進歩を実感した名張トレーニング 2019年10月

進歩を実感した名張トレーニング 2019年10月

ヨセミテまであと半月。
今何を一番にやるべきかを考え、名張でジャミングの感覚を一段磨き上げるのが良いだろうという結論になりました。
結果としては2人とも成果があり、自分たちの成長を実感することができたプチツアーとなりました。
その10月1日~4日の4日間の名張トレーニングの記録を少し書いておきます。

<名張ツアー 初回>

<名張ツアー 2019年GW>

 
 


新しく登れたルートについて

10月の名張は予想以上に暑く、1本登るだけで全身が汗びっしょりになります。
さらに1日目と3日目には結構な雨に降られましたが、それでも晴れ間を狙っていくつか新しくルートを登ることができました。
簡単に登ったルートを紹介します。

ゴジラパワー RP

休憩をはさみつつ夜通し運転して、名張の屏風岩に着いたのは昼頃。
1日目は「マシュマロマン」(5.10a)と「パンドラ」(5.11a)をアップで再登して名張のクラックの感覚を思い出したのちに「ゴジラパワー」(5.11b)を触りました。

<ゴジラパワー 上部が威圧的なワイドクラック>

以前登った「モスラパワー」(5.11c)とは下部が共通なので、自分にとって新しいところは上部のワイドクラックのみですがここがゴジラのハイライト。
ワイド登りに慣れている人は、”ワイドのグレード自体は5.10bくらい”と言いますがそれでも十分に難しいグレードです。

下部は以前よりもスムーズに切り抜けることができて、いよいよワイド部分。
しかしここで急にゲリラ豪雨的に雨脚が強まり、さらに雷も鳴り出してしまいます。
そして一番苦手な4~5番サイズのところに差し掛かり、外側の面も濡れて踏めずにフォール。
まだ僕にはオンサイトで真っ向ワイド登りだけで切り抜ける力が無かったです。

悔しさを胸に翌日の朝一番で取り付いて、今度はリーヴィテーション(両手を合わせてジャミングすること)と膝スタックで勝負。
要所要所で昨日は探せなかったクラックのカンテ付近のフットホールドも拾いつつなんとか完登!
また少しだけワイド技術を成長させてくれた課題となりました。

 

藤娘 RP

2日目ゴジラが終わった後に挑戦したのは「藤娘」(5.11c)。
藤娘の終了点テラスから取り付く「バターナイフ」(5.10c)には前回上から懸垂下降してトライして敗退。
今回は下から登って再度バターナイフに挑戦しようと考え藤娘をチョイスしました。

<藤娘 前半>

しかしこの藤娘が、なかなかのくせ者。
“プロテクションが難しい”、”恐いルート”とは聞いていたので覚悟して臨みましたが、まずテラスを乗っこしたところで何もプロテクションが取れないように見えて焦ります。
辛うじて見つけた岩の隙間にマイクロストッパーの1番(非墜落用)を初めて使用して、不安に包まれたまま登っていきます。
そこからも若干微妙なプロテクションが続き、明らかな核心箇所。
思った以上にホールドが甘く、棚を目の前に勇気をもって手を出せずにフォール。
ここは今回のツアーで唯一心残りのトライでしたね。
なぜ突っ込み切れなかったのか。

最終日に再度トライし、(実は前日の雨でフットホールドが濡れていて出だしで1度スリップし、ほぼグラウンドフォールしかけたトライがあったが)今度はきちんと完登。
綺麗なクラックが少なく凹角をホールドを拾って進んでいく感じが少し名張っぽくないのですがとても面白いルートでした。

 

バターナイフ RP

そしていよいよ前述したバターナイフ。
いやなサイズのワイドクラックです。
前回は2トライしましたが、リーヴィテーションのリの字もわかっていなかった自分はド敗退。
目の前で神こと坂本さんの鮮やかなオンサイトを目の当たりにして、次回こそはと完登を誓った課題です。

<バターナイフ 前回の写真 短いけれど悪さが続く>

今回はゴジラパワーでリーヴィテーションを実践できたため感触も上がっているはずだと言い聞かせて、意を決してトライ。
4番のパートはフィストが決まるのですが、そこから5番になるところがフィストができない&膝も入らないとても悪いサイズ。
苦しかったですが前回坂本さんに教えてもらったように、リービ→足を高く突っ込みふくらはぎスタック→アームバー→リービ、を正確に辛抱強く繰り返します。
そしてなんとか膝が入るパートまでずり上がり、そこからは気合でトップアウト!
このバターナイフの完登はこのツアーで一番自分の技術的な進歩を感じることができた瞬間だったかもしれません。

また以前懸垂で取り付いているため、スタイルとも呼べないくらいの小さな自己満足ですが、今回は下から「藤娘」→「バターナイフ」と落ちないで繋げてレッドポイントできたことも充実しました。

 

文句があるか OS

4日目は「いかさま師」(5.12b)にトップロープを張るために、「文句があるか」(5.10c)にもトライ。

<文句があるか 中央の凹角からハング越え>

フィンガーあり、綺麗なコーナーハンドあり、ルーフ越えあり、ワイドあり、と盛りだくさんの名ルート。
少し土っぽかったため、自分の汗とも混ざってめちゃくちゃ身体が汚れましたが。笑

 
 

「モスラパワー」と「いかさま師」の復習

今回の名張ツアーは新しいルートを登ることも目的でしたが、「自分のジャミング技術は以前より向上しているのか」ということを確認したい思いもありました。
ですので前回完登している「モスラパワー」と「いかさま師」をトップロープではありますが再登、できれば何度か登ってどう感じるかを知りたかったのです。

<モスラパワー 上部のシンハンドが核心>

<いかさま師 美しく蛇のように伸びる上部のクラック>

結果としては、2日目の最後にモスラをトップロープでレストなしで3連続トライして、最初の2回は完登。
最終日の最後にいかさま師をトップロープで2回トライして、最初は落ちましたがレスト後のトライは完登。
トップロープとは言え、この暑さや湿気というコンディションを考慮すると自分としては上出来の結果であり、自身のジャミング技術の進歩を実感できました。

またそれ以上に嬉しかったのは、このツアーでむっちゃんがモスラを完登したこと。
去年の感覚からは、モスラが登れるばヨセミテでもかなりのクラックに通用するはずです。
これでお互いにとって非常に弾みがつきました。

 
 

「パンドラマン」で荷上げの練習

3日目は雨が降る中、「パンドラマン」(5.10d)で荷上げの練習。
(パンドラマンはパンドラの核心後、顕著な水平クラックでマシュマロマンに繋げるルート。参照:ヨセミテへの道「パンドラという名の禁断の箱」)
少しトラバースっぽい荷上げがしたかったのでこのルートを選びました。

<パンドラマン>

前回の瑞牆の荷上げ練習ではとりあえず岩を詰め込んで重さがわからなかったので、今回はポリタンクに川の水を汲むなどしてホールバックを想定の50kgに合わせました。
<パッと見怪しいポリタンク>

結果として前回の荷上げの時よりも少し軽かったので一安心。
前回はたぶん60kgオーバーでやっていただろう、、、

<前回荷上げブログ>

やるたびに課題の見つかる荷上げでしたが今回もたくさんの学びがありました。
とにかく実践しておいてよかった。
きちんと修正すべき点を改善すれば、なんとかできるのではないかというほのかな実感が見えてきて一安心。

さぁこれで準備は万端。
できることはやった。
あとは残り少ない10月前半の瑞牆をとにかく楽しもう。