雨にやられつつ、瑞牆で登った 21年6~8月

雨にやられつつ、瑞牆で登った 21年6~8月

(サムネイルは鈴木岳美くんに撮ってもらったワイルドアットホーム)

ブログを2ヶ月半更新をしていなくて書き方を忘れかけていますが、色々書きたい気持ちはやまやまです。
ひとまずこの6月から8月までの自分の岩登りを記しておきます。
行ったのは全て瑞牆。
と言っても、最近は雨ばかりで全然岩に行けなかったのでそれほど書くことが無いのですが、、、。

ただ数年前を思い返すと雨予報でも岩に突っ込んでいたりしたので、貪欲さが減ったのかなという気持ちも。
(まぁそうやって突っ込んでも8割方結局雨で帰ってくるんだけど)

 


地獄エリア:カヌーなど

記憶が薄れかけているが、雨が多くなるギリギリ前くらいの6月に地獄エリアへ行った。
これまで地獄エリアは見学や探索で行ったことはあるものの、登るのは初めて。

まずアップかつワイドっぽいのをやりたかったので、「N字ハング」(5.10d)。
出だしはあまりに自然なところに木が生えているので使ってしまったが、これを使わないとかなり難易度が上がりそう。
一見核心のハングっぽいところは結構持てるホールドがあったので、クラック登りにはあまりならずグレードの割には登りやすめ。

続いて「カヌー」(5.11b)。
瑞牆を代表するクラックであり、トポに載っている21本の四つ☆ルートの1つ。

<中間部にあるダブルクラックがカヌーに見える>

内容は、フィンガー、ハンド、ダブルクラック、最後にダメ押しのワイドと、盛沢山で登りごたえあり!
個人的には出だしのフィンガーが一番怖かったが、人によっては最後のワイドで落ちるとも思う。
なんとかオンサイト。
超オススメの1本。

最後にリアス式エリアに上がり「カーテンコール」(5.12a)をやるがド敗退した。
傾斜のあるワイドクラックで核心のムーブが解決できなかった。
濡れていたからという言い訳にしよう。笑
でもこれがワイドの5.12aなのだとグレード感を理解。

 

地獄エリアでボルダー:杉野カンテ、開拓

地獄エリアでいくつかボルダーを見つけたので何度か通った。
アプローチが遠いのでまずは所謂「大スラブ」でアップがてら登った。
大スラブとは「マーベリック」と「KUMITE」の分岐にある大きなスラブで、左から3級、4級、3級、7級、5級が付いているようだ。
一番右は登っていないけれど、その他4本は全てThe スラブという感じで面白かった。

地獄ではこのエリアでボルダーで登られた記録がある「杉野カンテ」(5.12a)をとりあえず登ってみることに。
これは登喜男さんも登っているし宮下くんはノーマットグラウンドアップで登っているのだが、さすがに僕は怖いのでマットを使わせてもらった。
でも自分なりに再登者達に敬意を込めてロープでぶら下がるのはやめ、グラウンドアップでチャレンジ。

ムーブ的な核心は下部~中間部に集約されているだろう。
ただトポには8mと記載されており上部は怖いは怖い。
カンテの右への出方がわかれば体感で1級くらいに感じた。

<杉野カンテ>


その後2,3回通い、自分でいくつかボルダーを掃除して登った。
難しいのはできなくて登れたのは2本だけ。
杉野カンテのすぐ1段上の壁側にある岩で高さもあり傾斜も少しあるボルダーと、その右上にあるスラブ。
初登かはわからないがそれぞれ「天国キャッチ」(初段)、「抹茶スラブ」(2Q)、と名付けておいた。
自分で見つけて、掃除して、そして登る。
ただこれだけのプロセスなのに岩登りは楽しい。

<天国キャッチ&抹茶スラブ>

 

小ヤスリ:蒼天攀路~花唄小径

8月初旬に小ヤスリで撮影するお仕事があり、蒼天攀路1&2P目(5.10b、5.10a)→花唄小径(5.8)を登った。
蒼天攀路は2度目だけれど、1P目は以前同様に登りづらい印象を受けた。
特にリーチが無いと苦戦するかも。
2P目は非常にユニークな形状のチムニーで登る価値あり。
ハンドやフィストも交えて楽しいピッチ。

花唄小径は初めて登ったけれど、ワイド登りとレイバックを交えて1つ岩頭を登るところまででそこそこ難しく5.8だとかなり厳しく5.10aくらいのつもりで取り付いた方が良い。
そして最後にダメ押しでランナウトした状態での簡単なスラブ。
落ちないとわかっていても恐ろしい。
しかし小ヤスリの頂上に手軽に行けるし、ワイルドながら面白い内容。

