Now Climbing ! ヨセミテツアー2019 Day7〜12
2週間近くが経過してヨセミテが日常になりつつあります。
後半日程の半分以上をマルチやビッグウォールに費やすと考えると、実はショートルートなどを楽しめるのはあと2,3日。
思った以上に短い今ツアー。
しかし焦らずにクライミングを楽しめております。
<Day1~6>
Day7 (10/24)
この日はレストのつもりだったが、モチベーションの鬼であるテル君のアツい申し出により朝ボルダリングで遊ぶことに。
アップでリトルコロンビアのV0やV1をみんなでひーひー言いながら必死で登った後に、コロンビアボルダーの裏にある悪名高いEnd of The Day Problem (V5)でセッション。
3年前にめちゃくちゃ苦戦しながら登った思い出深い課題だが今回はあっさり、、、と思いきや俺もテル君も若干ハマる。
テル君が気合で1抜けし、僕もそれになんとか続いて3年前の自分には負けないですんだ。
そしてこの日のハイライト。
テル君のMidnight lightning (V8)のフラッシュトライ。
何ヶ所かホールディングなど上手くいっていない所がありつつも、めっちゃ気合を入れて押し切って何と一撃!
本当に感動したし、ライトニングフラッシュは偉業だろう。
<ライトニングマークを書く人>
昼くらいからはシャワー浴びたり明日のマルチの準備をしたりしてとにかくぐうたら過ごした。
このぐうたらが長期ツアーでは大切。
Day8 (10/25)
いよいよ因縁のAstroman(アストロマン 5.11c 10ピッチ)にチャレンジ。
僕は去年6ピッチ目までRPしているがその先は未知だし、なによりむっちゃんが核心の1つである3ピッチ目のEnduro Corner(エンデューロコーナー 5.11c)をRPした上でチームでワンプッシュしたい。
余裕を残すために暗い中ヘッデンで僕が1,2ピッチ目を繋いで登る。
1,2ピッチ目を繋いだことは初めてだったのでロープの重さに苦戦し、また2ピッチ目(5.10b)はプロテクションがプアで暗いとかなり怖かった。
そしていよいよエンデューロコーナー。
やはり美しい。
<ヨセミテでも類を見ない素晴らしいコーナークラック>
むっちゃんはオブザベを入念にしていざトライ。
ジャムの力が付いたのか、去年と比べ格段に落ち着いた登りで2ヶ所のレストポイントを超えていく。
これはいけるか!
と思ったが、0.75になるサイズのところで苦戦。
そして無念のフォール。
むっちゃんのこのピッチにかける思いを知っていたので、僕もとても悔しい思い。
一旦エンデューロコーナーを上まで抜け降りてきた後、相談して今日はこのピッチをしっかりワークしようということになった。
去年は手の甲の怪我もありワークすらできないほど疲弊していたので、このピッチに前向きになっているだけでも成長している。
次にかける。
Day9 (10/26)
Valley病(ヨセミテ渓谷内にずっといることで心身共にやられる病)にかかる前に小リフレッシュしようということで、Tuolumne(トゥオルミ)に行くことに。
トゥオルミはヨセミテ渓谷から車でビショップ方面に120号を1時間ほど行ったところにあるエリアで、景色が開けていて散歩するだけでも気持ち良いと色んな人から聞く。
着いてみると天気も良く本当に天国のよう。
テナヤ湖にて。
Bachar-Yerian(バーカーエイリアン 5.11c X)やPeace(ピース 5.13 or 13d)が気になるので、Medlicott Domeへ。
駐車場から40分ほど歩くと、そこにははちゃめちゃに綺麗な1枚岩が!
<中央の黒い筋がPeace、その左から入るのが Bachar-Yerian>
正直このツアーではヨセミテバレー内でお腹一杯だろうと考えていてトゥオルミは見学だけのつもりだったけれど、これを目の当たりにして一気にトライしたい欲が沸いてきてしまった。
Peaceはスラブの5.13後半とツアーで登るのは難しいけれど、チャレンジしてみたいな。
この後の日程に果たして盛り込めるか。
<Tuolumneトポ>
Day10 (10/27)
昨日レストを挟んでいるので気合は十分。
ということで次なる目標のHeaven(ヘヴン 5.12d)にトライしに行くことに。
去年一応場所の当たりは付けているので今回はギアを持ってGo!
簡単にアプローチを載せておく。
1. ヨセミテバレーから車で1時間くらいの観光地であるGlacier Point(グレイシャーポイント)まで行く
2. その先端で人が写真などを撮っているところで向かって右へ降りていく。ハーフドーム側
3. 最初はブッシュで、そこから簡単だけど岩を2つ3つ降りたりすると岩盤地帯になって視界が開ける
4-a. 木が4本くらい並んでいる先に、もう1本だけ木(というか2本まとまったやつ+細めの木)があるのでこれで懸垂下降するとHeavenの上から降りられる
4-b. もしくは斜面向かって右にトラバースしてガレ場的なところを歩いて降り、しばらくして左を見るとHeaven。ただし最後のトラバースはロープを出した方が無難かも
<懸垂の木>
<歩いて降りるならこの方向から>
そして懸垂下降したその下には、、、ありました!
