久々に乾いた瑞牆 不動岩、あおろら徘徊記、スコール

久々に乾いた瑞牆 不動岩、あおろら徘徊記、スコール

ずっと雨続きでしたが、久々に乾いた瑞牆。
8/11,12とクライミングを楽しめました。
厳密に言うと前日の雨で所々濡れてはいましたが、これまでのコンディションと比べると”乾いている”と思い込めた!

今回の目的は
・スラブ、ワイド、をトレーニングする
・5.11台を含むマルチを3ルート継続する

の2つ。

1つ目は、去年ヨセミテツアーを終えての反省として「ヨセミテでのマルチやビッグウォールを登るにはスラブ・ワイド技術の底上げが必要」とブログにも書いていたのに今日までほぼ練習していなかったので、さすがにそろそろ触らないとまずいと危機感を覚えたので。

2つ目はこのあいだ「蒼天攀路→奥壁3本」と計4本のマルチ継続をしたのですが、蒼天攀路3P目(5.12a)と一粒の麦最終ピッチ(5.10c)以外は自分にとっては負荷が低かったので、ルート数は減っても負荷を上げた継続をしたいと思ったからです。

<去年のヨセミテツアー総括>

<蒼天攀路→奥壁3本>

というわけで、
1日目は不動岩中段で「牛乳瓶クラック」(5.10b)、「未来の力」(5.11a)とワイド系ルートを登りました。
2日目はスラブとワイドも含めて5.11台マルチを選んで、正面壁の「あおろら徘徊記」(6P、5.11d)→左岸壁の「スコール」(4P、5.11a)→もう1ルート、を予定していましたが、スコールの2P目を終えた時点でむっちゃんの体調が悪くなってしまったのでここで残念ながら中断。
僕は代わりにこのあと「トワイライト」(5.11c)をトップロープですが3便出して、5.11台をなんとなく継続したことにして自分の中で辻褄を合わせました。笑

継続は失敗しましたが、
・「未来の力」をオンサイト
・とてもユニークな「あおろら徘徊記2P目」(5.11d)をフラッシュ
・奮闘的で長いオフィズスの「スコール2P目」(5.10b)をオンサイト
と会心のクライミングが3回もできて、自分なりには成長を感じられた2日間で大満足。

以下、備忘録も含めて簡単ですが各ルートの内容や感想を記しておきます。

<ヒメヤスリ(あおろらの終了点)の上にて>

 
 

不動岩中段

ワイドトレならやはり不動沢だろうと考え、まずは不動沢で最も美しいと評される4つ星ワイドの「牛乳瓶クラック」をやりに不動岩中段に。
トポにもアプローチが2つあると書いていますが行く途中トライアングル・フェイスなどが濡れているのを確認したので、おそろしいスラブトラバースのある「天国の階段」経由ではなく、不動滝の上から巻くことにしました。
しかしこちらのアプローチは長い&迷った&途中危ないところでロープを2回出したのでかなり時間がかかりました。

<不動滝の増水(?)の影響なのか、沢下りしてびしょびしょ>

結局不動沢駐車場から2時間半くらいかかってしまい、着いたのは14時ころ。
でも不動沢中段についてみるとテラスが気持ち良くて、そして楽しそうなルートが3本。

<不動沢中段>

右から「牛乳瓶クラック」、「未来の力」、隠れていますが「ワイルド・ハート」(5.10a)。
「ワイルド・ハート」は取り付いてないですが、綺麗なハンドっぽいクラックで楽しそうでした。

まずはむっちゃんが念願の「牛乳瓶クラック」。
トラバースパートで悪そうにしていましたが、ランナウトしつつ解決してオンサイト!
続いた僕もむっちゃんのムーブを見ていたのでフラッシュ。
トラバースにグレードが付いていて、上の美しいワイドは長い5.9といった感じで快適系ですね。

そして時間がまだあったので、僕は「未来の力」へ。
駐車場で出会ったカッシーにかなり悪いとおどされていたので内心びびっていました。
核心のルーフまでもプロテクションが取りづらくしかも中が濡れていてちょっと悪め。
ルーフはまず一度様子を見に進んでみると、ジャムが悪くて最中にはプロテクションはおそらくとれないだろうと判断。
なので一度下に戻って、とりあえず限界で手が届くところにカムを決めてあとは突っ込む作戦に。
ルーフを超えるところで”もうダメだ、落ちる”となったのですが思わぬところにホールドもあり、そして自分の身体がとっさに機転を利かせてなんとかオンサイト。
出し切ったと同時に、本当に嬉しいトライでした。
オフィズスというよりはフィスト系ですかね。
「T&T 2P目」(5.10c)や小川山の「サウスポー」(5.11c)に似ている感じで、ジャム強度がより高いルートですね。
ルーフのジャミング系やりたい人には超オススメです。

 
 

あおろら徘徊記→スコール→トワイライト

翌日は3時発でマルチの継続へ。
前日僕が「未来の力」のロープ回収にクッソ手間取ったために、駐車場に帰るのが遅くなり3時間睡眠くらいになってしまったのが、まず反省。
むっちゃんも朝から疲れ気味でアプローチに時間がかかり、1本目に取り付いたのは5:30。

 

あおろら徘徊記 チームRP

「あおろら徘徊記」は瑞牆トポには載っていないのですが、開拓者の中尾さんのブログや『関東周辺の岩場』にルート詳細が載っています。
1年くらい前に正面壁からむっちゃんが壁を見つけて、ずっと登りたいと思っていたマルチ。

