすく、かつ深く突っ込んで訳しているため全てのクライマーが目を通しておいて損はないと思います)

しかし一概にこのように解釈できるかは個人的にはわからないと思っています。
使用禁止のルールに関して”excluding any such hole on a bolt-on hold”と書かれている以上、文面通りに解釈すればボルトオンホールド上に空いている穴は対象外となるわけで、仮にそれがビス固定されていようと対象外となると考えるのが普通に思えるからです。

ここは疑問点として残りますね。
セッターが必ずボルト穴を塞いでくれれば選手としては迷う余地はなくなりますが。

 

まとめ

これまでの議論を一覧表にまとめたものが以下ですので、ご覧ください
141126_ボルト穴は使用可能か 2

 

終わりに

まだ疑問点が残っていますが、ボルト穴に関しては自分の中でも大分整理できました。
残るは「ハリボテのもう一歩踏み込んだ解釈」、「地ジャンスタートの位置づけ」などを個人的には整理していきたいです。