2020年秋に登ったボルダー Rampageランペイジ、カンダカラ、などなど
前回記事の続き。
ボルダーに集中していた頃から少し時間が経ち、自分自身は現在スポートリードモード。
登った直後の熱量がある内にブログを書いてしまうべきでしたかね。
なんだか既に懐かしい気分ですが、今シーズン登った課題などを振り返ります。
これまでは、”登れるだろう”という課題ばかり触ってきた
思い返せばここ数年でボルダーは
“たぶんある程度打ち込めば登れるだろうな”
という課題ばかり触ってきた気がします。
そのグレード帯は僕にとっては二段以下であり、1級~二段の完登数は積み重ねてきましたが三段や四段にはトライ自体そもそもあまりしてきませんでした。
これは限界を押し上げるためには好ましくなく、このブログやロクスノの連載でも度々書いているように、心地よい負荷(コンフォートゾーン)を抜け出して「限界的練習」に取り組まなければならないのです。
春に「インドラ」を登り二段というグレードが自分の中で一区切りというかある程度わかってきたこともあり、満を持して今シーズンは積極的に三段や四段を触ると心に決めたのでした。
<限界的練習に関してはこの本がオススメです>
“納得のいく三段”、とはなんぞや
目標として、
・ボルダーでグレードにこだわった成果を出す
-納得のいく三段
-とにかく四段
を掲げたのですが、グレードにこだわった成果ならば四段を狙えば良いわけです。
ですが、やはり最大の目的意識は自分のクライミングの「器」を大きくするなので地力も高めたいのです。
また、僕の最高グレードは三段ではありますが、これまで登った本数は(海外の課題などV10を入れても)片手で数えるほど。
更にそのどれもが、正直なところ”登れるだろう”と感じて取り付いた課題でした。
なので自分自身を納得させるためにも四段を目指すと同時に、今の力からレベルアップしないと登れないような強度の三段、もしくは自分のウィークポイントが詰まっているような三段を登っておきたかったのです。
それは例えば(あくまで僕にとっては)、傾斜壁で強度を求められる瑞牆の「百鬼夜行」、ルーフで手数を求められる塩原の「カランバ」(四段-だが)、簡単に登ってしまう人も多いけどランジという自分の最大の苦手ムーブである「小川山ジャンプ」、などが思い当たりました。
まだまだ遠かったデルビヨ
そんな折に仕事で「九州カップ」の解説に10月下旬~11月中旬にかけて3度も呼んでいただくというありがたい機会に恵まれました。
これは比叡や日之影で登らないわけにはいかない。
ならば、圧倒的にカッコ良く憧れの課題の一つでもあり、更に自分の苦手が詰まった三段である比叡の「デルビヨ」(三段+)を登るしかないんじゃないか。
そう考え、”納得のいく三段”としてデルビヨを目標に添えたのでした。
これまでデルビヨにトライしたことはありませんでしたが、実際に登っているクライマーを何度も観たことがあり、最後のリップへの飛び出しが明らかに核心かつ苦手系。
この1手のために、指トレやキャンパシングなどの基礎的なトレーニングも取り入れ、かつインドアのボルダーを登り込み調子を上げて九州遠征に臨みました。
(このあたりのトレーニング話もブログに書くかもしれません)
しかし結果は延べ5日ほどトライしても、バラしですら最後のリップへの一手は解決できず、、、。
傾斜での距離出しというシンプルな強さや、投げ出した身体のコントロール力が自分にはまだまだ足りなかったです。
“いつか登る”みたいな安易なセリフは軽々しく口にはしたくないのですが、もう一度フィジカルを作って挑戦したいですね。
<デルビヨの核心の一手>
カンダカラ
デルビヨトライの最後2日くらいは正直心が折れかけ、僕の悪い癖なのですが”今シーズンに決め切ることは難しい、、、”と悟ってしまいました。
そして隣にある「カンダカラ」(三段)も同時並行的にトライを開始してみることに。
カンダカラも同様に比叡を代表する課題であり、内容、トータルの強度、岩の形状やライン取りのカッコ良さ、どれも申し分ないです。
そして、その内容がヒールフックやトウフックを多用するものであり、かつコンプレッションな持久系と、僕の得意なものと上手くフィットしたこともあり何とか完登できました。
苦手克服とはなりませんでしたが、それでもカンダカラを登り自分のレベルアップはある程度実感。
“納得のいく三段”を登るという意味では半分達成、半分悔しさが残る結果ですね。
もちろんカンダカラそれ自体はものすごく素晴らしく、登れたことはとっても嬉しいです。
(このツアー、STUMPさんでクラッシュパッドを貸していただき本当に助かりました!)
<カンダカラ 動画>
Rampage ランペイジ
ここまででめっちゃ長くなってしまったので、本題だけれど「Rampage (ランペイジ)」(四段)は簡単めに。
四段を何か登りたいと考えた時に、もちろん「器」を大きくするという意味では真っ向勝負保持系を狙いたかったですが、やはり自分にとって初めてのグレード帯であることを考えると通える圏内かつ得意な課題を選びたい気持ちがありました。
ランペイジは春に触った時にリップを止めるところまではいっていたので、そこからはリップをマッチをしてマントル&スラブのパートを残すのみでした。
そして、あのユニークなマントルはどこかヨセミテのMidnight lightning(ミッドナイトライトニング)を思わせ、”得意系のマントルだしいけるだろう”と睨みこの秋に登ろうと決意したのでした。
しかし、僕のマントル技術が下手だったのか単にこのマントルがやはり難しく核心だったのか、マントル体勢に入ってから6日くらい落とされ続けました、、、。
だんだんとマントルで落ちる動作が「失敗の記憶」となり自分に染み着いてしまい、落ちるところまでがルーティーンみたいな悪い流れに。
ですが、とにかくやり続ければ登れる日は来ると強く思い、日数はかかりましたがなんとか完登。
その日のほぼラストトライで登るという僕にはあまり無いパターンで、メンタル面でも成長できた気がします。
リップマッチまでは強度はありますが、そこからはかなりコツ系なので果たして自分の底力がどの程度成長したかはわかりませんが、歴史がありここしかないというラインに引かれたこの素晴らしい課題を登ることができて大満足しています。
<Rampage ランペイジ 動画>
その他登ったボルダーなど
その他に登ったボルダーで印象深いものを挙げます。
あらためて素晴らしい課題だと感じたのは小川山の「石の魂」(初段)と比叡の「星やどり☆」(初段)。
岩のカッコ良さ、ムーブ構成、どちらもワールドクラス。
過去の自分からの成長を感じたのは、昔に敗退した日之影の「プレグナン」(初/二段)と「ドラグレスク」(二段)、比叡の「ツノ」(初段)。
クラックボルダーとして高さもあり登りごたえがあったのは、比叡の「大谷クラック」(1級)と「晴れ乞い」(1級)。
こんな感じです。
さて今シーズンといってももうすぐ冬ですが、まだやり残した目標があります。
もう少し頑張りましょうかね。
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