クライミング冊子『ワイドクラックミーティング 尾鷲 2018』の紹介
以前ブログにも少し書きましたが、2018年12月22日、23日に三重県の尾鷲市にて今井考さんを中心とした呼びかけにより「Wide Crack Meeting」(ワイドクラックミーティング、WCM)なる集いがありました。
<WCMのことを書いたブログ>
ワイドクラックというのは一般に拳以上の広さの岩の割れ目を指し、クライミングの中でも特殊な登攀技術を要する、クラシカルにして現代ではニッチともいえる分野です。
僕自身ワイドの経験はかなり少なかったのですが、この秋のヨセミテでチャレンジとしていくつかワイドを登ったことをブログにアップしたら、幸か不幸かワイド狂であるセカキタこと世界の北平氏に見つかってしまい、WCMに参加させてもらうことになりました。
ミーティング自体は実際にはワイドクラックのみならず、クライミング全般を愛するクライマーが集まった形になり、”僕なんかが場違いなのでは、、、”という心配は杞憂に終わりとても刺激的で有意義な2日間でした。
そしていつの間にか冊子記事の執筆まで担当させていただくという嬉しい流れに。
<セカキタ氏はこのブログ記事内のエイハブやシダーイーターなどのワイドを見逃してはくれなかった、、、>
冊子『ワイドクラックミーティング 尾鷲 2018』の紹介
このWCMの2日間の様子をまとめた記録に、別の特別記事も加えて今井さんを中心に冊子にしたものが『ワイドクラックミーティング 尾鷲 2018』です。
『WIDE』という通称の方が定着するのかな?
すごく簡単にですが各記事を紹介しますね。
ワイドマニアへの道 by 植田幹也
日本のみならず世界のトップワイドクライマーである北平さんのWCMでの発表に僕の解釈を加えてまとめさせてもらったものです。
ワイドクラック界の歴史、北平さんのトレーニング方法、そして極めつけがWCMの2日目に実施された北平さん直伝のワイド技術講習の解説。
紙面だけで解説しきれているか自信がないのですが、僕はこの技術講習が目から鱗連発で、この技を使えばワイドグレードが数グレード上がるのではとすら感じ、習ったそばから試したくてウズウズしてしまいました。
(とか言ってWCM以降、1つもワイドやってない。)
手前味噌ですが皆さんに読んでいただけたら幸いです。
あ、ちなみに僕の名前のローマ字表記が「kanya」となっていますが、「mikiya」の間違いです。笑
ビデブー by 朝日陽子
日本で一番ワイドクラックを愛する男である武田斉太郎さんが、ワイドクラック天国であるビデブー(Vedauwoo)へツアーへ行った記録を朝日さんがまとめた記事。
ビデブーでのクライミングの様子がわかることに加えて、文章の端々から武田さんの冒険心が伝わってきます。
そして朝日さんの絵が素敵。
マルボーさんの開拓話 by 成瀬洋平
西日本の開拓王であるマルボーさんがクライミングルートの開拓に関してお話ししたことを成瀬さんがまとめています。
マルボーさんの開拓してきたり今まさに開拓中の岩場がたくさん登場してワクワクするのと、具体的な開拓道具なども紹介していて実践的にも役立つ記事です。
<マルボーさん開拓道具の一部>
ナサ崎の開拓の記憶 by 大藪晧平
今回のWCMの実施場所ともなったナサ崎を開拓した大藪さんの記事。
かの有名な「スカイフォール」も、北平さんによって初登された「ワイドマニア」も大藪さんが発見したものなので、彼がいなければこのミーティングもなかったのかもしれない。
他にも大藪さんは若くして挑戦的で魅力的な開拓をたくさんしていて、僕が密かに刺激を受けているクライマーの1人でもあります。
ふたつのスタイル by 今井考
このミーティングの発起人であり、冊子の発行人でもある今井さんの記事。
地面から登っていくことに重きを置く「グラウンドアップ」と、ロープにぶら下がりながら打たれた「ラップボルト」のルートの2つのスタイルに関して今井さんなりの言葉で書かれています。
クライミングが急速に発展し、様々なクライマーがあふれている今だからこそ必読の内容だと感じます。
回想 不動の拳 初登 by 山岸尚将
日本最難ワイドの瑞牆「不動の拳」(5.12b、北平氏体感グレード5.13-)の初登者である山岸さんによる回想録。
山岸さんはクライマーとしての実績もさることながら、その文章力が個人的にめちゃくちゃツボです。
僕が好むクライマーの物書きは、杉野さん、新井さん、ガメラさん、中嶋兄弟、安間さん、などなどたくさんいますが、山岸さんの文章は僕にはマネできないタイプなので尊敬してしまいます。
すごい記録を書いているのにどこかおどけていてチャーミング。
是非読んでほしいです。
瑞浪 屏風岩 by 伊藤光徳
瑞浪の岩場を利用するために地元の方々との交流や保全活動をしている伊藤さんが、その活動の様子を一部赤裸々に書いてくださった記事。
その労力や尽力っぷりを文章で目の当たりにすると本当に岩場を使わせてもらっている僕らクライマーは頭が上がりません。
アクセス問題が各所で勃発している今、クライマー全員が読むべき文章だと思います。
購入方法など
今後販売経路が追加変更されることはあるとは思いますが、現時点では以下のリック先に載っているクライミングジムやお店で『ワイドクラックミーティング 尾鷲 2018』を購入することができます。
またこのお店以外にも、WCMに参加した人を中心に個人で冊子を販売している方もいます。
終わりに 今後の自身のワイドとの向き合い方
WCMに参加させていただき、ワイドへの興味が増した僕ですが、上にも書いたようにやりたいクライミングが多すぎてワイドは全然できていないのが現状。
しかしヨセミテでのクライミングを考えるとワイド技術は必須なわけです。
というかヨセミテの時より絶対ワイド技術落ちている。
どこか夏あたりに集中してワイド合宿をするか、瑞牆などでも忘れない程度にちょくちょくワイド課題を触り続けるか、それともあえて高難度ワイドルートを登ることを自分に課すか、、、。
まぁもう少し暑い季節になったら考えようかな。
と、こんなところで終わりにします。
冊子の方は継続して発行できるように僕も最大限協力していきたいですね。
ではでは。
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