この日はゆっくりだけれど久々にマルチが登れて満足した。

<小ヤスリの頂上にて>

 

カンマンボロン:ワイルドアットホーム

8月下旬になりようやく天気が安定してきたので、実はまだやっていなかったカンマンボロンの「ワイルドアットホーム」(5.11b,7P)。
セット2日間の翌日だったので、少し遅めの時間からのんびりと開始。

マルチピッチの継続トレーニングなどでよく1本目に登られることが多いが、初見トライだと結構難しいと感じた。
異常な暑さ&僕が花崗岩のスラブが久々で苦戦しただけかもしれないが、担当した奇数ピッチ(5.11b,11a,11b)はいずれも歯ごたえがあり「うおー瑞牆の11台だ!」という印象。
特に5P目のスラブがボロボロしているし抜け方がよくわからなくて落ちかけたが、リングボルトでフォールするのも怖かったので意地でなんとか登り切った。
正直メンタル面も含めると「太陽の登」(5.12c)と数字ほどの難易度差はないのではと感じてしまった、、、。

むっちゃんが担当した偶数ピッチ(5.10a,10d)もジャミングとか凹角を組み合わせて楽しい内容。
全体的にリングボルトが多かったり、野生に帰っている部分もあるが、それでも瑞牆を感じることのできるルートだと思った。
暗くなりかけていたので、最後の簡単な2Pは登らずに太陽のテラスまでとした。

<5P目はカンテを回るところも難し&怖かった。写真:鈴木岳美くん

 

摩天:陽炎、小春日和、かぜひきルート

身体は疲れていたが、疲れた状態でもワイドを登り切る練習がしたかったので頑張って摩天へ。
以前弁天へ行ったことはあるが実は摩天は初めて。
アプローチに2時間くらいかかり着いてみると、なんと目当ての1つである「かぜひきルート(1P目)」(5.10a)は5人待ち!
瑞牆の奥地がこんなににぎわっているなんて。
空前のワイドブーム、、、!

というわけで違うルートを登ろうと、まずは「電光クラック」(5.9)。
のつもりが岩の前で準備をしながらルートを眺めると、どう見てもワイドじゃない。
何かおかしいと思いトポを見直すと自分が登ろうとしているのは「レインボークラック」(5.8)だった。
よくあるポカミス。
もうワイドじゃなくて良いやと、レインボークラックを登る。
結構怖かったし、5.8よりは絶対に難しい。
でも5.8をトライした後毎回のように「これは5.8より難しい」と言っているので、僕の中の5.8の基準をずらす必要があるのかもしれない。

続いて、「陽炎」の1P目(5.10c)。
むっちゃんが以前オンサイトしたらしいので絶対に落ちられないところ。
形状から左差しだと判断し進んでいくも、、、途中でどうやっても上へ進めなくなってしまう。
相当な時間粘ったがにっちもさっちも行かないので、むっちゃんに「これもしかして右差した?」と聞くと、「私は右を差した」との回答が。
マジか。
粘り過ぎて限界が近かったが落ちそうになりながら何とか差し手を変えることに成功し、後は慎重に登り切った。
最後のフィストクラックも美しい。
差し手の情報と、上部のフィストクラックのカム情報を聞いたのでオンサイトかは怪しいが、粘った末に1回で登れて充実感。

<陽炎>

続いては悪名高い「小春日和」(5.10b)。
パッと見ると小川山の「完全なる酒乱」(5.10c)のような感じで、結構身体が入りそうなチムニー系の印象。
登ってみると出だしから意外と緊張するが、終盤のテラスまではそこまで難しくはなく色々できて進んでいける。
しかし最後のオフィズスがクセモノだった。
ここだけ切り出せば(”ワイドグレード”の)5.10aくらいなのかもしれないけれど、かなり本気の数m。
意地で突破してこちらもオンサイト。
クタクタになれる良いルートです。

<小春日和>

その後は摩天の上部とか不動の拳を見学してかぜひきルートへ。
まだ待っている人はいたが、疲れていたしゆっくり待ってから夕方にトライ。
典型的なオフィズス登りができるワイドで、慣れていればスイスイ登れるし逆にこの類のヒールトウやアームバーができないと文字通り手も足もでないだろう。
僕は(”ワイドグレード”なら)その通り5.10aに感じ、気持ち良くこの日の最後を締めることができた。

<かぜひきルート>


それにしても摩天はワイド天国。
今度はもう少しグレードを上げてトライしたい気持ちもあるが、マルチピッチに出てくるレベルのワイドという意味なら今くらい登れればとりあえず十分なので、秋に向け自分が今やるべきことは他にあるのかもしれない。

9月、あと何回小川山や瑞牆に通えるか。
天気よ持ってくれー。