クライミング世界選手権2019八王子、コンバインドのエントリー選手の戦績

クライミング世界選手権2019八王子、コンバインドのエントリー選手の戦績

今週末の2019年8月11日(日)から、クライミング界の最大タイトルである世界選手権が始まります。
世界選手権の日本での開催は初めてであり、またオリンピックの代表が決まる可能性のある重要な大会であるため関心が高まっています。

<参考 オリンピック出場選手の決まり方>

既にCLIMBERSさんに各種目の概要、みどころ、注目選手紹介などの記事を書かせていただいているので、ぜひそちらに目を通してください。

このブログでは簡単な日程やルールの紹介に加えて、コンバインドに出場する選手の基礎的なデータを今一度きちんと整理して確認する、といういつも通りの方向性で書きたいと思います。

 
 


日程

世界選手権はボルダリング、リード、スピードの3つの単種目と複合種目のコンバインドがおこなわれます。
詳細な情報は公式サイトに載っていますが、日程は以下の通り。

ボルダー
11(日):女子予選
12(月):男子予選
13(火):準決勝、決勝

リード
14(水):予選
15(木):準決勝、決勝

スピード
17(土)

コンバインド
18(日):女子予選
19(月):男子予選
20(火):女子決勝
21(水):男子決勝

いろいろな媒体で放送があると思いますが、僕はJ-Sportsさんのライブ放送にて13(火)ボルダー決勝と15(木)リード決勝解説を担当させていただきます。
また、18(日)19(月)のコンバインド予選も映像のサポートで現地に行くので、みなさん会場で会ったらよろしくお願いします。

公式のIFSCチャンネルでも準決勝以上はいつものようにライブ放送されます。

<ボルダー女子準決勝>

 
 

コンバインドのルール

今回ややこしいのは、3つの単種目の成績でコンバインドに出場できる男女20人ずつを絞るというもの。

info sheetに記載されていますが、説明すると以下です。
・3つの単種目それぞれで順位を出す
・ただしコンバインドにエントリーしている(3種目すべてに出場した)選手内での順位を用いる
・その3つの順位の掛け算の値が少ない上位20人が18(日)からのコンバインド予選に進出

コンバインドはオリンピックフォーマットに則って実施されるので必ず予選は20人でやるというわけです。
なのでコンバインドに出場するには単種目を3つとも高成績を取る必要があるのですが、単種目で準決勝や決勝に進むほどコンバインドへの疲労は溜まるという厳しい大会なのです。

コンバインド自体のルールは、過去に書いたコンバインドジャパンカップ等のブログ記事を参考にしてもらえればと思います。

<第2回コンバインドジャパンカップのブログ>

 
 

今シーズンの戦績を元にしたコンバインドエントリー選手データ

さて、前置きが長くなってしまいましたがいよいよ本題です。
今大会に3種目全てに出場予定の、つまりコンバインドでエントリーしている選手を対象に、今シーズンのW杯年間ランキングの順位をまとめてみました。

ただし、以下の補正をしています。
・3種目それぞれで、コンバインドのエントリー選手内で年間ランキングの順位を算出
・同順位の場合は選手が占める順位の平均値(例えば8位が4人なら、8,9,10,11の平均値である9.5)を使用
・ 3つの順位の掛け算が小さい選手が成績上位

要はW杯年間ランキングを用いて、今回の世界選手権でコンバインド予選に進むための仮想的算出をしてみよう、ということですね。

 

男子

まずは男子から。

楢﨑智亜選手と藤井快選手が計算の結果では1,2位となります。
両者ともにボルダリングという一番の強みを持ちつつ、他の2種目のレベルも他の選手に引けを取りません。
他の日本人選手も5人全員が20位以内にランクインしていますね!
日本強し。

続くのはドイツのアレクサンダー・メゴス選手。
今期はコンペでもリードが絶好調で現在のところW杯年間ランキング首位となっているのが大きいです。
スピードのスペシャリストであるフランスのバッサ・マエム選手などを見るとスピードが1位、ボルダリングとリードは共に最下位(ランク外)ですが、総合で9位にランクインしてます。掛け算で順位を出すため1位を取るというのは非常に武器になるのですね

ただ注意が必要なのはこれはあくまで現在の年間ランキングを使用しているので、今シーズンW杯に出場回数が少ない選手は上位には来ません。
例えばチェコのアダム・オンドラ選手はリード順位7位ですが1戦出場し優勝しているので実力的には皆が知るようにトップに位置付ける選手。
リードを1位で計算すれば総合で楢﨑選手を上回ります。

 

女子

続いて女子。

女子はもちろんヤンヤ・ガンブレット選手が首位。
ボルダリングは今シーズンなんと全戦優勝の完全制覇、リードは韓国のホープであるソ・チョヒェン選手に土を付けられましたがそれでも実力は断トツなことに疑いはないでしょう。そして調べていて気付いたのですが、スピードもかなり上げてきていてランクインしてポイントを獲得しています。
あまりに盤石すぎる、、、が何が起きるか勝負はわからない。

2位から4位は日本勢の野口啓代選手、伊藤ふたば選手、野中生萌選手が続きます。
3人ともどの種目もバランス良く上位に食い込める力がありますが、リードで野口選手が一歩リードしている分強いですかね。
野中選手は肩の怪我から復帰していればスピードはこの中ではピカイチですし、ボルダリングでもヤンヤ選手と張り合える力はあるはず。

リードで急激な強さを見せている、ソ選手を筆頭にした、森秋彩選手、中国のツァン・ユートン選手の03年生まれである黄金世代の活躍も楽しみですね。


とまぁこんな感じで簡単に終わります。
オリンピックの前年であり非常に重要な意味を持つ今回の世界選手権。
その勝敗の行方を見守りましょう。
では選手のみなさん頑張ってください!