Now Climbing ! ヨセミテツアー2019 Day19〜25

Now Climbing ! ヨセミテツアー2019 Day19〜25

さて、準備は整った。
Time is Now !

 
 

<Day1~6>

<Day7~12>

<Day13~18>


Day19 (11/5)

この日は僕はレスト。
むっちゃんがお昼くらいからTips(5.11d)をやりにいくも、太陽がガンガンに照っていて激暑だった。
11月に入っても、This and That Cliffは朝早い時間じゃないと厳しいな。

 
 

Day20 (11/6)

明日はFreeblast(フリーブラスト)に行く予定だけれど、どうしてももう一度勝負したかったのでおそらくこのツアー最後のHeaven(ヘヴン 5.12d)。
先日の教訓を生かし、取り付くのは午後からの方が涼しいのでゆっくりと準備してからグレイシャーポイントへ。

この間よりも気温は高めだが、14時近くに1便目を出す。
いつも苦しめられている左手逆手フィンガーからの右手フィンガーは、傾斜のフィンガージャムに慣れてきたのか落ちない。
そしてそこから足を踏みかえて再度右手の飛ばしのボルダームーブ!
ホールドを捉えた、、、と思いきや耐えきれずにフォール。
このトライで左手の人差し指がやられて肉がえぐれてしまった。
にじむ血をテーピングで押さえつけてもう2度トライしたが同じところが突破できず。
結局登れずに終わってしまった。

ムーブがもっと早く組み立てられているか、もう少しだけ日程に余裕があればと思ったがそのあたりの戦略も実力の内。
それにもっとフィンガージャムの能力や、多少精度が悪くても突破できるボルダー力があれば登れたはずなんだ。

来年の良い宿題になったと前向きにとらえ、ビッグウォールに切り替えよう。

 
 

Day21 (11/7)

ツアー後半戦の目標はEl Capitan(エルキャピタン)のFreerider(フリーライダー 30ピッチ 5.12d or 13a)をエイド交じりでも良いから上まで抜けるということ。
ただもちろん最終的な目標はフリーで全て登ることなので、それを念頭に置いて取り組む。

※補足
・エイド:ロープにぶら下がって登る、ギアを掴む、など人工登攀を交えること
・フリー:墜落を防ぐためにロープは結ぶが、それらに体重はかけずに自らの手足だけで登ること

<参考記事>

この日は去年もチャレンジしたフリーライダーの下部9ピッチだけを登るFreeblast(フリーブラスト 5.11b/c)へ。
できればこのフリーブラストは全ピッチレッドポイントして、その後上に挑戦したいところ。

<去年のブログ>

朝の5時頃に取り付きへ行くが、噂通りエルキャプのSalathe(サラテ)のラインは例年以上に人が多く既に先行パーティーがいた。
少し遅れて6時前にスタート。
多少時間がかかったり、記憶違いで区切るピッチを間違えたりしながらもなんとか落ちずに核心のスラブである4ピッチ目(5.11b/c)に到着した。
去年に続きむっちゃんがリードを担当。
時間は9時を回り太陽がかなり当たっていて相当厳しそうだったがなんとか最終のボルトまで高度を上げていく。
そこで何度も足を踏み込もうとするがあと1歩が出せない。
結局にっちもさっちも行かなくなりむっちゃんはこのピッチを残念ながら敗退。
僕もフォローだったがここのムーブは解決できなかった。
あのアレックス・オノルドも苦戦したスラブ、やはり一筋縄ではいかない。

そして太陽はみるみる内にカンカン照りに、、、。
去年は曇っている日だったので気にならなかったが、エルキャプは太陽が如何に当たらない時間帯に攻めるかが相当重要そうだ。
更に僕は続く5ピッチ目の(5.11a)のスラブも2度トライしたがレッドポイントできず。
これは落ち込んだ、、、。
スラブはこの1年間で経験を積んだと感じていたのだが。

<5ピッチ目のスラブ>

あとはグレード的には難しいピッチは無いのだが、7ピッチ目のHalf Dollarのワイド(5.10b)は去年入り口で滑りロングフォールして怪我を負っている因縁ピッチだったので気合を入れた。
結果登り切れたのだが相当に悪く感じた。
傾斜はないけれど、個人的にはハーディングスロット(5.11b)に近しいというか少なくともグレード1,2個の差くらいの悪さだと思うのだが5.10bとは、、、。
しかしとにかく登ってリベンジできて満足。

去年は時間が無くて飛ばしてしまった、最後の9ピッチ目(5.10d)のダウンクライムも問題なくオンサイト。
スラブの2ピッチがレッドポイントできずモヤモヤが残るが仕方ない、前に進もう。

 
 

Day22 (11/8)

岩を捨てよ、町へ出よう。
ということで去年ヨセミテバレーから全く出ずに心身が摩耗してしまった教訓を活かし、フレズノまで降りて2,3日レストをすることに。
ツアーの半分が過ぎていよいよこれから大仕事なので丁度良いタイミング。
色々な人に薦められるOakhurst Grill(オークハーストグリル)でハンバーガー食べて、カフェでだらだらしつつフリーライダーの予定を立てて、airbnbでテント泊からの解放を味わったり、リフレッシュした。

<妻のバーガーの方が巨大なのは錯覚ではないです>

 

Day23 (11/9)