<フェイスに走った右上クラックが特徴的>

<関東周辺の岩場>

0P目はちょっと嫌だけれどノーロープでアプローチ。

1P目の5.7のオフィズスは少しだけ悪くて、5.8に感じたかな。

そして中尾さん超オススメの2P目。
出だしがスラブで始まり、途中から右上クラック(というかミゾ?)へ。
まずはむっちゃんがトライして粘るも、スラブからクラックへ入るところが解決できずフォール。
続いて僕がトライ。
むっちゃんが落ちたところで、手も足も急激に悪くなってかなりヤバイ状態になる。
2手くらい何を持っているのか踏んでいるのかわかないままシューズを信じて進み、クラックへ破れかぶれでデッドしたら、、、止まった!
しかしここからも悪かったです。
クラックが閉じていてジャムができないし、全然安定した体勢を取れない。
困り果てたところ中尾さんがブログにこのピッチを「袈裟固め無限ヒザロック 」と名付けていたことを思い出して、それらしい体勢を作って今にも滑るかと思う中渾身の力で登り切りました。
最後のスラブも悪かったですが、フラッシュに成功。
このトライは自分のクライミング史に残るくらい充実しましたね。
そして他にはない超ユニークな内容がめちゃくちゃ楽しかったです。

<ミゾはこんな感じ>

3P目も5.9にしては緊張するトラバース&スラブ。

そして4P目はボルト2本だけの短しい5.11bのボルダリーなスラブ。
ここは本当に難しくて出だしで1度落ちてしまいました。
悔いが残る。
ボルダー換算で2~3級くらいなのかな。
なんとか2便目でレッドポイント。

5P目は歩きで、6P目はヒメヤスリ岩の頂上へと続く綺麗な5.9のハンドクラック。
これをむっちゃんが登って無事に終了。

<最後のクラック。5.9にしてはかぶっているし悪め>

下に着いたのが10:45くらいだったので、5時間以上かかってしまいましたが、5.11台2つを含んだマルチをきちんと登り切ってチームレッドポイントできたことは自信に繋がりました。

 

スコール 2P目終了時点で敗退

少し休んで左岸壁の「スコール」。
トポにも”かなり難しい”と書いてある2P目のオフィズス5.10bと、PDが付いている最終ピッチの右上クラック5.11aがやってみたくて選びました。

11:30に取り付き。
1P目は「山河微笑」と共通の5.8で、今回僕は初めてリードしましたが、、、難しい。
濡れているしプロテクションもあまり取れないので緊張します。

続いて問題の2p目。

<スコール2P目のオフィズス>

まずはむっちゃんが山河微笑との分岐まで行きますが、苔っているように見えたので僕にバトンタッチ。
僕もそこまで行くと、ルートの様相がヨセミテの「フリーブラスト8P目」とそっくりでフォールした記憶が蘇ります。グレードも同じ5.10b。
その嫌な思い出を振り払いながら意を決してワイドに突っ込む。
意外と右面に足があり、安定した体勢を作れますが上を見上げると広めのワイドが延々と続いていてかなり威圧的。
しかも、トポにはカムはC4までが2つとC5が1つと書いてあるのに、明らかにC5が2は欲しいし途中C6サイズになっている、、、。
しかしもう突っ込むしかなく、本当に全身の持てる力を振り絞って這いずり上がります。
上方にガバが見えたので”そこまで頑張れば終わりだ!”と自分に言い聞かせたのに、実はそこからもまぁまぁ悪い!
さらにもう手持ちのギアはないのでそこからスリングであやしいチョックストーンにプロテクションを取っただけでランアウトしましたが、気合でオンサイト。
(ちなみに回収時にチョックストーンは簡単に手で取れた。笑)

ワイドのグレーディングはまだわかりませんが、僕にとっては限界ギリギリのクライミングを成功させられてこのトライも本当に満足。
メンタル的な成長を感じられたのも嬉しかったです。
“やばいかも”、”落ちる”、と思ったところから粘れることが多かった2日間だったように思います。

この日はむっちゃんがここで体調が悪くなってしまいやむなくここで終了としました。
そしてまたまた僕が無理なルートで懸垂下降をしたために、ロープがスタック、、、。
ATCガイドを使って完全にもう一度登り返すハメになり、クタクタになりながら取り付きに戻りました。
この辺のロープの扱い方は逆に反省が多かった2日間でしたね。

 

トワイライト 3連続トライ

ただ今日の目標はもう1本マルチをやるはずだったので、僕は自分との約束のためにも何か登っておきたいところ。
そこに「達磨バム」を登り終えたカッシー&あかねちゃんが今から末端壁で何かやるというのでご一緒することに。

残り少ない時間で追い込もうということで、あかねちゃんがリードで「トワイライト」を登ってトップロープを張り、僕とカッシーは
・トワイライトをトップロームで3連続休まずに登る
・トライ中もなるべくレストしない
というルールで追い込みました。

僕は1便目は完登、2便目はワイドと上部で2テン入りましたがトップアウト、3便目はワイドがもう抜けられなくなりそこで終了。
カッシーは1,2便目はきっちり完登して、3便目はさすがにワイド部分でフォールして終了。
でもカッシーの登りは安定していたし、僕より息が上がっていなくてさすがでした。
あと彼は「やり切る力」がすごい。
こういう連続トライのトレーニングも面白いですね。

というわけで久々の瑞牆は大満喫しました。
本当に登れるだけで幸せだ。
また台風がきているので次はいつになるやら。
ではまた!