クライマーとしての品格は後から付いてくる

クライマーとしての品格は後から付いてくる

にわか笑うな来た道だ

クライミング業界に関わっていると、ジムや岩場で色々なクライマーに出会い彼ら彼女らの登り方を目にしたり、SNSでも多様なクライマーの考えや意見に触れる機会がある。

すると当然そこには対立構造も生まれる。
特に「クライミングをまだ始めたばかりの初中級者」vs「クライミング経験が長く深く、スタイルや思想が発達しているベテラン」の間で意見が食い違うことはよくある。
僕は自分としてはまだまだヒヨッ子クライマーだと思っている反面、それでも場合によっては相対的にベテランに区分されることもあるだろう。

適当に例を挙げると、例えば「単にグレードを追うような行為や発言」。

“初段クライマーになりたいので、登れそうな課題教えてください”
といわゆるお買い得を課題を探し求めていたり
“今日は岩で初段3本登りました!”
と言ってルートそのものでなく単にグレードという数字しか見なかったり、そういう発言は誰もが自分でしたり、あるいは誰かのものを目にしたことはあるだろう。

僕個人としてはグレードを追い求める時期というのは必要だと思うし、今でも自分だってグレード更新したら嬉しい。
でも確かに上記のように明らかにお買い得課題を求めて岩に行く人などを見ると内心、
“うーん、それで良いのか、、、”
と疑問を持っているの事実。

そんな気持ちもあったりして前に「スタイルを知るべき」的な記事も書いた。

<クライミングのスタイルは強要すべきではないが、知っておくべき>

 

歳のせいか、そんなことを思うようになってしまった僕なのだが、最近自分の過去ブログをリライト(というか体裁整えたりリンク切れ直したり)してるのだけど、昔の記事を読んで愕然とした。
薄っぺらいことこの上ない。
その多くが上に挙げたような“にわかクライマー”全開なのだ。

例えばこの7,8年前の「船長退治の成功、そして初段クライマーの誕生~エイハブ船長徹底解析~」という記事。

<にわか記事>

いや、まず課題を登ったことに対して「退治」って、、、。
しかも初の初段として「神の瞳」登ったのだが、それをタイトルで「初段クライマーの誕生」って、、、。
しかも神の瞳、明らかにお買い得だと感じてトライしたっしょ自分、、、。
極め付けは「エイハブ船長徹底解析」というなんも解析していないで、自分の登りを見せたいだけの連続写真、、、。
これはスタイルもクソもない。
まずクライマーとしての品格がない。

と、過去の自分をこき下ろすのはここまでとして、まぁつまりみんな初めのうちはこんなものなのだ。
「スタイルを知るべき」とか書いたけれど、たぶんそれすら要らない。
というか初心者がスタイルなんて知りようがない

誰しも最初はどこかのジムとかでベテランの知り合いもいないままクライミングを始める。
そして単に楽しくて登り続ける。
この段階ではスタイルとか品格とか付きようがない。

でクライミングを続けていれば活動範囲が広がってだんだん色んなクライマーに出会ったり、本とかwebで情報を収集したり歴史を知ったりする。
すると自分の中でのクライミングが醸成されて、カッコよさの基準とか、より良いスタイルが身についたりする。

そうするうちに、自ずと品格のあるクライマーになる。

だから別に初めの内は難しいことを考えないで、ただ登って楽しめばきっと良い
(岩場の存続に関わるマナー違反とか、チッピングとか、不可逆的なことは気を付けるとして)

<クライマーとしての品格は登った先にある>

なんかこう書くと僕が品格を身に着けているクライマーみたいに見えるけれど、そんなことは決してない。
まずこんなブログ書いて自分の考えとか成果を知ってもらいたがっているし、動画とかアップしているのに対してもきっと思うところがあるクライマーはいるだろうし、”〇〇という課題、何日何トライでした”みたいに書くのも嫌な人はいるかもしれない。
でも、記事も動画もトライ数記録も僕はどこかの誰かのクライマーにとって有益になると思っているからやっている。
けれど未来の自分が見たら下品な行為だと驚愕するかもしれない。

まぁつまり何が言いたいのかというと、ベテランクライマーはなにか初中級者の一見品格がない行動を見ても、冒頭で引用したネットミームのように、自分も”いつか来た道だ”と温かい目で見ていれば良いということだ。
きっと皆クライミングを続ければ品格がついてくる。
そういう初心者に口うるさく言うよりも、ベテランは背中で自分の品格を語る方がたぶんよっぼど良い。

一方で、初中級者クライマーもなにかベテラン的な人に言われることがあっても、上の引用の言葉の続きである、

古参嫌うな行く道だ

を思い出して、”ふーん、クライミングってそういうもんなんだ”と心の片隅に留めておけばOKだろう。
誰しも長くクライミングを続ければ考えが色々変わるはずなのだ。

となんだかまとまったのかよくわからないけれど、こんなところで終わります。