ボルダリング3級のために、今一度見直すべき基礎とは

ボルダリング3級のために、今一度見直すべき基礎とは

昨日2020年1月18日、ボルダリングジムUNDERGROUNDにてボルダリング検定が行われました。
ボルダリング検定自体の概要に関しては、HPブログの過去記事あたりを参考にしてください。
僕はボル検ではディレクターと言って、課題全般のタイプやグレードが適切かどうかを担保することが役目です。
更に検定会が終わった後、受験者に対してディレクターやチーフセッターから
・受験者に求める要素
・今回の課題タイプ
・見ていて気付いたこと/アドバイス
などを説明するフォローアップもさせてもらっていて、今回僕は3級を担当しました。

その中で強く感じたのは、
ボルダリング3級という”中~上級者の登竜門”にチャレンジするために、今一度クライミングの基礎中の基礎を見直すと良いのではないか
ということです。
受験者の中には驚くほど保持力が強かったり、フィジカルがあったり、ランジやコーディネーション的な動きに長けていたり、フック系の足技が上手かったり、ある能力では3級を超えている方も散見されます。
一方で、
・本当の基礎中の基礎のムーブやフォームを実はそもそも知らないのではないか
・知っていても特殊なムーブばかりやって基礎が疎かになっているのではないか
と思える方もいました。

ということでこの記事では、知っている/身についているクライマーにとっては本当に当たり前なことだけれど、僕がとっても大切だと考えるクライミングの基礎に関して書いてみます。
たくさん触れると大変なので3つに厳選しました。
マジの基礎なので多くの人には新しい情報は無いかもしれませんが、当然と思えることをきちんと書くことに意味がある気がするので。

 
 

カウンターバランスを取る

最も強く感じたことが、
「カウンターバランスを取らないクライマーが多すぎる」
という点です。
特に一番のベーシックなクライミングの動きである、取りに行く手と同じ側(支持している手の対角線)の足をフットホールドに置いて軸にする「ダイアゴナルでのカウンターバランス」をなぜか取らないケースがたくさん見られました。

例を出すと、下図のように右手で次のホールドを取りに行くときに左手と右足を軸として身体の左右のバランスを取りながらムーブを起こす、ということです。

しかしこのような安定した動きが可能な場面にも関わらず、左手と左足を軸にしてしまい所謂逆足のまま(しかもフラッギングでのカウンターバランスも取らないで)不安定に次のホールドに右手を出してしまうという動きが常態化している人がいます。

<参考ブログ>

もちろん難しいグレードになればなるほど、
・逆足(同じ側の手足)でカウンターバランスを取らせる「フラッギング」
・バランスが取れないようなデッドポイント連続の課題
・コーディネーション系
などなどダイアゴナルでカウンターバランスを取ることができない課題にはたくさん出会います。
それに自分の限界グレードでは保持やフィジカルが追い付かなくて、きちんとカウンターバランスの姿勢に持ち込むことができないことは僕もよくあります。
しかし3級くらいまでの課題なら多くの場面でダイアゴナルでカウンターバランスは取れるはずなので、安定した気持ち良いポジションを探りながら次の手を出すということは常に心掛けた方が良いです。

以前も書きましたが、僕は初心者の頃は意識して易しい課題を「側対ダイアゴナル」「正対ダイアゴナル」の2通りでそれぞれカウンターバランスを取りながら登っていく、というトレーニングを積み重ねていました。
そうすることで何も考えなくとも身体が自然と気持ち良いポジションを覚えるようになるはずです。

 
  

スメアリングを効かせる

次はカウンターバランスを取る過程でも登場するのですが、スメアリングを効かせるということ。
特に距離を出すべき場面でフットホールドが1つしかないときに、ホールドに乗っていない側の足が空中で遊んでしまっている人が多いです。
このような時は何もない壁をスメアリングで蹴ることで推進力を生み出しかつ身体の軸をキープし続けるのがセオリーなのですが、これができずに距離が出せていない初中級者は非常によく見られます。
(こちらも例外はあります。
ホールド配置的にスメアが有効でないこともありますし、あえて足を空中で振ることで反動を付けたりすることもあります)

例を挙げると、右足のフットホールド1つで距離を出すときに左足はホールドは無いけれど壁を蹴り続けゴールを右手で保持する瞬間までグッとスメアを押し込み続けるべき、ということです。

一方で、左足が空中で遊んでいると推進力が生み出せず身体がバラバラになってしまい右足に上手く乗れず距離も出しづらいです。

 
 

適切にホールディングする

最後はクライマーによって多種多様なので言及することがなかなか難しいのですが、「適切にホールディングする」ということ。
ホールディングは何が正しいのか、正解は難しいです。
・クリンプをする人 vs しない人
・3本指 vs 4本指
などなど未だに対立するテーマは多くあります。

とは言え、いくつかのベーシックなセオリーはあります。
その中でも今回特に気になったのは、
・ホールドに対して自然な持ち方ができていない
・親指が遊んでいる
・指が揃っていない
でしょうか。
余裕がないので上手く持てないという場面は僕にもありますが、そもそも適切でないホールディングが身についてしまっているクライマーも多い気がします。

 

例えばピンチホールドにも関わらず、スローパー持ちしてしまったりカチ持ちしてしまったりしている人が多くいます。
そのような持ち方の方が逆に力を込められるという場面はありますが、原則としてはホールドに沿った自然な持ち方を心掛けるべきだと僕は考えます。
その理由は、
・セッターが自然に持たせる意図で配置している可能性が高い(故に持ち易い)
・自己流の持ち方ばかり続けると偏ったクセが付く
などでしょうか。

中でも親指が遊んでしまっているクライマーは本当に多いですね。
親指は相当な力を発揮する指です。
ピンチ持ちのときに回すことは当然として、カチっぽいホールドでもホールドや人差し指に添えて原則として補助した方が力の入るホールディングが可能です。
ポケットなど2,3本指でのオープン持ちではホールドや人差し指に添えない方が良いこともありますが、それでも親指自体をギュッと折りたたむなどしている人が多いです。
単にふらふらと遊ばせている場面は少ないと思って良いはずです。

親指以外の4本もただホールドにバラバラと乗せているだけの人もいますが、ホールドが極端にガチャガチャした形状でない限りこの4本もちちんと揃えた方が力が入ります。
指同士にも横方向に力を加えるくらいのつもりでピタッと揃えることもありますね。 

 
  

終わりに&関連記事

以上です。
知っている人にとっては当たり前の3事項でしたが、今一度意識すると登りが変わる方もいるかもしれません。
僕自身も未だに登れない課題に出会ったときに、このような基礎中の基礎への立ち返りで突破できることもあるので。

最後に関連記事をいくつか貼っておきます。
ではでは。

<初心者に戻ったら何をするか>

<5級ってなんだ>

<3本指と4本指>