Now Climbing ! ヨセミテツアー2019 Day1〜6

Now Climbing ! ヨセミテツアー2019 Day1〜6

2016年、2018年に続き3度目のYosemite(ヨセミテ)ツアーがついに始まりました。
ボルダーしかしなかった3年前、トラッドのショートもマルチも経験が浅く暗中模索ながらもがいた去年。
今年は何が待っているだろうか。

<去年の記録>

<3年前の記録>

 
 


Day1 (10/18)

結局今年もトランジットの手間はあるものの1人往復5万円台という安さに負けて中国南方航空で広州経由でサンフランシスコへ。
Ryoさん宅に預けていたクラッシュパッド3枚を受け取り、ウォルマートで食料品等を大量に買い込み、Camp4にはほぼ明け方に到着。
テントサイトの取り方がまた例年通りに戻っていて(後述)、いきなりのサイト確保は無理なのでとりあえず今日はボルダーを楽しむことに。
出会ったあかねちゃんを引き連れ、個人的最凶のV4でありむっちゃんの因縁の宿題でもあるBachar Cracker(バーカークラッカー)へ。

<120度はある傾斜にフィンガークラック>

アップ兼再登をして、自分のジャム力の成長は感じるもののやはり難しい課題であることを確認。
むっちゃんはバラせるけれど繋がらないという感じ。

その後3年前に少し触り昨年も登れなかった超クラシックのBruce Lee (ブルースリー V8)へ。
昼間だったので暑かったが、去年に比べて格段にカチの持ちが良いことを認識する。

<美しいカンテ>

昨年は直前にクラックばかりやっていてボルダーの感覚が鈍いままヨセミテinしてしまったのかもしれない。
これは涼しい夜にかけようと3トライで見切りを付け、クラックボルダーがいくつかあるLost Bouldersへ移動。

まずは去年は不可能に感じたThe Other Crack (V6)という超マイナー課題へ。
スタートがシットダウンで、初手があり得ないと感じていたが、今回は見えるぞ。
これはフェイスムーブだ!

<このシンクラックが僕の指の太さには厳しすぎる>

めちゃ苦戦して打ち込みまくるも、右手の小指薬指がわずかにかかるフィンガージャムを発見しなんとか登り切れた。

<The Other Crack>

続いて本命のルーフクラックであるDeliverance (デリバランス V8)。
あかねちゃんのシンハンドテクに勉強させてもらったりしながら、結局リーチを活用してなんとかだいたいムーブを作って終了。

<160度くらいある>

もう終わりでも良かったが、ツアー終盤で身体がマルチやビッグウォールモードになる前に登ってしまおうと再びブルースリーへ。
暗くなるのを待って1便目で仕留められた!
これは嬉しい。
日本では今年は二段を登っていなかったから、(まぁV8も初二段扱いだが)今年の最高グレード更新。笑

<Bruce Lee>

 

Day2 (10/19)

昨夜テントサイトを1つ譲ってくれる人が現れるという奇跡が起きたため何と並ばずしてテントサイトはゲット。
その移行手続きを昼間にするため今日も遠出はできないので、2日連続のボルダーをすることに。

良いコンディションを狙って朝からThriller(スリラー V10)をやるも、アイスクリームコーンが取れず。
昨年より明らかに感触は良いけれど、まだ暑いこの前半に決められるかは相当微妙だ。

<メガクラシックであるスリラー>

午後からは、カッシー&ノミーの希望で再びデリバランス!
Camp4で出会ったトベ君も一緒に行った。

そしてカッシーは一通りホールディングやムーブ確認した後、繋げ1便目で登った!!
フィジカルは正義。
と言うかジャムもとっても上手いしムーブの組み立て能力が高いなぁ。

僕は最後のフィンガーからの1手が固まったため繋げようとするも、下からやると遠い一手が止まらず。

<遠い一手>

 
 

Day3 (10/20)

テントサイトの移行手続きは(当たり前だが)譲渡する本人がいないとできないのだけれど、譲ってくれた人は帰ってしまっていたのでこのサイトは使い続けられないことが判明。
ということで夜中の2時からCamp4のキオスクに並び、ようやくようやくテントサイトをGetして拠点が固まり一安心。
ここから本格的にスタートという感じ。