フレズノで買い出し。
REIやウォルマートで必要なものを揃えた。
当初はこの日にパッキングをして翌日にホールバッグをハートレッジまで荷上げしようかと思っていたが、まだ身体の疲れが取れ切っていなかったのと、ゆっくり半日以上かけてパッキングをした方が賢明と考え夜にキャンプ4に戻って寝るだけとした。

 
 

Day24 (11/10)

午前くらいからフリーライダーの4.5日分くらいの荷物を準備。
小分けにしたり、食事を用意したり、ギアを確認したり、壁から落とさないように物にコードを付けたり、なんだかんだとっても時間がかかったので昨夜焦ってやらないで良かった。

<アワニーホテル手前の暖かい広場で荷造り>

結局ホールバッグの重さは50kgくらいと想定の範囲内、というか少し軽め。
少し時間があったので夕方からハートレッジまでのパブリックフィックスを2ピッチだけ荷上げして雰囲気を掴んでおいた。
疲れたけれど順調に進み、なんだか行けそうな気がしてきたぞ!
(フリーブラストの終了後であるハートレッジまではフィックスロープが5ピッチ分くらい常設されている)

 
 

Day25 (11/11)

本格的な荷上げの日。
ハートレッジまで上げて、さらに自分たちのロープを使ってもう1ピッチ分だけ荷上げをする予定。
ハートレッジまではスラブだけれどストレートで凹凸も少ない壁なので順調に荷上げが進む。
色々と2人でシステムの改善点なども相談できて良い感じ。
ただ日中はとにかく暑くて喉が渇くので朝と夕方に作業を集中させた方が良さそうだ。

そしてこの日の一大仕事は、ハートレッジの次である10ピッチ目(5.11c)のスラブチックなピッチを登ること。
このピッチも皆が口々にグレード以上に要注意だと言っている。
涼しくなるのを待とうかと思ったがその後に荷上げも待っているのでまずはお昼頃に1便トライ。
核心までは問題がないのだけれど、ボルトにクリップした後の1,2歩が意味不明でフォール。
手も足も細かすぎる。
ここは深追いせずにまずは上に抜けて荷上げを終わらせる。

その後一旦ハートレッジに戻って2トライ目。
今考えるとここで日暮れを待つべきだったのだが、2トライ目も全く同じ箇所で落ちた上にムーブが作り切れず、さらにムキになった3トライ目もフォール。

“今回はフリーライダーを上まで抜けることが目標だから、このピッチをフリーで登ることは諦めるか、、、”
とまたもや弱い自分が出そうになったが、ここを登っておくかどうかでこの後の心持ちが絶対に変わってくると思ったので気合を入れなおして登り切ろうと決意。

・フリクションを得るために日が沈むのを待つ
・フィジカル全開でも良いから確率に頼らない方法を探る
という方針。
で結局ボルダリーなムーブを見出し、17時近い時間になんとか決めきることができた。
4トライもかけてしまったが、フリーブラストのスラブピッチの雪辱を少しだけ晴らすことができて良かった。

<10ピッチ目>



一旦地上に降りて、1日レストを挟みいよいよGo up !!


未来の自分のために登る

どんな時だって常に「今」のために生きるべきだし、「今」その課題を登っている自分を大切にした方が良い。
ただ最近結構頭によぎるのが、「未来の自分のために登ろう」という考え。
今ここで頑張ってこの課題を登っておかないと未来の自分に負担を課すことになるし、登れなかったことによって未来の自分から違う課題にトライできたであろう時間を奪ったことになる、という自分に対する心理作戦。

その意味ではHeavenを決めきれなかったことで来年以降の自分にまたHeavenをトライさせに行くことになってしまったし、フリーライダーの10ピッチ目(5.11c)のムーブを解明し登れたことは逆に来年以降の自分にとって重荷が1つ減ったことになる。

インドアのボルダージムでも、強い人はどこかこのように考えて宿題をその日の内に回収しきっているという印象もある。

 
 

ボルダー、スポートへの回帰

この1年間でマルチピッチのシステムや基本的なジャミングテクニックなどは最低限身に着いたと感じる。
(もちろんビッグウォール的なタクティクスは相当改善点が多いだろうし、傾斜のフィンガークラックへの対応力ももう少し上げたい、など個別的には知識・経験やテクニックを強化すべき点はある)

その上で改めて感じることは、やはり自分の根底にあってさらに強化しないといけないのはボルダー力、もしくは高難易度のスポートルートを登るような力なんだということ。
マルチだろうが、クラックだろうが、土壇場で効いてくるのは根本となる力強さなんだ。
結局のところまだ自分はそこをもう1周り強くしないといけない気がしている。
去年も同じことを書いていたかもしれないが。

コンペに出ていた時かそれ以上真面目にボルダーに取り組む必要があるかもしれない。
1つの難しいボルダー課題、1つの難しいムーブ、とにかく自分が出せる底力的なものをギア1段階上げるようなことを目指す。

 
 

キャンプ4のセルフレジストレーション

今年はサマータイムが切り替わる(今年は11/4)と同時にキャンプ4のキオスクは無人となり、テントサイトの確保はセルフレジストレーションとなった。

その場合の手順は簡易的には以下、
1. 空いているベアストレージを見つけて自分で確保する
2. 同時にテントサイトも確保する
3. キオスクに行って申請用紙を書き、お金を箱に払い(1人1泊6ドル)、タグをテントと車に付ける

去年は10月の頭からこのシステムだったので今後どうなるかは不明。

 
 

<Day26~32>