<Heaven。カッコ良い。思ったより傾斜あるしフィンガー強め>
クラックが綺麗に走っていてルート自体がそそられるし何よりロケーションが最高すぎる。
早速トライするも、、、この日は実は極寒予報で取り付くや否や強風で身体が動かなくなってしまう。
次第に天気も曇ってきて、どんどん気温は低下。
手の感覚が無くなってきて呂律も回らなくなってきたので、残念ながら途中で一旦敗退することに。
最終的には無意識に「さぶいー!!」とか叫んでいたので頭がおかしくなりかけていたかも、、、。
車に戻る頃には雪が降り始めたのでこれは早めに撤退して正解だった。
ヨセミテの気候は厳しい。
しかしルートから刺激はとても受けて登りたい気持ちが強まった。
コンディションの良い時にもう一度来る。
Day11 (10/28)
昨日低体温症になりかけていたのか夜の間寒気が止まらなかったが、朝になると元気になっていたので午前はボルダーをしにいくことに。
色々と候補はあるけれど、このツアーで登らないと後悔しそうなルーフクラックボルダーであるDeliverance(デリバランス V8)にまずは絞ることにした。
しかし下部のシンハンドがなかなか決まらず繋げると遠い一手が止まらない。
ここで思い切ってテーピングを外してトライしてみることに。
するとなんとそのトライで遠い一手を突破。
最後の左手フィンガージャムはかなり甘かったけれど、気合で押し切れた。
<デリバランス最終局面>
普段は手の甲を痛めたくないからテーピングは必ずするけれど、ここ一番では外すのもありなんだな。
そしてジャミング力とルーフボルダー力の自分の成長を感じられて本当に嬉しい1本になった。
<デリバランス 動画>
午後からは前に見学しに行ったむっちゃんのTips(ティップス 5.11d)トライ。
見た目よりも傾斜感があって、なによりフットジャムが難しいとのこと。
なんとか上には抜けていたけれど苦戦していた。
これもやってみたい。
Day12 (10/29)
むっちゃんの体調がすぐれないので1人でボルダーでもしようかと思ったが、ルートをやりたい気分。
なのでいきなり1人でぶら下がって触るのも少し気が引けたが、他にやりたいルートもパッと思いつかないのでheavenをワークしにいくことに。
傾斜壁なのでプロテクションを取りながら懸垂下降してホールドを触っていると、イギリス人パーティーが来てバッティングしてしまった。
リードトライしようとしている人の前でワークするのも微妙だと思い、ムーブは作り切れていなかったが撤収。
なかなかタイミングが合わないですな。
しかし焦らない焦らない。
<Heavenをトライするイギリス人クライマー>
キャンプ4に戻ってあかねちゃん、たけみくん、がくさん達と軽くボルダーをして遊んだ。
今ツアーここまでのところ登っている本数自体は少ないけれど、登りたい課題を触れているから心は充実している。
百聞は一見に如かず
つくづく思うけれど何事も実際に自分の目で見てみると印象が変わる。
写真の印象とも全然違うことが多い。
今回もPeaceとHeavenは目の当たりにしてその威厳というのか荘厳さというのかとにかく圧倒された。
心の中でいつかやってみたいと思っているルートは絶対にまず足を運んで見た方が良い。
課題に真剣に向き合う
自らにとってチャレンジングなルートを登るときにまず一歩目となるのが、そのルートを登るんだという前向きな気持ちを持って真剣に向き合うということだと感じる。
こう書くと当たり前かもしれないけれど、インドアのボルダーでも岩のクラックでもなんでも自分の能力よりも難しいルートに出会うと「あ、これ無理かも」とまずメンタル面で向き合えないことは多い。
去年の僕にとってのデリバランスはまさに「無理かも、、、」という感じで、2度足を運んだけれどクラックに手を突っ込んでいるだけで、その課題を登るということを現実的なものとして捉えて完登へのステップを描けていなかった。
でも今年はまず「どうやったらこれを登れるか」という前提で課題に真剣に向き合えたことが違ったと思う。
もちろん課題に真剣に向き合うにはクライミングの能力は必要だし、その時のマインドとか、現実的な日程とかいろんな要素は絡む。
ただいずれにせよまず向き合う。真剣に向き合う。
それが第一歩だと思う。
Simカードが快適
今年はヨセミテでの通信環境を得るためにsimカードにしたのだがかなり快適だ。
ヨセミテ渓谷内では施設のwifiを使える箇所がいくつかあるけれど、simカードだとキャンプ4や場合によっては岩場でも電波が入るからどこでも調べ物などもできるし何より連絡や安全の面でも非常に役に立つ。
去年はポケットwifiだったけれど、複数目の場合はsimカードを個々のスマホに入れた方がお互いに気を使う必要が無くて楽。
それに僕らが購入したAT&Tのsimカードは45日間使い放題で約1万円とお得な価格になっている。
テザリングができないことだけが不便だがそれ以外はオススメ。
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