夜寒い中並んだのと、時差ボケもあって昼間は寝ることにして夕方からまたまたボルダー。
むっちゃんの調子が良く、僕が寝ている間に怖くて有名なInitial Friction (イニシャルフリクション V1)をフラッシュ、3年前に敗退したAment Arete (アメントアリート V6)もSDで登ってしまった!
夕方に僕も合流しCamp4のクラシックスラブであるRed Suede Shoes(レッドスエードシューズ トポだとV5だけれど最近はV6とされている)。

<ずっとBlue Suede Shoesだと思っていたラインが実はRedだったっぽい>

こちらも僕が寝起きでのんびりしていると、むっちゃんはみるみる内に高度を上げていって先に登った!
これはさすがに負けてられないとスイッチを入れてなんとか僕もナイトで登り切った。
フットホールド見えなくてマジで保持り倒した、、、。
2人とも3年前はCamp4のV1のスラブでヒーヒーだったので成長してるのかも。

<レッドスエードシューズ>

 
 

Day4 (10/21)

拠点も落ち着いたことだしそろそろロープを付けようと、2人の宿題であるTales of Power (テイルズオブパワー 5.12b)とSeparate Reality (セパレートリアリティー 5.11d)をトライしに。

朝8:30頃からテイルズに取り付いたが、、、むちゃくそ暑い。
とりあえずムーブ確認をして、一度車へ戻る。
しかしやはりここの空間は特別だ。

<セパリをユマールして戻る僕。岩と景色が絵になる>


セパリの方が早めに陰るのでむっちゃんがトライするも、ラスト前のガバ取りで足が切れて惜しくもフォール。

その後僕が16:30くらいから再びテイルズ。
去年とは格段にジャムの印象が違う。
シンハンドでもジャムが決まっているし、何より足に乗って身体全体で抑えられる感覚。
しかし実質的な最後の最後でヨレとヌメりがきてしまい痛恨のフォール。
しばらく呆然としたが、本ツアーでリードクラック初日なのでまぁこんなもんだと言い聞かせて次にかける。

<テイルズオブパワー。110度~120度の傾斜壁に素晴らしすぎるクラック>

むっちゃんもヘッデンつけてセパリやるが暑すぎるのとヨレで登れず。

 
 

Day5 (10/22)

レスト日。
シャワー浴びたり、Degnan’s Kitchen(デグナンズキッチン)へ行ってランチをしたり、Camp4でもストレッチをしたりi-VOUを使って懸垂などをして大きい筋肉や指の調子を見たり。

夕方にむっちゃんのティックリストの1つであるTips (ティップス 5.11d?12a?)を見学しにThis and That Cliffを偵察。
有益な情報が満載でもろもろお世話になっている「ヨセミテへの道」のアプローチ図が参考なる(ヨセミテ最強の5.10aはこれだっ!)。

発見したTipsは噂に違わぬ美しいフィンガークラックであった。

<ヨセミテで一番綺麗とも言われるフィンガー>

 
 

Day6 (10/23)

この日はAstroman(アストロマン)に行こうかと思ったが、むっちゃんがセパリでハンドを酷使したため2日ほど延期することに。
僕にとってはむしろテイルズを決めきる好チャンス。
一昨日の教訓を活かして朝暗いうちに懸垂下降して7:00には取り付きへ。
しかしそれでもTシャツで十分なくらいの気温で、谷底を出て少しでも上がると本当に暖かいことを再確認。

取り付きでムーブを頭の中で思い出しなおしてトライ開始。
暑くテーピングはズレるが、フリクションは悪くなくジャムが食い込んでくれる。
ラスト前の右ハンドから左逆手シンハンドも効いている。
ここから2手が自分の核心。
両足をクラックに突っ込み、正対で自分の形に持っていき右の順手シンハンドを落ち着いて捻じ込む。
昨日より効きは良い。
ここでも左足の正対ハイステップで力で持っていく。
そして一昨日取れなかった左シンハンドが取れた!
次の1手も気が抜けないが、落ち着いてフットジャムを入れ替えて、右のバチバチのハンドを捉えた。
ここで、完登を確信して声が漏れる。
ワイドは油断ならないが落ち着いて処理して、RP!
長かった、本当に長かった。

この課題のために城ヶ崎で傾斜のクラックにトライし、名張で厳しいシンハンドトレーニングをこなした。
その成果が出て本当に嬉しいし、確実に成長していると断言できる。

体感では名張のイカサマ師(5.12b)よりほんの少し登りやすい?
ただ僕にとってはどちらも5.12後半はあるように感じる。
手のサイズに大きくよるのだろうけれど。
でもテイルズに関してはグレードでななく、自分の壁を打破できたことに意味がある。
とにかく一つ前に進んだんだ。

<完登後のロワーダウン時の写真>

僕はもうこの日はレストで良かったので一旦Camp4に戻り、むっちゃんが再びバーカークラッカー。
明らかに身体がキレていて調子が良さげだけれど、ラストのガバ取りで何度か落ちる。
気温も上がってきてコンディションは良くないが、落ち着いてレストを挟んで集中したトライを繰り返す。
そして7,8便目だろうか、ついに声を出した気合のトライでバーカークラッカーを仕留めた!

<ラスト取り!>

まさか序盤でしかも同じ日にお互いの因縁の課題を登れるなんて。
幸先が良すぎるぞ。

このあとむっちゃんはSentinel Traverse(センチネルトラバース V6)も登って3年前からの宿題を2つも回収。
完全にボルダラーと化している。笑
僕もSlap Shot (スラップショット V8)やConan(コナン V9)など昔できなかったボルダーを触るが、どちらも成長は感じるものの完登はできなかった。

夜に日本人で集まりピザパーティー。

さてそろそろマルチに行きますかね。

 
 

クライミングを大きく捉える

上でも少し書いたけれど、去年はとにかくクラックに対応したりジャミング技術を磨くことに必死だった。
出国前もトラッドばかりやっていたし、ヨセミテに着いても「クラックやらないと、、、」となにか焦っていた。
しかし今年は違う。
ヨセミテに着いて(テントサイトの確保に手間取ったのはあるけれど)気の向くままにボルダーを3日連続でやって、そのあといきなり宿題のクラックルートに取り付いても対応ができる。
去年はボルダー、クラックのショートルート、マルチ、とクライミングをバラバラのジャンルで考えてしまっていたが今はクライミングそれ自体として大きく捉えることができる。
クラックをやるときも去年は「ジャミングができない、、、」みたいに感じていたが、今はジャミングだってただの1つのホールディングにしか過ぎず、それも含めて一連の大きなルートと認識できている。

ジャミングもホールディングの選択肢の一つのすぎねえ

<仙道パイセン、今ならわかるよ>

とにかく自分たちの中で、大袈裟だけれど、クライミングが再定義できつつある気がして毎日余裕があって楽しい。

 
 

キャンプ4の取り方

Camp4のテントサイト確保の方法がまた従来通りに戻ったのでまとめておく。

  1. 毎日キオスクが閉まる時点(15時とか16時?)で翌日のテントサイトの空き人数が張り出される
  2. 翌日朝8時(ほぼ担当者が遅れるので実質は8時半~9時)の時点で並んでいる人にテントサイト確保の整理券が配られる
  3. が、金土や混んでいるシーズンは前日の夜22時とかから並ばないと確保できない可能性
  4. 僕らは10月20日(日)分が31人の空きがあったが、前日夜2時で25人待ちなどになっていたのでそこから並んだ
  5. 整理券を手に入れたらテントサイトを確保できるが手続きが1人あたり5~10分かかるので早めに処理したい場合は列の先頭に並ぶと吉
  6. 1泊1人6ドル、更新は1週間ごとで期日の前日の昼までにキオスクで更新

<説明文>

 

<Day7~12>

<Day13~18>

<Day19~25>

<Day26~32>

<Day33~41>